オープンバイトとは?原因、症状、治療法、放置リスクまで完全ガイド
オープンバイトというとピンとこない方が多いでしょうが、こんなお悩みに心当たりはありませんか。「前歯で食べ物を噛み切りにくい」「発音がはっきりせず滑舌が悪いと言われた」、これらはオープンバイトが関係している可能性があります。オープンバイトであれば食事のしづらさや発音のしにくさが起こりやすくなり、そのまま放置してしまうと、口腔内にさまざまなトラブルが生じるリスクも高まります。
では、オープンバイトを改善するには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。この記事では、オープンバイトの特徴や原因を詳しく解説し、矯正治療でどのように治していくのかについても分かりやすくご紹介します。少しでも口元の違和感が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
オープンバイトとは?定義と医学的な意味
オープンバイト(Open Bite/開咬)とは、上下の歯を噛み合わせた時に、本来接触するべき歯が接触せず、上下の歯の間にすき間ができる不正咬合のことを指します。特に多いのは前歯が噛み合わないタイプで、口を閉じて奥歯を噛んでも上下の前歯に隙間が残る状態が見られます。歯並びや噛み合わせは、3つの機能を支えています。
咀嚼機能
食べ物を噛み切りすりつぶして唾液と混ぜ合わせ、やわらかく飲み込みやすい食塊(しょっかい)にすること
発音機能
唇、舌、下あごなどに脳から指令を送り息を出し、声帯により声を作り、舌や口を変化させ、はっきり思い通りの音を作ること
審美機能
歯並びが綺麗であれば顔の印象や口元のバランスに好印象を与えることが多いこと
オープンバイトはこれらの機能を損なう噛み合わせの疾患であり、単なる見た目の問題のみではなく、健康や生活の質にも影響を及ぼす状態となります。
オープンバイトの種類とタイプ
オープンバイトは一つの種類ではなく、どの部分に生じているか、骨格性か、歯性かによっていくつかのタイプに分類されます。
どの部分がオープンバイトか
前歯部なのか、臼歯部なのか、どの部分がオープンバイトか診断する必要があります。
前歯部オープンバイト
前歯が噛み合わず、奥歯だけが接触している状態
臼歯部オープンバイト
奥歯が噛み合わず、前歯だけが当たっている状態
骨格性?歯性?
骨格性なのか、歯性なのかによって、出来る治療内容も変化してきます。
骨格性
顎の骨の形や成長バランスが原因で起こるものです。下顎が後方へ下がっていると、奥歯は当たっているのに前歯は噛み合わず、噛み合わせにズレが生じ、しっかり口を閉じにくくなります。顎の骨格は遺伝の影響を受けやすいですが、一方で指しゃぶりのような癖が長く続くと、積み重ねにより少しずつ形やバランスが変わってしまうことがあります。重度のケースが多いです。
歯性
歯の位置や傾きが原因で起こるものです。前歯が通常より歯ぐきの中に深く入り込んだり、奥歯が歯茎から大きく出ていると歯の高さに差ができ噛み合わせが合いにくくなります。他に、前歯の並びが乱れているため、口を閉じたときに前歯同士がきちんと当たらず、すき間ができてしまう場合もあります。
オープンバイトの分類は治療方針に関係するため、歯科医院での正確な診断や精密検査が重要になります。歯性か骨格性かによって、矯正のみで治るか、外科的治療が必要か大きく変わります。
オープンバイトの主な原因
オープンバイトは偶然起こるものではなく、日常生活の習慣、癖、成長、筋肉の使い方や遺伝などの影響が積み重なって起こります。主な原因について挙げます。
- 幼少期の指しゃぶり
- 舌を前に突き出す癖
- 口呼吸
- 頬杖
- うつ伏せ寝
- 顎の成長バランスの異常
- 歯列矯正の後戻り
特に重要なのは、舌の位置です。本来、舌は上あごに軽く触れた位置で安定しているのが正常な状態ですが、オープンバイトの方は舌が上の前歯や下の前歯に触れている状態が多いです。そうなれば、舌が前歯を常に外側へ押し続けてしまいます。
オープンバイトによって起こる症状やトラブル
オープンバイトは口の中のみでなく、全身の機能にも影響します。
1. 咀嚼機能の低下
- 前歯で食べ物を噛み切れない
- 奥歯に過剰な力が集中し、欠けたり割れやすくなる
- 消化不良を起こしやすくなる
2. 発音障害
- サ行やタ行、ラ行が発音しにくい
- 空気が漏れて不明瞭な話し方になる
3. 顎関節への負担
- 顎がカクカク鳴る
- 口が開きにくく痛い
- 顎関節症のリスクが上昇
4. 見た目の変化
- 口が閉じにくい
- 口元が出て見える
- 顔の輪郭が崩れる
オープンバイトは自然に治るのか
結論として、オープンバイトが自然に治ることはほとんどありません。今から挙げることのどれかに当てはまる場合、自然治癒は期待できないと思っておきましょう。
永久歯が生えそろった後である
舌の癖や口呼吸が残っている
骨格に原因がある
子どもの場合は、指しゃぶりなどの癖をすぐにやめられれば改善する可能性がありますが、大人になってからは歯科医院での矯正治療が必要となります。
オープンバイトの診断や治療方法
歯科医院では、見た目のみでなく専門的な検査で診断します。
診断方法
- 口腔内写真
- レントゲン、セファログラム
- 噛み合わせの分析
- 顎の骨格の成長バランス分析
歯性か骨格性か、軽度か重度かが判別され、適切な治療計画が立てられます。
治療方法
オープンバイトの治療は原因や程度によって治療法が変わります。
ワイヤー矯正
歯の表面にくっつけるブラケットという突起とワイヤーを使った矯正方法で、ブラケットの中にワイヤーを通して歯並びを整えていく
マウスピース矯正
自然で目立ちにくい、取り外し可能な透明のマウスピース型の矯正装置(当院ではインビザラインを採用)を交換し、歯並びを整えていく
口腔筋機能療法(MFT)
舌や唇、咀嚼筋などの筋肉の訓練で緊張する筋肉をリラックスさせ、咀嚼や嚥下、発音、呼吸を訓練し、正常な環境に整えていく
外科矯正
原因である骨格を削って治療を行うセットバック手術を行い、術後に矯正をして歯並びを整えていく(セットバック治療などの手術は当グループのカトレア院で行っています)
骨格性のオープンバイトであれば外科矯正、歯性のオープンバイトであればワイヤー矯正やマウスピース矯正という選択肢となります。オープンバイトでは舌の癖を改善しないと再発するため、矯正と並行してMFTを行うことが非常に重要です。
子供と大人のオープンバイト治療の違い
永久歯と乳歯がある状態を混合歯列期と呼びます。混合歯列期の子供と大人でのオープンバイト治療の特徴の違いについて説明します。
| 対象 | 特徴 | ポイント |
|---|---|---|
| 子ども | ・顎の成長をコントロールし成長を利用できる・癖を治すことで改善しやすい・比較的短期間で治療可能 | 成長期のため、指しゃぶり、舌癖などを早めに改善できれば治療が進めやすい |
| 大人 | ・顎の成長が終わっている・歯の移動や手術が必要になる場合がある・治療期間が子どもに比べて長くなりやすい | 骨格や習癖の影響が固定化していることが多く、治療計画が複雑になりやすい |
オープンバイトを放置するリスク
オープンバイトを治療せず放置した場合に起きるリスクについて説明します。
- 顎関節症の悪化
- 歯の破折、すり減り
- 歯周病の進行
- 口臭
- 虫歯
- 顔の歪み
つまり、オープンバイトは時間経過とともに進行する噛み合わせ異常です。
オープンバイトを悪化させないためにできること
オープンバイトを悪化させないよう、日常生活において自分自身で注意できる対策もあります。
指しゃぶりをやめる
口呼吸から鼻呼吸へ改善
舌を上あごのスポットへつける意識
頬杖、うつ伏せ寝を避ける
定期的に歯科検診を受ける
まとめ
オープンバイトは見た目のみでなく、機能をすべて損なう噛み合わせの異常です。噛めない、話しにくい、飲み込みにくい、顎を動かしにくいといった状態であれば、顎や歯の寿命にも影響する重大な噛み合わせの病気です。原因の多くは幼少期の癖であり、自然に治ることはほとんどありません。早期治療が最も効果的で放置すると悪化して痛みや症状が出てしまうケースが考えられます。
前歯が噛み合っていない、口が閉じにくいと感じる場合は、早めに歯科医院でオープンバイトの検査を受けることが、健康な口元への第一歩です。

