子供が歯医者で暴れるので、なるべく連れて行きたくないというパパやママは多いと思います。今日は、子供が歯医者で暴れる理由や、どうすれば嫌がらずに通院してくれるかなど、詳しくご紹介いたします。
子供が歯医者で暴れる理由は?
「子供が診察室で暴れて泣き声もすごくて、もう嫌になった」
「歯医者に通院するとわかると、暴れてしまって大変で連れていけない」
このようなお悩みを保護者の方から聞くことがあります。小学生でしたらご両親が「どうして歯の治療が必要なのか」を説明すると、理解はできます。ただ、乳児や幼児など小さな子供は、歯医者で暴れる場合もあります。その理由については、以下のようなことが挙げられます。
- 知らない場所で知らない大人に何人も会うのが怖い
- どんなこと(むし歯治療のやり方)をするかよくわからず不安
- 口を触られる不快感
- 痛いことをする場所と聞いたことがある
- 過去のトラウマ
1.知らない場所で知らない人に会うのが怖い
大人でも初めて行く場所に緊張があるように、子供も知らない環境下では緊張や不安を感じます。言葉で表現することが難しい小さな子どもは、暴れるという行動で示すのです。
2.治療のやり方がよくわからず不安
歯科医院は歯のお医者さんと聞いても、ピンとこない状態でしょう。虫歯の部分を削ってばい菌のいない歯にすると言われても、削るという行為を子供は怖いと感じることが多いです。
3.口を触られるのが怖い
歯科治療中の音や振動、口を長時間開けることの不快感から、子供が抵抗することがあります。また、治療中に感じる痛みや違和感も原因となります。
4.痛いことをする場所と聞いたことがある
ご両親が歯科治療を受診されて「歯医者さん痛かった」という話を聞くと、子供は「歯医者さんは痛いことをするところ」という認識になります。子供が歯磨きをきちんとせず「歯が痛くなったら、歯医者さんへ行かなければならない」と叱ると、歯医者さんは恐怖の対象になってしまいます。このような注意の仕方は避ける方が良いです。
5.過去のトラウマ
以前受けた歯科治療で嫌な思いをした経験が子供のトラウマとなり、次回の治療時に暴れる原因となることがあります。
子供が歯医者で暴れるのをやめさせる方法
どのようにすれば、歯医者での治療を子供が嫌がらないのか、歯医者で暴れるのをやめさせるには、いくつかのポイントがあります。
❶歯科医師やスタッフと会話をする
会話をすると、ある程度の信頼関係ができ、子供の緊張感や不安は幾分か和らぎます。
❷実際に治療で使用する器具を見せて動かす
器具の実物を動かした状態を子供に見せて、「これを今からお口でやるからね」と言えば、子供にとって理解はしやすいです。
❸一回の治療の時間を短くする
安静な状態でじっとするというのは動きたい子供にとっては苦痛です。そのため治療の時間をなるべく短くするというのも効果的です。
❹照明やチェアーが嫌な子は光をずらしたり、チェアーの角度を控えめにする
照明や倒れるチェアーが怖くて固まる子供もいますので、歯科衛生士やドクターが子供と会話をしながら、妥協できる範囲で治療を行うと子供も受け入れやすいです。
子供をパパやママの上に座らせ抱きかかえた状態で治療を行うクリニック、付き添いの保護者さんへ子供のそばにいてほしいというクリニック、逆に離れた位置にいてくださいというクリニックなど、様々です。クリニックにより診療方針がありますので、しっかりと確認をしてください。
会話をして(Tell)、見せて(Show)、実際に動かす(Do)方法を、一般的にTSD法と呼びます。このように段階的に行うと、子供の不安を取り除きやすく、実際の治療をスムーズに行えます。系統的脱感作法と専門用語で呼ばれます。
子供が歯医者を嫌がらないために
子供が歯医者さんを嫌がらないために、大切なポイントがあります。
出来たことを見つけ、上手だったよとたくさんほめてあげる
褒められることで自信がつき、次の来院の時にもまたたくさんほめてもらえるだろうと思え、頑張ることができる。
痛みなどの症状がなくても定期検診へ連れていく
虫歯ではなくても、フッ素塗布や歯肉や歯の生え方の確認を通常から行うことで、よくいく場所だと理解し、怖さや不安を減らせる。
歯の治療に関する絵本を見つけて、子供にイメージさせる
虫歯の治療に関する絵本はあるので、それらを活用して絵本を読みながら説明すれば子供は受け入れやすい。
嘘をついたり、だましてクリニックへ連れて行くのはよくありません。マイナスのイメージや、だまされたという負の感情が歯医者さんへ行く度に思い出されるからです。恐怖心が強ければ、歯科恐怖症になることも考えられますので、注意しましょう。
子供が歯医者で暴れる理由とやめさせる方法に関するQ&A
子供が歯医者で暴れる理由は、知らない場所で知らない大人に会うのことが怖い、治療のやり方がよくわからず不安、口を触られるのが怖い、痛いことをする場所と聞いたことがあることが挙げられます。
子供が歯医者で暴れるのをやめさせるために、まずは歯科医師やスタッフとの会話を大切にし、信頼関係を築くことが重要です。また、実際の治療器具を見せて動かすことで理解を助け、治療の時間を短くし、照明やチェアの角度を調整するなど、子供が受け入れやすい環境を整えることが効果的です。また、TSD法(Tell, Show, Do)を用いて段階的に不安を取り除く方法があります。
子供が歯医者を嫌がらないためには、出来たことを褒めることで自信をつけさせること、定期的な検診に通わせることで慣れさせること、歯の治療に関する絵本を活用してイメージを共有することが大切です。嘘をつくことやだますことは避け、負のイメージを持たせないように気をつけましょう。
まとめ
乳歯は永久歯の半分程度しかエナメル質がないため、虫歯になり変色をすれば、神経を抜くまでの期間が大人と比べてとても早いのが特徴です。毎日の歯みがきの習慣もとても大事ですが、定期的に通院を行い、歯の生え変わりの状態や歯茎、むし歯チェックなどを行うことで、子供は場に慣れていきます。歯並びや噛み合わせによっては早めに矯正を行った方が、抜歯をせず顎の広さを整えてコントロールできることもありますので、気になる方は小児歯科や小児矯正を標榜している医院にお気軽にご相談ください。
監修
歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
まつもと歯科
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