
セラミック矯正は、美しい歯並びや自然な見た目を実現できる審美治療の一つです。セラミックにもいくつかの種類があり、仕上がりや特徴が異なります。使用される各素材の特徴、ご自身に最適な選択をするためのポイントをご説明します。
部分矯正としてセラミックを使用する場合があります。例えば、前歯の軽度な歯並びや噛み合わせの問題を短期間で改善するために使用されることがあります。
目次
セラミック矯正とは?
セラミック矯正は、歯を削り、その上にセラミック製の被せ物やラミネートベニアを装着することで、歯並びや形、色を改善する治療法です。この方法は、従来のワイヤー矯正に比べて治療期間が短いのが特徴で、美しい見た目を重視する患者さんに適しています。
▼セラミック矯正の治療の流れはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/ceramic-nagare/
セラミック矯正の種類

セラミック矯正に使われる材料には、いくつか種類があります。
- ジルコニアセラミック
- ハイブリッドセラミック
- オールセラミック
- メタルボンドセラミック
- ラミネートベニア
1. ジルコニアを使う
ジルコニアは、今まで言われていたセラミックのデメリットを克服した素材として、注目を集めています。
特徴
ジルコニアはさまざまな種類があるセラミックの中でも、最も審美性・耐久性に優れていると言われています。
メリット
透明感があり自然な色合い・ツヤのある素材のため、見た目の美しさはピカイチです。かつ壊れにくいため長持ちするのがジルコニアを用いるメリットです。歯ぎしりや食いしばりの癖があっても壊れにくいとされています。またジルコニアは時間が経っても変色しません。
加えて、金属を使用していないため、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して使用することができます。
- 強度が非常に高い
金属に匹敵する強度を持ち、奥歯など強い力がかかる部分にも適用可能。割れにくく長期間使用できる。 - 審美性に優れる・・自然な歯の色や透明感を再現できる。着色や変色が起こりにくいため、長期間美しい状態を保つことが可能。
- 金属アレルギーの心配がない・・非金属のため、金属アレルギーの患者さんにも安心して使用できる。
- 生体親和性が高い・・歯肉への刺激が少なく、炎症を起こしにくい。口腔内での適応性が良く、快適な装着感を得られる。
- 汚れが付きにくい・・表面が非常に滑らかで歯垢が付着しにくい。
デメリット
- 費用が高い・・高品質な素材のため、他の材料に比べて治療費が高額になる場合が多い。
- 加工が難しい・・非常に硬い素材であるため、製作や調整に高い技術が必要。歯科医院や技工士のスキルによって仕上がりが異なる可能性がある。
- 色調の微調整が難しい・・一部のケースでは、天然歯と完全に一致する色や透明感を再現するのが難しい場合がある。
- 厚みが必要な場合がある・・強度を確保するために、ある程度の厚みが必要になる場合があり、歯を削る量が多くなる可能性がある。
- 固すぎるために歯に負担がかかることも・・噛み合わせによっては、天然歯や他の被せ物にダメージを与えることがある。
2. ハイブリッドセラミックを使う

特徴
虫歯の詰め物などに使われるレジンに、セラミックなどを混ぜたもの。ゆえに両方の特徴を併せ持っています。
メリット
レジンとセラミックの両方の特徴を併せ持っているため、硬すぎず柔軟性に優れています。ゆえに比較的欠けにくく、壊れにくいです。
デメリット
時間が経つと変色してくるため、ジルコニアやオールセラミックよりは美しさの面で劣ります。
3. オールセラミックを使う

特徴
オールセラミックはもともとの自分の歯(天然歯)のような、自然な色合いが特徴です。
メリット
オールセラミックもジルコニアと同様、自然な色合い・ツヤがあるので、もともとの自分の歯のように見せることができます。また時間が経っても変色しないので安心です。
加えて、ジルコニアと同様金属を使用していないため、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して使用することができます。
デメリット
もともとの自分の歯(天然歯)よりも少し硬いため、強い力が加わると壊れたり、欠けたりする可能性があります。
4. メタルボンドを使う

前歯など、部位によっては保険がきくこともあります。
特徴
表面はセラミックで白いですが、裏側(内側)は金属でできているのがメタルボンドです。
メリット
裏側(内側)が金属であるがゆえ、耐久性には非常に優れています。強い力のかかる奥歯でも使用することができます。また時間が経っても変色しません。
デメリット
裏側(内側)の金属が多少透けるため、審美性には劣ります。また金属アレルギーをお持ちの方は使用できなかったり、体質によっては金属により歯茎が変色することがあります。
4. ラミネートベニアを使う

前歯全体をきれいにするというよりは1本の歯だけの場合などに使われることが多いです。
特徴

今までご紹介してきたセラミックとは違い、歯の表面を薄く削って表面に貼り付けるように使用するのが特徴です。
簡単に歯を白く見せたり、ちょっとした歯の隙間を埋めたり、簡単な歯列矯正ならラミネードベニアで行うことができます。
具体的な治療手順
- 歯の表面を必要最小限削ります。
- 削った歯の形状を精密に型取りします。
- セラミック板を作成し、歯の表面に専用の接着剤で固定します。
適応例
- 歯の色や形を改善したい患者さん(軽度の黄ばみや小さな欠け)
- 軽度のすきっ歯やねじれた歯
メリット
- ラミネードベニアも金属を使っていないので、金属アレルギーをお持ちの方でも使用することができます。また時間が経っても変色しません。
- 歯を削る量が少なく、健康な歯に与えるダメージが最小限に抑えられます。
デメリット
- 他のかぶせるタイプとは違い、歯の表面に貼り付けるように使用するので、力が加わるとセラミックが欠けたり取れたりする可能性があります。
- 適用範囲が限られ、重度の歯列不正には対応できません。また、薄いため衝撃に弱い可能性があります。
セラミックのメンテナンス方法
セラミックは天然歯よりも汚れにくいですが、定期的なクリーニングや歯科健診が必要です。また、セラミックは大変固いのですが割れやすいというデメリットがあるため、硬い食べ物や強い力での噛み合わせに注意が必要です。
セラミック矯正と他の矯正方法の比較
特徴 | セラミック矯正 | ワイヤー矯正 | インビザライン |
---|---|---|---|
治療期間 | 短期間(数週間~数か月) | 長期間(1~3年) | 中期間(6か月~2年) |
適応範囲 | 軽度~中度の不正咬合 | 軽度~重度の不正咬合 | 軽度~中度の不正咬合 |
審美性 | 非常に高い | 装置が目立つ場合あり | 目立たない |
費用 | 高額 | 中~高額 | 中~高額 |
セラミック矯正の注意点
セラミック矯正には、いくつかの注意点があります。
- 健康な歯を削る負担・・自然の歯を削るため、慎重な判断が必要です。
- 費用・・高額になることが多いので、費用について事前に確認することが重要です。
- メンテナンス・・定期的な健診と歯磨きを怠らないことが、長持ちさせる秘訣です。
まとめ

セラミック矯正に使用される素材には、それぞれ特有のメリットとデメリットがあります。ジルコニアの耐久性、オールセラミックの自然な見た目、ハイブリッドセラミックの柔軟性、メタルボンドの耐久性とコストのバランス、ラミネートベニアの手軽さなど、目的や優先順位によって最適な素材は異なります。そのため、歯科医師とよく相談してから治療を受けるようにしましょう。
治療後もメンテナンスが重要であり、長期的な美しさと健康を保つためには、素材の特性を理解した上での適切なケアが欠かせません。
監修

医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
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