歯科衛生士がお口の悩みに答えます
子供の歯

子供が歯医者で暴れる理由とやめさせる方法

子供が歯医者で暴れるので、なるべく連れて行きたくないというパパやママは多いと思います。今日は、子供が歯医者で暴れる理由や、どうすれば嫌がらずに通院してくれるかなど、詳しくご紹介いたします。

子供が歯医者で暴れる理由は?

子供
  • お子さんが診察室で暴れて泣き声もすごくて、もう嫌になった
  • 歯医者に通院するとわかると、暴れてしまって大変で連れていけない

このようなお悩みを保護者さんから聞くことはとても多いです。小学生でしたらご両親が治療の必要を説明すると、理解はできます。ただ、乳児や幼児など小さなお子様は、暴れるという行動で嫌がるでしょう。その理由については、以下のようなことが挙げられます。

  • 知らない場所で知らない大人に何人も会う
  • どんなこと(むし歯治療のやり方)をするかよくわからず不安
  • 口を触られるのが怖い
  • 痛いことをする場所と聞いたことがある

知らない場所で知らない人に会うのが怖い

大人でも初めて行く場所に緊張があるように、子供も緊張や不安を感じます。言葉で表現することが難しい小さな子どもは、暴れるという行動で示すのです。

治療のやり方がよくわからず不安

歯科医院は歯のお医者さんと聞いても、ピンとこない状態でしょう。虫歯の部分を削ってばい菌のいない歯にすると言われても、削るという行為を子供は怖いと感じることが多いです。

口を触られるのが怖い

風邪をひいた時には、小児科のお医者さんに外側から触られますが、歯医者さんではお口の内側から処置を行います。お口の中はご両親などの親しい方以外触ることがありませんので、不安を感じる子もいるでしょう。

痛いことをする場所と聞いたことがある

ご両親が歯科治療を受診されて「歯医者さん痛かった」という話を聞くと、お子さんは「歯医者さんは痛いことをするところ」という認識になります。お子さんが歯磨きをきちんとせず「歯が痛くなったら、歯医者さんへ行かなければならない」と叱ると、歯医者さんは恐怖の対象になってしまいます。このような注意の仕方は避ける方が良いです。

以前、別のクリニックで治療を受診していて、過去の経験から暴れるという可能性もあります。お子さんとドクターやスタッフのコミュニケーション不足や、アフターフォローができず、行きたくないという意思表示を暴れるという行動で示しているケースもあります。

歯医者で暴れるのをやめさせる方法

子供

どのようにすれば、歯医者での治療を子供が嫌がらないのか、歯医者で暴れるのをやめさせるには、いくつかのポイントがあります。

歯科医師やスタッフと会話をする
会話をすると、ある程度の信頼関係ができ、お子さんの緊張感や不安は幾分か和らぎます。

実際に治療で使用する器具を見せて動かす
器具の実物を見て動かした状態をお子さんが確認して、「これを今からお口でやるからね」と言えば、子供にとって理解はしやすいです。

一回の治療の時間を短くする
安静な状態でじっとするというのは動きたいお子さんにとっては苦痛ですので、治療の時間をなるべく短くするというのも効果的です。

照明やチェアーが嫌な子は光をずらしたり、チェアーの角度を控えめにする
照明や倒れるチェアーが怖くて固まるお子さんもおられますので、歯科衛生士やドクターがお子さんと会話をしながら、妥協できる範囲で治療を行うとお子さんも受け入れやすいです。

お子さんをパパやママの上に座らせ抱きかかえた状態で治療を行うクリニック、付き添いの保護者さんへお子さんのそばにいてほしいというクリニック、逆に離れた位置にいてくださいというクリニックなど、様々です。クリニックにより診療方針がありますので、しっかりと確認をしてください。

会話をして(Tell)、見せて(Show)、実際に動かす(Do)方法を、一般的にTSD法と呼びます。このように段階的に行うと、子供の不安を取り除きやすく、実際の治療をスムーズに行えます。系統的脱感作法と専門用語で呼ばれます。

子供が歯医者を嫌がらないために

子供が歯医者さんを嫌がらないために、大切なポイントがあります。

出来たことを見つけ、上手だったよとたくさんほめてあげる
褒められることで自信がつき、次の来院の時にもまたたくさんほめてもらえるだろうと思え、頑張ることができる。

痛みなどの症状がなくても定期検診へ連れていく
虫歯ではなくても、フッ素塗布や歯肉や歯の生え方の確認を通常から行うことで、よくいく場所だと理解し、怖さや不安を減らせる。

歯の治療に関する絵本を見つけて、お子さんにイメージしてもらう
虫歯の治療に関する絵本はあるので、それらを活用して絵本を読みながら説明すればお子さんは受け入れやすい。

嘘をついたり、だましてクリニックへ連れて行くのはよくありません。マイナスのイメージや、だまされたという負の感情が歯医者さんへ行く度に思い出されるからです。恐怖心が強ければ、歯科恐怖症になることも考えられますので、注意しましょう。

まとめ

乳歯は永久歯の半分程度しかエナメル質がないため、虫歯になり変色をすれば、神経を抜くまでの期間が大人と比べてとても早いのが特徴です。毎日の歯みがきの習慣もとても大事ですが、定期的に通院を行い、歯の生え変わりの状態や歯茎、むし歯チェックなどを行うことで、お子さんは場に慣れていきます。歯並びや噛み合わせによっては早めに矯正を行った方が、抜歯をせず顎の広さを整えてコントロールできることもありますので、気になる方は小児歯科や小児矯正を標榜している医院にお気軽にご相談ください。