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インプラント・入れ歯

子供でもインプラント治療はできるの?成長期に知っておきたい注意点とは

子供でもインプラント治療はできるの?

「インプラント治療は子供でもできるの?」というご質問をよくいただきます。答えは「原則として難しい」です。

成長期のお子さんが歯を失ったとき、「大人と同じようにインプラントを入れられるのでは?」と考える保護者の方も多いかもしれません。しかし、成長途中の顎の状態や将来的な噛み合わせへの影響を考えると、子供のうちはインプラント治療を避けるのが一般的です。

 この記事はこんな方に向いています

  • 子供の歯が事故や病気で抜けてしまい、将来が不安な保護者の方
  • 子供のインプラント治療について情報を探している方
  • 他の選択肢についても知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. 子供にインプラントが適さない理由
  2. 子供にインプラント治療を行うリスク
  3. 成長期に選ばれる代替治療法の種類
  4. 将来的なインプラント治療に向けた準備のポイント

 

子供のインプラント治療は原則できません

子供のインプラント治療は、骨の成長が止まっていないため原則として行うべきではありません。治療後に骨や歯並びが成長すると、インプラントがずれて噛み合わせや見た目に影響を及ぼすリスクが高まります。

顎の成長途中にある子供には、インプラント治療は基本的に不適応です。

なぜ成長期にはインプラントが適さないのか?

インプラントは骨と結合する性質があるため、成長に合わせて動く天然の歯とは違い、固定されたままになります。その結果、他の歯や顎の発達に悪影響を及ぼすことがあります。

インプラントは骨と結合するため、成長に対応できない

子供の成長とインプラントの関係

  1. インプラントは骨としっかり固定される治療法
  2. 天然の歯は、成長とともに位置が変化する
  3. インプラントは動かないため、ずれや傾きが生じる可能性がある

その結果、見た目や噛み合わせが乱れる恐れがあり、再治療が必要になるケースも。

実際に起こりうるトラブルとは?

子供のうちにインプラントを入れてしまうと、数年後に隣の歯が成長しているのに、インプラントだけが取り残されている状態になります。これにより、噛み合わせが崩れたり、見た目がアンバランスになることがあります。

成長とともに周囲の歯とのバランスが崩れ、再治療になるケースがあります。

起こりうる具体的な問題

  • インプラントが歯列から浮いたように見える
  • 歯並びが崩れ、不正咬合になる
  • 再治療時に骨の再形成が必要になる可能性がある

結果的に、かえって費用や治療期間が増えるリスクがあるので慎重な判断が必要です。

成長期の一時的な対応策

成長が終わるまでの間は、取り外し式の義歯(小児義歯)や隣の歯に接着して固定する「接着性ブリッジ」など、可逆的な方法で対応するのが一般的です。

子供には、取り外し式の義歯や仮歯などで一時的に対応します。

  • 小児義歯(取り外し可能で成長に調整可)
  • 保隙装置(隣の歯の移動を防ぐ)
  • 接着性ブリッジ(削る量が少なく、将来的な影響が少ない)
  • 矯正併用によるスペース管理

よく使われる代替治療法

治療法 特徴
小児義歯 成長に合わせて調整可能で、取り外しができるタイプ。見た目も自然。
接着性ブリッジ 隣の歯に接着して仮の歯を固定。削る量が少なく、将来のインプラントに影響しにくい。
矯正治療でスペース確保 歯列を整えながら、将来のインプラント用のスペースを作っておく方法。

どの方法も「将来インプラントに切り替える前提」で、子供の成長を妨げない配慮がされています。

子供の心理面への配慮も大切

子供が歯を失う経験は、見た目や発音の問題から自信をなくしてしまう要因にもなります。とくに前歯を失った場合、「友達にからかわれた」「口を開けて笑えない」といった悩みが生まれやすく、精神的なサポートも欠かせません。

そのため、単に機能的な代替法を選ぶだけでなく、見た目にも自然な仮歯や義歯を使って「笑顔に自信が持てる」ようにすることがとても重要です。

また、お子さん本人にもしっかり説明して、治療に協力してもらう姿勢を育てることが、将来的な口腔健康へのモチベーションにもつながります。

適齢期:いつからインプラント治療が可能になるのか?

インプラント治療が可能になる目安は、男女で異なりますが、おおむね17〜20歳以降です。個人差があるため、レントゲンやCT検査で骨の成長が完了しているかを確認することが大切です。

インプラントは骨の成長が止まった17〜20歳ごろから可能です。

成長終了の確認方法

  1. 顎の骨の成長をレントゲンやCTで確認
  2. 身長の伸びが止まっているかを参考にする
  3. 歯科医院での専門的な判断が必要

外見や年齢だけでは判断できないため、専門家の診断が欠かせません。

性別による違いにも注目

一般的に、女性の方が男性よりも骨の成長が早く終了する傾向にあります。目安として、女性は16~17歳、男性は18~20歳で成長が止まるケースが多いとされますが、個人差も大きいため、「◯歳だから大丈夫」とは一概には言えません。

インプラント治療を考える際は、口腔外科や矯正歯科の専門医と連携し、成長状態を精密にチェックすることが大切です。また、将来の噛み合わせに影響を与えないためにも、矯正治療のタイミングとの調整も重要になります。

将来に向けて:インプラント治療に備えて今できること

子供のうちにインプラント治療はできなくても、将来の治療に備えて歯磨き習慣を徹底したり、健診を欠かさず受けたりすることが大切です。周囲の歯を健康に保つことで、将来的な治療がスムーズになります。

今は予防とメンテナンスが大事。将来の準備をしよう。

今できるケアと予防

  1. 歯磨きの習慣を丁寧に身につける
    → 歯垢をしっかり除去し、むし歯や歯周病を防ぎましょう。
  2. 定期的な健診を受ける
    → 口内の状態を早めに把握して、トラブルを未然に防ぎます。
  3. 栄養バランスのよい食生活を心がける
    → 丈夫な歯や骨を育てる土台になります。

→ 将来のインプラント治療を見据え、土台となる健康な口内環境を整えておきましょう。

成長にあわせて口腔内をチェックし続けよう

インプラントを安全に行うためには、「骨の量・質」「歯茎の状態」「噛み合わせのバランス」といった複数の要素が良好であることが求められます。これらは成長とともに変化していくため、子供の時期から定期的に歯科でチェックしておくと安心です。

特に、永久歯の生え方や歯並びに異常がないかを確認し、不正咬合がある場合は早期に矯正治療を検討することで、将来のインプラント治療もスムーズに行える可能性が高まります。

まとめ

子供のインプラントは慎重に判断を!

子供にインプラント治療を行うことは、原則として避けるべきです。成長途中の骨や歯並びに悪影響を与える可能性が高く、長期的に見て不利益が生じることがあります。

まずは歯科医師としっかり相談し、現在は代替治療で経過を観察しつつ、将来の治療に向けて準備を進めることが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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