
子供の受け口(しゃくれ)は、自然に治るケースは約10%未満とされ、早期の対応が重要です。ムーシールドは、夜寝ている間に装着するだけで、受け口の改善を目指せる矯正方法です。ムーシールドの仕組みや効果、メリット・デメリット、適切な使用時期についてご説明します。
子供の受け口矯正に使われる「マウスピース(ムーシールド)」

マウスピース(ムーシールド)とは
受け口(しゃくれ)は、3歳児検診くらいから指摘され始めます。
子供を歯科医院に連れて行っても、「永久歯が生えるまで様子を見ましょう」と言われることが多いかもしれません。乳歯のときに受け口になっていても、永久歯に生え変わるとそれが治ることもあるからです。
しかしもちろん個人差があるので、治らないこともあります。むしろ自然と治る可能性は、10%にも満たないと言われています。ゆえに「マウスピース(ムーシールド)」を使って、乳歯の頃から受け口(しゃくれ)を矯正する方法があります。

マウスピース(ムーシールド)の実際の効果
自宅で寝ている間につけてもらうものなので、効果は子供さん本人の協力度や頑張り次第で変わってきます。また小さな子供さんに使用するものなので本人だけでなく、保護者の協力も重要になってきます。
マウスピース(ムーシールド)のメリット・デメリット
マウスピース(ムーシールド)のメリットとしては、夜寝ている間につけるだけで良く見た目を気にしなくて済む点が挙げられます。また小さな子供さんでも、夜寝ている間だけであればストレスも感じにくいでしょう。
またしっかり歯磨きしてからマウスピース(ムーシールド)をはめれば、矯正装置により虫歯や歯肉炎のリスクが高まる・・・なんてこともありません。矯正装置による痛みというのもほとんど感じないでしょう。
逆にデメリットとしては、子供さん本人に協力が得られないと効果が感じにくいという点です。夜寝ている間に使用するので、無意識に外してしまうなんてこともあるかもしれません。
またマウスピース(ムーシールド)だけでは受け口が治らない場合もあります。その場合は別の方法をとって矯正治療を行う必要があります。
▼その後の矯正治療・時期(第1期治療)についてはこちら
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/children-when/
ただマウスピース(ムーシールド)を使用しても治らなかった場合、使用していなければもっと受け口になっていたでしょうから、使用することによるデメリットはあまりないかもしれません。
マウスピース(ムーシールド)を使用する時期・時間
マウスピース(ムーシールド)を使って子供の受け口矯正ができるのは、およそ3歳からです。というのも、3歳未満など子供さん本人の協力が得にくいため矯正効果が期待できないから。また3歳を過ぎてからでも、受け口(しゃくれ)の治療は間に合うからです。
マウスピース(ムーシールド)を使用する時間は、先述のとおり夜寝ている間のみ。使用を始めてから数ヶ月〜半年ほどで効果が出てくるようです。
受け口が治ってからも、後戻りしないようマウスピース(ムーシールド)の使用を続けることが大切です。
後戻り防止の期間を合わせても、マウスピース(ムーシールド)を使用する期間はおよそ1年ほどと言われています。
効果が現れるまでの期間
マウスピース矯正は、受け口の程度や子供の成長スピードにより効果が異なります。一般的には、数か月から1年程度の装着で徐々に効果が現れることが期待されますが、個々のケースにより治療期間が異なります。
ムーシールドの仕組み
普段や食べ物を飲み込むとき、舌は上あごにつくのが正常です。これにより上あごに力がかかり、上あごが成長します。
しかし受け口(しゃくれ)になっている子供は、普段や食べ物を飲み込むときなど、舌を下あごにつけてしまいます。これが日常的に行われていると、舌とあごの調和が取れず、受け口になってしまう・受け口が助長されてしまいます。
マウスピース(ムーシールド)は、つけた時に自然と舌が上あごにつくように作られています。またマウスピース(ムーシールド)をつけると、それにより上唇が上の前歯に当たらなくなります。これにより上あごの成長を促す=受け口(しゃくれ)を治すことができます。
ムーシールドの子供への負担
子供の受け口矯正に使用するマウスピース、特にムーシールドは、夜寝ている間に装着するだけです。そのため小さな子供さんでも、与える影響や負担はとても軽いと考えられます。
子供の成長に合わせた矯正の重要性
成長期の子供にとって、受け口矯正は顔の成長や顎の発達に影響を与える可能性があります。そのため、早期治療が重要です。子供の成長に合わせた適切な治療方法を選ぶことが、将来的な口腔健康に繋がります。
1. 成長期の矯正治療のタイミング
子供の矯正治療は一般的に 一次矯正(乳歯期または混合歯列期) と 二次矯正(永久歯列期) に分けられます。
一次矯正(6〜12歳頃)
成長期にある子供の顎や顔の骨は柔軟で成長が進行中のため、骨格の不正咬合(顎の位置や形のズレ)を改善しやすいです。この時期には、不正咬合や歯列不正の原因を早期に取り除くことで、後の矯正治療が簡易になることがあります。
二次矯正(12歳以降)
永久歯が生え揃った時期に、歯並びや咬み合わせを最終的に整えます。一次矯正を受けた子供の場合、治療期間が短縮されることが多いです。
2. 顎や顔の成長を利用した矯正
子供の顎や顔面は成長とともに変化します。この成長を利用することで、歯列不正や顎のズレを無理なく改善できます。
顎の拡大
小児期には顎の成長を促す装置(例えば拡大装置)を使用して、歯が正しい位置に並ぶためのスペースを作ることが可能です。
非抜歯治療の可能性
成長期に治療を行うことで、歯を抜かずにスペースを確保することができるケースが増えます。
顔面のバランス改善
成長に応じた矯正治療は、顎の位置を調整することで顔全体のバランスを整える効果も期待できます。
3. 不正咬合の早期改善がもたらすメリット
早期に治療を開始することで、子供の成長に伴う不正咬合が悪化するリスクを軽減できます。
咀嚼や発音の向上
正しい咬み合わせを確保することで、食べ物を噛む力が向上し、発音にも良い影響を与えます。
心理的な影響の軽減
歯並びや顎の不正によるコンプレックスを早期に解消することで、子供の自己肯定感を高めることができます。
虫歯や歯周病のリスク軽減
歯列不正が改善されると、歯磨きがしやすくなり、歯垢や歯石の蓄積を防ぎやすくなります。
4. 成長終了後の矯正との違い
成長終了後に矯正を行う場合、顎の骨の成長が止まっているため、骨格の不正を改善するのに外科的手術が必要になるケースがあります。一方で、成長期に適切な矯正を行えば、これらの手術を回避できる可能性が高まります。
5. 保護者が知っておくべきポイント
子供の矯正治療を効果的に進めるためには、保護者が以下の点を理解しておくことが大切です。
定期健診の重要性
子供の成長に伴う変化を見逃さないために、定期的な歯科健診を受けることが推奨されます。
矯正器具の使用状況の管理
子供が矯正器具を適切に使用しているかどうかを見守り、必要に応じて歯科医と相談することが重要です。
生活習慣の見直し
指しゃぶりや舌癖といった口腔習癖がある場合、これらを改善することが矯正治療の効果を高めます。
子供の成長に合わせた矯正治療は、顎や顔の骨の成長を利用できるため、効率的で長期的な効果が期待できます。早期に不正咬合を改善することで、機能面だけでなく、見た目や心理面でも多くのメリットをもたらします。矯正を検討する際には、子供の成長と治療タイミングについて担当医と十分に相談することが大切です。
まとめ

マウスピース(ムーシールド)は、子供の成長期における受け口矯正の有効な選択肢であり、軽い負担で矯正を進められるのが特徴です。早期に使用することで、顎の適切な成長を促し、将来的な外科的矯正や大掛かりな治療を避けられる可能性があります。
ただし、効果を得るためには子供の協力や保護者の支援が欠かせません。専門医と相談しながら、子供に合った治療計画を立てることが大切です。