よくあるご質問
子供の歯

子供の歯が折れた時にどうすると良い?

子供の歯が折れた時にどうすると良い?

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

今日は子供の歯が折れた時にどのような処置を行っておけばよいのかご紹介します。

子供が転んで歯を怪我した時にまずすること

前歯はお口の外側にあるため、奥歯に比べて外傷を受けると、影響が及ぶ位置です。成長途中のお子様は、頭が重くバランスが不安定です。そのため、子どもは外や家関係なく転びやすい傾向にあり、運動神経が発達途中なので、手をついて回避することができません。顔を直接打って歯を強くぶつけてしまうと衝撃は大きいです。

いきなりのお子さんの転倒に、頭や膝、肘など打ったり擦りむいた部分の出血に気を取られ、歯が大丈夫かどうか気づかなかったというご両親も多いと思います。ただ、乳歯はいずれ永久歯に生え変わるからとダメージを負った乳歯を放置するのは口腔内の健康上良くありません。必要な処置を行わなければ、歯茎の中で成長をしようとしている永久歯に悪い影響を与えます。下記のようなお口の状態ならば、早く歯科医院へ受診しましょう。

  • 乳歯がグラグラする
  • 乳歯が折れた
  • 打った乳歯の角度が変わっている
  • 打った部分が黒く変色している

子供の歯が折れた時に行うこと


子供の歯が折れたり抜け落ちてしまった場合、牛乳や歯牙保存液という液体に浸けましょう。抜けたり折れた歯を持参して、すぐにお子さんと歯医者さんを受診すれば、ケースによっては歯を復元することが可能です。なぜ、液体に浸けて持っていくのがより良い方法かと言うと、衝撃で抜けた歯の周囲には歯根膜があるからです。

歯根膜は大変繊細な組織です。手でべたべた触る・ティッシュペーパーで包む・空気に触れて乾燥する、このような状態では歯根膜が死んでしまいます。歯が折れて落ちた場合は、歯の根の部分を持たずに、保存液か牛乳へ浸けるのが大切です。そしてすぐに受診すると歯を戻せる可能性が高まります。

子供の歯が折れた時に医院で行うこと

歩き始めたばかりの小さいお子さんは脱臼が起こりやすいです。歯槽骨もまだまだ柔らかく、歯にかかった衝撃で歯が歯肉にめり込む・歯の角度がずれる・歯が抜け落ちるということが多くなります。

亜脱臼のケース

亜脱臼はグラグラと動揺が見られるものの歯の位置がとどまっている状態です。歯根の部分が折れていないか歯科医師による確認をし、軽度の亜脱臼と診断された場合は、固い食べ物を噛まないなど医師より指導を受け、約1週間経過観察を行うことが多いです。ただ、柔らかい食べ物を噛んでも噛み合わせの際に痛みをお子さんが訴えてこられる場合は、隣の歯と負傷した歯をレジン(歯科用プラスチック)で接着して固定するという治療を行います。約2週間程度経ってから、歯科医院で状態を確認します。

歯周組織を改善するためには、歯周組織を衛生的に保つ必要があります。うがい薬を口腔内に行きわたらせることで清潔に保ち、腫れが治まってきたら、しっかり歯磨きを行いましょう。しっかりめの歯磨きとは、強く歯を磨くことではありません。柔らかい歯ブラシで時間を多めにかけてきちんと磨くことをおすすめします。

脱臼のケース

歯が抜けてしまうなど位置が異なることを脱臼と呼びます。

  • 歯を保存液か牛乳に湿潤させた状態で持っていくこと
  • 2時間以内に歯医者さんで処置をしてもらうこと

この二つの条件がそろった状態で、再植という歯を元に戻せる可能性が高まります。歯を元に戻し約10日程固定すると、歯根膜と歯槽骨が接着し正常に機能します。

歯根膜と歯槽骨がくっつかず、歯槽骨と歯がくっついてしまうと、他の歯は歯根膜があるため、歯根膜の高さ分、歯の長さが異なります。そのような状態が長く続くと歯根吸収を起こし、歯が抜けるリスクが高まります。また、歯肉から出血が多い場合は、歯肉を縫合する止血の治療を行います。

歯の変色

打った当初は何も変わらなかったのに、歯の色が変わってきた場合は、歯の内部で内出血を起こしています。内出血のみでしたら元通りに回復する可能性はありますが、歯がだんだん黒ずんできたという変色の仕方の場合、神経(歯髄)が死んでしまった可能性が高いです。神経が死んだ歯を放置すると、歯根に細菌感染が起きる方もおられます。歯の色が変わりかけていると思われたら、歯科医院でレントゲンなど精密検査を行い、ドクターの診断を仰ぎましょう。

歯根破折や歯槽骨骨折の場合は、かなり長い期間固定します。歯をなるべく残す治療法をどの医院も探ると思いますが、歯を残すことを天秤にかけてデメリットが多いと、抜歯になる可能性もあります。

子供が転んで歯が折れた場合に関するQ&A

子供の歯が折れた後、何をすればいいですか?

子供の歯が折れたり抜け落ちた場合は、牛乳や歯牙保存液に浸けて、歯医者さんを早めに受診しましょう。液体に浸けて持参するのは、歯根膜を保護するためです。歯根膜が死んでしまうと歯を復元することが難しくなります。

歯が折れた場合、なぜ液体に浸けて持っていくのですか?

歯が折れた場合、歯根膜を保護するために、抜けた歯を保存液か牛乳に浸けて持っていくのが良い方法です。触ったり乾燥させたりすると、歯根膜が死んでしまう可能性があるためです。

子供の歯が折れた場合、歯科医院でどのような処置が行われますか?

子供の歯が折れた場合、歯科医院では折れた歯の状態や影響範囲を評価し、必要な処置を行います。折れた歯を復元することが可能な場合は、再植や修復処置が行われることもあります。

まとめ


スポーツや学校の休憩時間などに走り回って、お子さんの歯が折れたというケースは意外とあるものです。急にこのような知らせを受けると動揺されると思いますが、歯を保存液か牛乳に入れて、歯科医院へ電話しすぐに受診することを覚えておきましょう。もちろん大きな交通事故に遭われた場合は、先に脳や体の診療科から受診される必要があります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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