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歯並び・歯列矯正

歯列矯正で話し方は変わる?矯正中と矯正後の発音の変化

歯列矯正で話し方は変わる?

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

歯列矯正で話し方は変わる?

一時的に変わることはありますが、多くの場合は慣れて元に戻り、むしろ発音が改善することもあります。

この記事はこんな方に向いています

  • 矯正治療中に「話しにくい」と感じている方
  • 人前で話す機会が多く、発音への影響が心配な方
  • 将来的に矯正を検討しているけれど「話し方が変わるのか不安」という方

この記事を読むとわかること

  1. 歯列矯正でなぜ一時的に話し方が変わるのか
  2. 矯正中に発音しづらくなる音の種類
  3. 矯正後に話し方が改善する理由
  4. 発音の変化に慣れるための工夫
  5. 日常生活でできる対処法

 

矯正中に話し方は変わるの?

矯正中は装置の影響で発音に違和感が出ることがあります。特に舌や唇が装置に当たりやすくなるため、「サ行」や「タ行」などの音が発音しづらくなることがあります。ただし、多くの患者さんは数日から数週間で慣れ、日常会話に大きな支障が出なくなります。

矯正後はむしろ歯並びやかみ合わせが改善されることで、発音がクリアになることも少なくありません。

矯正中は一時的に話し方が変わることがありますが、多くの場合は慣れて改善し、矯正後はプラスに働くことが多いです。

「矯正治療で起こりやすいトラブル」についてはこちらをご覧ください。

なぜ歯列矯正で発音や話し方に影響が出るの?

発音は歯、舌、唇、口蓋(上あごの内側)が連携して生まれるものです。矯正装置が加わると、このバランスが一時的に崩れ、空気の流れや舌の位置が変わることで発音に影響が出ます。特に以下の要因が大きく関係します。

  1. 矯正装置が舌に当たる → ワイヤーやマウスピースが舌の動きを制限し、一部の音が出しにくくなる。
  2. 口の中のスペースが変わる → 装置によって口腔内が狭くなり、舌の動きが制限される。
  3. 唾液の量が増える → 矯正開始直後は唾液が多く分泌され、発音しにくく感じることがある。

装置の存在によって舌や唇の動きが変わるため、一時的に発音が乱れるのです。

どんな音が出しにくくなるの?具体例はある?

矯正中に特に発音しづらくなる音は「舌先や歯の位置が重要な音」です。

  1. サ行(さ・し・す・せ・そ) → 舌先が歯や装置に当たりやすく、息が漏れやすい。
  2. タ行(た・ち・つ・て・と) → 舌の位置がずれやすく、はっきり発音しにくい。
  3. ラ行(ら・り・る・れ・ろ) → 舌先の繊細な動きが必要で、装置の影響を受けやすい。
  4. 英語の“th”音:舌を歯の間に軽く挟む必要があるため、特に矯正装置で影響を受けやすい。

サ行・タ行・ラ行などは矯正中に発音が乱れやすい音です。

これらの音は、舌と歯のわずかな接触が重要なため、矯正装置が加わると違和感が出やすいのです。ただし、発声練習や慣れによってほとんどの患者さんは自然に修正できます。

矯正が終わった後は話し方がどう変わる?

矯正治療が終了すると、歯並びやかみ合わせが整い、空気の流れや舌の位置が安定します。その結果、発音がクリアになったり、滑舌が改善したりするケースがあります。特に以下の点がメリットです。

  1. 不正咬合が改善されることで発音が安定
  2. 舌足らずな発音が減る
  3. 人前で話すときの自信につながる

矯正後は発音が改善し、話しやすさや自信につながることがあります。

一時的な発音の乱れに悩んだとしても、長期的には改善が期待できるため、多くの患者さんが「治療してよかった」と感じています。

発音の変化に慣れるためにできる工夫は?

発音に違和感があるときは、次の工夫が役立ちます。

  1. 声に出して読む練習 → 毎日新聞や本を音読することで舌や唇が装置に慣れる。
  2. 録音して聞き返す → 自分の発音のクセを客観的に確認できる。
  3. 話すスピードを少し落とす → ゆっくり話すことで舌の動きをコントロールしやすくなる。
  4. 唇や舌のストレッチ → 発声前に動きをスムーズにする。

発音に慣れるためには音読・録音・ゆっくり話す練習などが効果的です。

これらを実践することで、矯正中の違和感は早く解消されます。自分の努力で改善できることが多いため、前向きに取り組むと安心です。

矯正装置の種類によって話し方の変化は違うの?

矯正中の話し方の変化は「どの装置を使うか」によっても違います。従来のワイヤー矯正、マウスピース矯正、裏側矯正(リンガル矯正)では、それぞれ特徴があります。

  1. ワイヤー矯正(表側矯正)
    → 装置が唇の内側に当たるため、口を動かすときに違和感が出やすい。ただし発音そのものへの影響は比較的少なめ。
  2. マウスピース矯正(インビザラインなど)
    → 装置の厚みで舌の動きが制限され、発音がこもったり「ス」や「シ」が言いにくくなることがある。ただし装置を外せるため、人前で話す時に対応しやすい。
  3. 裏側矯正(リンガル矯正)
    → 舌の裏側に装置があるため、サ行やタ行など舌先を使う発音に強く影響する。慣れるまでに時間がかかることもあるが、練習によって改善する。

装置の種類ごとに発音への影響度は違います。特に裏側矯正は影響が大きいですが、時間と練習で慣れることが可能です。

発音が心配な方は、事前に矯正方法を相談することが大切です。「見た目を優先したいのか」「発音の負担を軽くしたいのか」を考え、ライフスタイルに合った方法を選ぶことが望ましいです。

矯正装置の種類と話し方への影響

矯正装置の種類 発音への影響 慣れるまでの期間 メリット 注意点
ワイヤー矯正(表側矯正) 唇の内側に当たりやすいが、発音自体への影響は比較的小さい 数日〜数週間 多くの症例に対応できる 見た目が気になる方には不向き
マウスピース矯正(インビザラインなど) 厚みにより「サ行」や「シ」がこもることがある 1〜2週間程度 取り外しができ、発音が気になる場面に対応可 装着時間を守らないと効果が下がる
裏側矯正(リンガル矯正) 舌に直接装置が当たり、サ行・タ行・ラ行が特に発音しづらい 数週間〜1か月 表から見えず目立たない 慣れるまで発音の違和感が強い

矯正装置の種類によって発音への影響は異なります。

  • ワイヤー矯正は「見た目が気になるが発音の変化は軽め」
  • マウスピース矯正は「発音が少しこもるが取り外しで調整できる」
  • 裏側矯正は「発音への影響は大きいが目立たない」

このように、一長一短があるため「発音を優先したいのか」「見た目を優先したいのか」を考えて選ぶことが大切です。

子供と大人で話し方の変化は違うの?

歯列矯正は子供と大人で影響の出方が異なります。子供は柔軟性が高く、発音器官も発達途中なので慣れるのが早い傾向にあります。一方、大人は既に発音のパターンが定着しているため、違和感が長引くケースもあります。

  1. 子供の矯正
    → 舌や唇の筋肉が柔らかいため、数日で適応できることが多い。学校生活で友達と話すことで自然にトレーニングになる。
  2. 大人の矯正
    → 職場や接客で話す機会が多いと発音の変化を強く意識しやすい。ただし大人は自主的に音読や練習を行えるため、改善スピードは早い。

子供は柔軟に適応でき、大人は意識的な練習で改善が早まります。

年齢によって慣れるスピードに差はありますが、どちらも時間の経過や訓練によって発音の不安は解消できます。

発音が不安なとき歯科医院でできることはある?

患者さん自身の努力に加え、歯科医院でのサポートも有効です。発音の変化に悩んでいる場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談することで具体的なアドバイスがもらえます。

  1. 装置の微調整:ワイヤーやマウスピースの位置を少し調整することで発音の不快感が軽減することがある。
  2. 発音指導の紹介:必要に応じて言語聴覚士(ST)を紹介してもらい、発声訓練を受けることもできる。
  3. 定期健診での確認:話しにくさや舌の傷つきなどがあれば、その場で改善策を取ってもらえる。

歯科医院での装置調整や専門家の紹介が、発音の不安を和らげる助けになります。

「話し方が変わってしまったらどうしよう」と悩む必要はありません。矯正は専門的なサポート体制があるため、安心して治療を続けることができます。

まとめ

話し方の変化は一時的、長期的にはプラスが多い

歯列矯正で話し方が変わることはありますが、それは一時的なものです。矯正装置が外れた後は、歯並びの改善によって発音がスムーズになるケースが多く、自信を持って話せるようになります。

矯正中の発音の乱れは一時的で、矯正後はプラスの変化が期待できます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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