差し歯が取れる原因とその対処法

差し歯が取れたらどうする?

差し歯が取れたときは、取れたものを捨てずに保管し、自分では接着せず、できるだけ早く歯科医院へ連絡してください。

被せ物や土台の状態に問題がなければ、そのまま付け直せる場合があります。一方、被せ物の内側に虫歯ができていたり、土台や歯の根が傷んでいたりする場合は、作り直しや追加の治療が必要です。

「痛くないから大丈夫」と放置している間に、土台の歯が欠けたり、虫歯が進んだりする可能性もあります。差し歯が取れたことは、接着部分だけでなく、歯の内部や噛み合わせを見直すサインと考えましょう。

この記事はこんな方に向いています

  1. 差し歯が取れた直後にするべきこと
  2. 自分で接着してはいけない理由
  3. 差し歯が取れる主な原因
  4. 付け直せる場合と作り直す場合の違い
  5. 被せ物だけ取れた場合と土台ごと取れた場合の違い
  6. 歯科医院で行う検査や治療
  7. 差し歯を放置するリスク
  8. 治療にかかる期間や通院回数の目安
  9. 差し歯が何度も取れる場合の対処法

 

目次

差し歯が取れたら、最初に何をすればいい?

差し歯が取れたら、最初に何をすればいい?の図解

差し歯が取れたときに最も大切なのは、慌てて自分で戻そうとしないことです。

取れた差し歯を清潔な状態で保管し、取れた部分にはできるだけ力をかけず、早めに歯科医院へ連絡しましょう。日本歯科医師会も、詰め物や被せ物が取れた場合は、放置せず早めに歯科医院で治療を受けるよう案内しています。

取れた差し歯は「保管する・触りすぎない・自分で付けない・早めに受診する」が基本です。

受診までの対応を間違えると、再び使えるはずだった差し歯が破損したり、土台の歯が傷ついたりする可能性があります。
まずは、次の表を参考に落ち着いて対応してください。

すること 具体的な対応 理由
差し歯を保管する 軽く水で流し、清潔な小さな容器に入れます 状態によっては再装着できる可能性があるためです
取れた部分を確認する 痛み、腫れ、出血、歯の欠けがないかを確認します 緊急性を判断する手がかりになるためです
自分で接着しない 瞬間接着剤や市販の接着剤は使用しません 被せ物がずれたり、その後の治療が難しくなったりするためです
取れた側で噛まない 反対側で、やわらかいものをゆっくり噛みます 露出した土台の歯が欠けるのを防ぐためです
歯科医院へ連絡する できるだけ早く状況を伝え、受診日を相談します 放置すると治療範囲が広がることがあるためです

差し歯をティッシュだけに包むと、誤って捨てたり、持ち運ぶ途中で変形・破損したりする可能性があります。ふたの閉まる小さな容器や保存袋などに入れて持参すると安心です。

また、差し歯が取れた場所を清潔にしようとして、歯ブラシで強くこするのも避けましょう。汚れが気になる場合は、水やぬるま湯で軽く口をゆすぐ程度にとどめます。

取れた差し歯を自分で付けてもいい?

取れた差し歯を自分で接着することはおすすめできません。

差し歯は、正しい位置・向き・高さに合わせて装着する必要があります。少しずれた状態で接着すると、噛み合わせが高くなったり、特定の歯に強い力がかかったりすることがあります。

また、一般家庭用の瞬間接着剤は、お口の中で使用することを前提に作られたものではありません。接着剤が歯や歯ぐきに付着すると、差し歯の再装着や作り直しが難しくなる場合があります。

「一時的にでも戻したい」と思っても、自分で接着するのは避けてください。

仮にはめるだけなら問題ない?

接着剤を使わず、差し歯を元の位置に戻すだけであっても、基本的にはおすすめできません。

緩い状態の差し歯を口の中に入れていると、食事や会話中に外れ、飲み込んでしまう可能性があります。眠っている間に外れれば、気管へ入り込む危険も否定できません。

見た目が気になる前歯であっても、無理にはめ続けず、外した状態で保管してください。仕事や外出の予定がある場合は、歯科医院へ事情を伝え、早めに相談しましょう。

差し歯が取れる原因には何がある?

差し歯が取れる原因は、接着部分の劣化だけではありません。

被せ物の内側の虫歯、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの変化、土台の破損、歯の根のひびなど、複数の問題が重なっていることもあります。

日本補綴歯科学会の資料でも、根管治療を受けた歯では、被せ物や土台の脱離、二次的な虫歯、歯根破折などが複合して起こることがあると報告されています。

差し歯が取れた原因は、外から見ただけでは判断できないことがあります。

1. 接着部分の力が弱くなっている

差し歯は、歯科用の材料を使って土台の歯に装着されています。

長く使用している間に接着部分の状態が変化したり、わずかな隙間が生じたりすると、食事中の力をきっかけに外れることがあります。

ただし、「古くなった接着材だけが原因」とは限りません。接着部分が弱くなった背景に、虫歯や噛み合わせの問題が隠れていることもあります。

2. 差し歯の内側で虫歯が進んでいる

差し歯の境目に歯垢がたまると、外からは見えにくい部分で虫歯が進行することがあります。

虫歯によって土台の歯が溶けたり、形が変わったりすると、被せ物を支えられなくなり、差し歯が取れやすくなります。

神経を取った歯では、虫歯が進んでも強い痛みが出ないことがあります。そのため、「差し歯が外れたことがきっかけで、内側の虫歯が見つかった」というケースもあります。

3. 歯ぎしりや食いしばりで強い力がかかっている

歯ぎしりや食いしばりがあると、差し歯に繰り返し強い力が加わります。

特に就寝中の歯ぎしりは本人が気づきにくく、差し歯の接着部分や土台に少しずつ負担をかけます。

朝起きたときに顎が疲れている、頬の内側に歯の跡が付いている、家族から歯ぎしりを指摘されたことがある方は注意が必要です。

4. 噛み合わせが合っていない

歯は、治療後も少しずつすり減ったり、位置が変化したりします。

その結果、以前は問題がなかった差し歯に、強い力が集中するようになることがあります。差し歯の一部だけが先に当たる状態では、接着部分が揺さぶられ、外れやすくなります。

片側だけで噛む習慣や、硬いものを前歯で噛み切る習慣も、特定の差し歯に負担を集中させる原因です。

5. 硬いものや粘着性の高いものを食べた

硬いせんべい、氷、ナッツなどを噛んだときには、差し歯へ瞬間的に強い力がかかります。

また、お餅、キャラメル、ソフトキャンディーなどの粘着性が高い食品では、差し歯が引っ張られることがあります。

これらの食品を一切食べてはいけないわけではありませんが、小さく切る、差し歯だけで噛まない、左右の歯をバランスよく使うといった工夫が必要です。

6. 土台や歯の根に問題がある

差し歯の下には、被せ物を支えるための歯や土台があります。

被せ物だけでなく、土台まで一緒に外れた場合は、残っている歯が少なくなっていたり、土台が破損していたりする可能性があります。

さらに、歯の根にひびが入っているケースもあります。歯根破折を伴う場合は、単純な再装着では対応できず、歯を残せるかどうかを含めた検査が必要です。

被せ物だけ取れた場合と土台ごと取れた場合は何が違う?

ひと口に「差し歯が取れた」といっても、外れ方によって考えられる原因や治療方法が異なります。

取れたものの内側を見て、金属や白い棒状の土台が付いている場合や、歯のかけらのようなものが付着している場合は、被せ物だけが外れた状態ではない可能性があります。

差し歯の外れ方は、歯の内部の状態を判断する重要な手がかりになります。

外れ方を患者さん自身が正確に判断するのは難しいため、取れた差し歯はそのまま歯科医院へ持参してください。
次の表は、外れ方と考えられる状態を整理したものです。

差し歯の外れ方 考えられる状態 主な治療
被せ物だけが取れた 接着部分の問題、内側の虫歯、被せ物の不適合など 再装着または被せ物の作り直し
土台も一緒に取れた 土台の脱離・破損、残っている歯の不足など 土台の再治療と被せ物の作り直し
歯のかけらが付いている 土台の歯が欠けた、歯の根が割れた可能性 歯を残せるか検査し、必要な治療を選択
差し歯が割れている 強い噛み合わせ、歯ぎしり、外傷など 新しい被せ物の作製、噛み合わせの調整
何度も同じ場所が取れる 噛み合わせ、土台の形、虫歯、歯根破折など 原因を調べたうえで根本的な再治療

被せ物だけがきれいに外れており、土台の歯や差し歯に問題がなければ、付け直せる可能性があります。

一方、土台や歯の一部まで外れている場合は、被せ物を戻すだけでは安定しません。外れた差し歯の状態だけでなく、レントゲン撮影などで歯の根まで確認する必要があります。

取れた差し歯はそのまま付け直せる?

差し歯が取れたからといって、必ず新しく作り直すわけではありません。

差し歯の形に問題がなく、土台の歯に虫歯や破損がなく、適合状態も良好であれば、清掃や調整を行ったうえで再装着できる場合があります。

ただし、見た目がきれいでも、被せ物の内側で虫歯が進んでいることがあります。再装着できるかどうかは、診察と検査を行ってから判断します。

付け直せるかどうかは「差し歯」「土台」「歯の根」「噛み合わせ」の4点で決まります。

再装着できる可能性があるのはどのような場合?

次のような場合は、取れた差し歯を再び使用できる可能性があります。

  1. 差し歯が割れたり変形したりしていない
    → 被せ物の形が保たれており、土台の歯に正しく戻せることが条件です。
  2. 被せ物の内側に大きな虫歯がない
    → 土台の歯が健康な状態で残っていれば、再装着を検討できます。
  3. 土台が安定している
    → 被せ物を支える部分が欠けたり、ぐらついたりしていないことが重要です。
  4. 歯の根にひびや破折がない
    → 歯根に問題がある場合は、接着し直しても再び外れる可能性があります。
  5. 噛み合わせを調整できる
    → 一部に強い力が集中している場合は、再装着時に噛み合わせを整えます。

条件がそろっている場合でも、以前とまったく同じ状態へ戻せるとは限りません。差し歯の劣化や適合状態を確認し、長期的に使用できると判断された場合に再装着を行います。

作り直しが必要なのはどのような場合?

次のような状態では、差し歯の作り直しや土台からの再治療が必要になることがあります。

  • 被せ物の内側に虫歯がある
  • 差し歯が割れている、欠けている
  • 被せ物が変形している
  • 土台ごと外れている
  • 残っている歯が少ない
  • 噛み合わせが大きく変わっている
  • 同じ差し歯が何度も取れている
  • 歯の根にひびや破折が疑われる

単純に接着し直しても原因が残っていれば、再び外れる可能性があります。何度も同じ差し歯が取れている場合は、「接着力が弱いから」と決めつけず、土台や噛み合わせまで詳しく調べることが重要です。

歯科医院ではどのような検査や治療をする?

歯科医院では、取れた差し歯とお口の中を確認し、なぜ外れたのかを調べます。外れた被せ物を戻せるかだけでなく、土台の歯に虫歯がないか、歯の根に問題がないか、噛み合わせに偏りがないかなどを確認します。

差し歯の治療では「戻せるか」よりも先に「なぜ取れたか」を調べます。

一般的には、次のような流れで診察を行います。

  1. 取れた差し歯の確認
    → ひび割れ、変形、摩耗、内側に付着した歯質などを確認します。
  2. 土台の歯の診察
    → 虫歯、欠け、ぐらつき、痛み、歯ぐきの腫れなどを確認します。
  3. レントゲン撮影
    → 必要に応じて、歯の根や骨、土台の状態を調べます。
  4. 噛み合わせの確認
    → 差し歯へ強い力が集中していないかを確認します。
  5. 治療方法の決定
    → 再装着、被せ物の作り直し、土台の再治療などから適切な方法を選びます。

差し歯が外れた際に、接着だけして短時間で終わるケースもあります。ただし、繰り返し外れる場合や土台に問題がある場合は、原因を残したまま戻すと再発につながります。

「とりあえず付ける」のではなく、外れた理由を明らかにすることが、同じトラブルを防ぐための大切なポイントです。

差し歯が取れたまま放置するとどうなる?

差し歯が取れても痛みがなければ、数日から数週間、そのまま過ごせるように感じるかもしれません。

しかし、差し歯が取れた部分は、本来であれば被せ物に守られていた歯です。露出した状態で食事や歯磨きを続けると、土台の歯が欠けたり、汚れが入り込んだりする可能性があります。

放置期間が長くなるほど、再装着だけでは済まなくなる可能性が高まります。

土台の歯が欠けることがある

被せ物を外した状態の土台は、健康な天然歯と比べて細く、小さな形になっています。その状態で硬いものを噛むと、土台の一部が欠けることがあります。欠け方によっては、以前の差し歯が合わなくなり、新しい被せ物の作製が必要です。

虫歯が進行する可能性がある

差し歯が取れた部分には、食べかすや歯垢がたまりやすくなります。特に被せ物の内側ですでに虫歯が始まっている場合は、放置している間に進行する可能性があります。神経を取った歯では痛みが出にくいため、見た目や自覚症状だけでは判断できません。

歯や噛み合わせが変化することがある

差し歯がない状態が続くと、隣の歯や噛み合う反対側の歯が、わずかに動くことがあります。その結果、以前の差し歯が入らなくなったり、噛み合わせが変わったりする場合があります。

治療範囲が広がることがある

早い段階であれば再装着だけで済んだケースでも、土台の歯が欠けたり虫歯が広がったりすると、土台の作り直しや根の治療が必要になります。状態によっては歯を残すことが難しくなり、抜歯後の治療まで検討しなければならないこともあります。

どのような症状があれば早めに受診すべき?

差し歯が取れた場合は、痛みがなくても早めの受診が基本です。特に強い痛みや腫れ、出血などがある場合は、接着部分だけでなく、歯の内部や歯ぐきに問題が起きている可能性があります。

「強い症状」「歯の破損」「誤飲・誤嚥の可能性」がある場合は、受診を先延ばしにしないでください。

症状の強さや外れ方によって、受診の緊急性は異なります。
次の表を目安に、該当する症状がある場合は早めに歯科医院へ連絡してください。

状態・症状 考えられる問題 対応の目安
強い痛みがある 虫歯、歯の破折、歯の根や歯ぐきの炎症など できるだけ早く歯科医院へ連絡する
歯ぐきが腫れている 根の先の炎症、歯周組織の感染など 早めに受診する
出血や膿がある 歯ぐきの傷、感染など 放置せず受診する
土台の歯が欠けている 歯の破折、残っている歯質の不足 取れたものを保管して早めに受診する
転倒や事故の後に取れた 歯や歯の根、顎の骨の外傷 当日中を目安に相談する
差し歯を飲み込んだ 消化管への誤飲、気管への誤嚥 歯科医院へ連絡し、呼吸異常があれば速やかに医療機関を受診する

被せ物を飲み込んだ場合、多くは消化管へ入りますが、気管へ入り込む可能性もあります。せきが止まらない、呼吸が苦しい、胸に違和感があるなどの症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。日本歯科医師会も、詰め物や被せ物を飲み込み、呼吸に異常がある場合は、すぐに医療機関を受診するよう案内しています。

夜間や休診日に差し歯が取れたらどう過ごす?

夜間や休日に差し歯が取れ、すぐに歯科医院を受診できないこともあります。強い痛み、腫れ、出血、呼吸の異常などがなければ、取れた差し歯を保管し、次に受診できる日まで患部を刺激しないように過ごします。

無理に戻さず、取れた側で噛まず、次の診療日に早めに連絡してください。

受診までの間は、次の点に注意しましょう。

  1. 硬い食品を避ける
    → せんべい、フランスパン、ナッツ、氷などは避け、やわらかい食事を選びます。
  2. 熱いものや冷たいものを控える
    → 土台の歯に神経が残っている場合は、温度刺激で痛みが出ることがあります。
  3. 取れた側で噛まない
    → 反対側を使い、患部に強い力をかけないようにします。
  4. 歯ブラシで強くこすらない
    → 汚れを落とそうとして、露出した土台を強く磨くと痛みや破損の原因になります。
  5. 差し歯を口の中に入れたままにしない
    → 外れやすい状態で戻すと、誤って飲み込む可能性があります。

これらは、あくまで受診までの一時的な対応です。数日間痛みが出なかったとしても、差し歯や土台に問題がないとは限りません。

差し歯が何度も取れるのはなぜ?

同じ差し歯が何度も外れる場合は、単に接着力だけの問題ではない可能性があります。被せ物と土台の形が合っていない、残っている歯が少ない、噛み合わせの力が集中している、内側で虫歯が進んでいるなど、再発の原因を詳しく調べる必要があります。

何度も取れる差し歯は、付け直すだけでなく設計や土台から見直すことが大切です。

繰り返し外れる主な原因には、次のものがあります。

  1. 被せ物を支える歯の高さや量が不足している
  2. 土台の形や状態に問題がある
  3. 被せ物の適合が低下している
  4. 歯ぎしりや食いしばりが強い
  5. 噛み合わせの一部に強い力が集中している
  6. 被せ物の内側で虫歯が進んでいる
  7. 歯の根にひびが入っている
  8. 硬いものを噛む習慣がある

何度も取れている場合、「また接着すればよい」と考えていると、土台の歯へ負担が積み重なることがあります。

再発を防ぐには、外れた差し歯だけを見るのではなく、歯の根、残っている歯の量、噛み合わせ、生活習慣まで含めて原因を探ることが重要です。

差し歯を長持ちさせるにはどうすればよい?

差し歯を長持ちさせるには、被せ物そのものだけでなく、土台となる歯と歯ぐきを健康に保つ必要があります。差し歯と歯ぐきの境目は歯垢がたまりやすいため、毎日の歯磨きと定期的なチェックが大切です。

差し歯の寿命を左右するのは「清掃状態」「噛み合わせ」「力の管理」です。

1. 差し歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く

歯ブラシの毛先を差し歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに動かします。力を入れて大きく動かすよりも、毛先が境目に触れていることを意識しましょう。歯間ブラシやデンタルフロスも使うと、歯と歯の間の歯垢を除去しやすくなります。

2. 硬いものは小さくして食べる

りんごやフランスパンなどを前歯の差し歯だけで噛み切ると、被せ物に大きな力がかかります。硬い食品は小さく切り、奥歯を含めて左右の歯でバランスよく噛みましょう。

3. 歯ぎしりや食いしばりへの対策を行う

歯ぎしりや食いしばりが強い方には、就寝中に使用するナイトガードを提案することがあります。ナイトガードは、歯ぎしり自体を完全になくす装置ではありませんが、歯や差し歯へ直接かかる力を分散させる目的で使用します。

4. 定期的に噛み合わせを確認する

差し歯を入れた直後に問題がなくても、歯のすり減りや位置の変化によって、噛み合わせが変わることがあります。定期健診では、差し歯の境目や虫歯だけでなく、噛み合わせやぐらつきについても確認してもらいましょう。

差し歯が取れた場合の治療期間・通院回数・費用は?

治療期間や通院回数は、取れた差し歯をそのまま使用できるか、作り直しが必要かによって異なります。再装着だけで済む場合は、1回の受診で治療が完了することがあります。一方、虫歯や土台の破損、歯の根の問題がある場合は、複数回の通院が必要です。

再装着なら比較的短期間ですが、土台や根の治療が必要になると期間が長くなります。

費用についても、再装着、被せ物の作り直し、根の治療など、必要な処置によって変わります。
次の表は一般的な治療期間と通院回数の目安です。

歯の状態 主な治療 通院回数・期間の目安
被せ物と土台に問題がない 清掃・調整後に再装着 1回で終わることがあります
差し歯が破損・変形している 新しい被せ物を作製 2回以上、数週間程度が目安です
内側に虫歯がある 虫歯治療、土台・被せ物の作り直し 複数回、数週間程度かかることがあります
根の治療が必要 根管治療、土台・被せ物の作り直し 複数回、1か月以上かかる場合があります
歯を残すことが難しい 抜歯後にブリッジ、入れ歯、インプラントなどを検討 治療方法により大きく異なります

表に示した期間は目安であり、歯の状態、治療する位置、使用する材料、歯科医院の治療方法によって異なります。

治療費も一律ではありません。保険診療が適用される処置と、材料や治療方法によって自費診療になる処置があります。診察と検査を受けたうえで、必要な治療内容と費用の説明を受けましょう。

差し歯が取れたときのQ&A

Q1.差し歯が取れても痛くなければ放置してよい?

痛みがなくても、放置することはおすすめできません。神経を取った歯は、虫歯や歯の根の問題があっても痛みを感じにくいことがあります。また、土台の歯が露出した状態で噛むと、欠けたり割れたりする可能性があります。

痛みの有無だけで判断せず、できるだけ早く歯科医院へ相談してください。

Q2.取れた差し歯を瞬間接着剤で付けてもよい?

瞬間接着剤や家庭用接着剤は使用しないでください。被せ物がずれた状態で固定されたり、接着剤が土台や歯ぐきに付着したりすると、その後の治療が難しくなることがあります。

取れた差し歯は容器に入れて保管し、接着せずに歯科医院へ持参しましょう。

Q3.取れた差し歯は当日に付け直せる?

差し歯と土台の歯に問題がなければ、当日に再装着できる場合があります。一方、内側の虫歯、土台の破損、歯の根のひびなどが見つかった場合は、先に必要な治療を行います。

診察前に再装着できるとは断定できないため、取れた差し歯を持参して状態を確認してもらいましょう。

Q4.前に治療した歯科医院でなくても診てもらえる?

以前治療を受けた歯科医院でなくても、診察を受けることは可能です。引っ越し、旅行、休診日などで以前の医院を受診できない場合は、近くの歯科医院へ相談してください。

いつ頃治療した差し歯か、使用している材料がわかる場合は、受診時に伝えると診断の参考になります。

Q5.差し歯が取れた日は何を食べればよい?

取れた側を避け、やわらかく刺激の少ない食事を選びましょう。おかゆ、やわらかいうどん、豆腐、卵料理、煮物などが比較的食べやすいでしょう。硬い食品、粘着性の高い食品、極端に熱いものや冷たいものは避けてください。

食後は強く磨かず、水やぬるま湯で軽く口をゆすぎます。

まとめ

差し歯が取れたら自分で付けず、早めに歯科医院へ

差し歯が取れたときは、取れた差し歯を捨てずに保管し、自分では接着せず、できるだけ早く歯科医院を受診してください。

差し歯が取れる原因には、接着部分の問題だけでなく、被せ物の内側の虫歯、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの変化、土台の破損、歯の根のひびなどがあります。

差し歯や土台の状態が良好であれば、そのまま付け直せる場合があります。しかし、虫歯や破損がある場合は、被せ物や土台の作り直しが必要です。

大切なのは、外れた差し歯を戻すことだけではありません。
「なぜ取れたのか」を確認し、同じトラブルを繰り返さない治療を行うことが重要です。

差し歯が何度も取れる、土台ごと外れた、痛みや腫れがあるといった場合は、接着だけで済ませず、歯の根や噛み合わせまで詳しく確認してもらいましょう。

日頃から差し歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨き、硬いものの食べ方に注意し、定期健診で噛み合わせや内部の虫歯を確認することが、差し歯を長く使うことにつながります。