
子供が歯医者を嫌がって暴れる理由には、恐怖や不安、過去の体験が影響しています。しかし、適切な対応によって、子供の不安を軽減し、スムーズに治療を受けられるようにすることが可能です。子供が歯医者で暴れる理由と、それを防ぐための方法をご説明します。
子供は歯医者で嫌がって暴れるもの?
子供が歯医者で嫌がったり暴れたりすることは、実は珍しいことではありません。特に小さな子供にとって、歯医者という環境や治療は未知であり、多くの刺激を伴うため、不安や恐怖心を抱きやすいものです。以下に、子供が歯医者で嫌がる背景と、それに対する対処法について詳しく解説します。
子供が歯医者で暴れる理由は?
「子供が診察室で暴れて泣き声もすごくて、もう嫌になった」
「歯医者に通院するとわかると、暴れてしまって大変で連れていけない」
このようなお悩みを保護者の方から聞くことがあります。小学生でしたらご両親が「どうして歯の治療が必要なのか」を説明すると、理解はできます。ただ、乳児や幼児など小さな子供は、歯医者で暴れる場合もあります。その理由については、以下のようなことが挙げられます。
- 恐怖心
- どんなこと(むし歯治療のやり方)をするかよくわからず不安
- 口を触られる不快感
- 痛みへの不安
- 過去のトラウマ
- 体調や精神状態
1. 恐怖心
歯医者という環境そのものが子供にとって未知であることが多く、診療台に寝かされたり、大きなライトを向けられたりする経験は、初めての場合は特に恐怖心を抱きやすいです。
また、歯科治療に使用される音の大きな器具や鋭利に見える道具を目にすることで、さらに怖がることがあります。このような環境が子供の心理に強いストレスを与えることがあります。
環境の変化への敏感さ
知らない場所や初めて会う大人たちに対して緊張する子供も多いです。歯医者の待合室や診療室の特有の匂いや音、他の患者さんの姿などが、子供のストレスの要因になることがあります。親から離れることに不安を感じる年齢の子供であればなおさら、環境の変化が原因でパニックになる場合があります。
2.治療のやり方がよくわからず不安
歯科医院は歯のお医者さんと聞いても、ピンとこない状態でしょう。虫歯の部分を削ってばい菌のいない歯にすると言われても、削るという行為を子供は怖いと感じることが多いです。
3.口を触られるのが怖い
歯科治療中の音や振動、口を長時間開けることの不快感から、子供が抵抗することがあります。また、治療中に感じる痛みや違和感も原因となります。
一方的に何かをされるのが嫌
成長過程にある子供は、自分の意思を尊重してほしいと感じる時期があります。歯医者での治療は、自分で選択できる自由がほとんどないため、ストレスを感じやすくなります。このような場合、親や医師が無理に治療を進めようとすると、反発心が強まり、暴れる原因となることがあります。
4.痛みへの不安
痛みを伴う治療をイメージしてしまい、不安が募ることがあります。大人以上に痛みへの感受性が強い子供は、実際の治療の痛み以上に、不安や恐怖からくる想像の痛みによって大きな拒否反応を示すことがあります。また、他の子供や家族から聞いた話や、テレビやインターネットで見た情報が、痛みへの不安を増幅させる場合もあります。
5.過去のトラウマ
過去に歯医者で痛い治療を受けた、あるいは長時間口を開け続けたことで不快な思いをした経験がある場合、その記憶がトラウマとなって、歯医者に行くこと自体を拒否する原因になります。特に、小さい子供は過去のネガティブな経験を引きずりやすいため、一度でも嫌な思いをした歯医者には二度と行きたがらないことがあります。
6. 体調や精神状態
当日の体調が優れなかったり、機嫌が悪かったりすると、それが歯医者での不安や暴れる行動につながることがあります。また、十分な睡眠や食事をとっていない場合、子供の忍耐力や適応能力が低下し、些細な刺激にも敏感に反応してしまうことがあります。
暴れる子供への対応策

どのようにすれば、歯医者での治療を子供が嫌がらないのか、歯医者で暴れるのをやめさせるには、いくつかのポイントがあります。
❶歯科医師やスタッフと会話をする
会話をすると、ある程度の信頼関係ができ、子供の緊張感や不安は幾分か和らぎます。
❷実際に治療で使用する器具を見せて動かす
器具の実物を動かした状態を子供に見せて、「これを今からお口でやるからね」と言えば、子供にとって理解はしやすいです。年齢に応じた簡単な言葉で、何をするのかを説明し、安心感を与えましょう。
❸一回の治療の時間を短くする
安静な状態でじっとするというのは動きたい子供にとっては苦痛です。そのため治療の時間をなるべく短くするというのも効果的です。
❹照明やチェアーが嫌な子は光をずらしたり、チェアーの角度を控えめにする
照明や倒れるチェアーが怖くて固まる子供もいますので、歯科衛生士やドクターが子供と会話をしながら、妥協できる範囲で治療を行うと子供も受け入れやすいです。
会話をして(Tell)、見せて(Show)、実際に動かす(Do)方法を、一般的にTSD法と呼びます。このように段階的に行うと、子供の不安を取り除きやすく、実際の治療をスムーズに行えます。系統的脱感作法と専門用語で呼ばれます。
子供が歯医者を嫌がらないために
子供が歯医者さんを嫌がらないために、大切なポイントがあります。
出来たことを見つけ、上手だったよとたくさんほめてあげる
褒められることで自信がつき、次の来院の時にもまたたくさんほめてもらえるだろうと思え、頑張ることができます。また、診療後に小さなご褒美を用意しておくことで、モチベーションを高められます。
痛みなどの症状がなくても定期検診へ連れていく
虫歯ではなくても、フッ素塗布や歯肉や歯の生え方の確認を通常から行うことで、よくいく場所だと理解し、怖さや不安を減らせます。
歯の治療に関する絵本を見つけて、子供にイメージさせる
虫歯の治療に関する絵本はあるので、それらを活用して絵本を読みながら説明すれば子供は受け入れやすくなります。
嘘をついたり、だましてクリニックへ連れて行くのはよくありません。マイナスのイメージや、だまされたという負の感情が歯医者さんへ行く度に思い出されるからです。恐怖心が強ければ、歯科恐怖症になることも考えられますので、子供の気持ちを理解し、共感するようにしましょう。
まとめ

子供が歯医者で暴れる理由は、不安や恐怖心が原因であることが多いですが、親や歯科医師が適切に対応することでその克服が可能です。治療前に器具を見せて説明する、治療時間を短縮する、子供を褒めるなど、具体的なアプローチが効果的です。
また、痛みがなくても定期健診を受けさせることで、歯医者を身近な場所と感じてもらうことができます。子供の歯の健康を守るためには、無理をさせず、安心感を与えながら治療を進めることが大切です。
監修

歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
まつもと歯科
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