
子供の受け口やしゃくれの矯正を早期に始めることで、顎の成長を利用しながらバランスを整えることが可能ですが、タイミングを間違うと効果が出ない場合もあります。矯正を始めるべき時期やそのメリット・デメリットについてご説明します。
矯正を検討するタイミング
受け口(反対咬合)やしゃくれは、成長期に特に注意が必要です。矯正治療を始める最適なタイミングは、子供の顎の成長と歯の発育状況によって決まります。一般的には、6歳から8歳頃が初期治療を開始する目安とされています。この時期に治療を開始することで、骨格の成長を適切な大きさや形に導くことが出来ます。
1. 受け口やしゃくれの原因を理解する
受け口(反対咬合)やしゃくれの主な原因は次の通りです:
- 骨格・・上顎の成長が遅れている、下顎の成長が過剰である、またはその両方のケース。
- 歯列・・歯の位置や並び方が問題で、噛み合わせが不正になる場合。
- 環境・・指しゃぶりや口呼吸、舌の癖などが発生要因となることがあります。
原因を特定することで、治療の方向性や時期が明確になります。特に骨格的要因の場合、成長期を利用した治療が効果的です。
2. 治療を検討する年齢の目安
幼児期(3〜6歳)
幼少期に受け口やしゃくれが目立つ場合、早期治療を検討することがあります。この時期の治療では、上顎の成長を促進したり、下顎の成長を抑制する装置を使用します。ただし、軽度であれば経過観察とする場合も多いです。
学童期(6〜12歳)
乳歯から永久歯への生え替わりが進む時期で、このタイミングで治療を開始するケースが一般的です。骨格の成長がまだ活発なため、矯正装置や筋機能療法を用いて骨格的な改善を図ります。
思春期(12〜15歳)
思春期の成長スパートを利用することで、顎の成長のコントロールが可能です。この時期は、成長予測に基づいて最適な治療計画を立てることが重要です。
成長後(16歳以降)
骨の成長がほぼ完了するため、外科的治療や成人矯正が必要になる場合があります。治療がより複雑になるため、早めの対処が推奨されます。
3. 治療の種類と目的
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筋機能療法・・舌や口周りの筋肉の使い方を改善することで、不正咬合の進行を防ぎます。
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矯正装置・・拡大床やバンド装置を使って、顎の成長や歯の位置を調整します。
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外科的治療・・成長が終わった後で、手術が必要になる場合もあります。これには、顎骨の位置を修正する外科矯正が含まれます。
4. 早期治療のメリット
- 成長期を活用することで、顎骨の自然な成長を促進または抑制できる。
- 大掛かりな治療(手術など)を回避できる可能性がある。
- 子供の心理的負担が軽減され、見た目の改善が早期に得られる。
5. 注意点と検討すべきポイント
- 経過観察の重要性・・軽度の場合は、成長とともに自然に改善することもあります。定期的な歯科医の健診で適切な治療タイミングを見極めることが大切です。
- 専門医の診断を受ける・・小児矯正に詳しい専門医に相談し、適切な治療計画を立てましょう。
- 家族の協力・・矯正治療は子供一人ではなく、家族全体で支えることが成功の鍵です。
受け口・しゃくれを治療すべき時期

受け口(しゃくれ)に限らず、子供の歯列矯正は2つの時期に分けられます。
第2期:11〜15歳
このように分けられるのには、お子さんのあごの成長や歯の生え変わりの時期が関係しています。骨の成長を利用しながら顎の形を整え、歯をきれいに並べていくのが子供の歯列矯正の基本的な考え方です。
▼子供の歯の生え変わりについてはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/haekawari/
第1期治療(6〜10歳)
小学校入学前後〜小学校中学年くらいまでが第1期治療の時期に当たります。この時期は乳歯と永久歯が混在している時期で、永久歯がきれいに生えてくるように顎の大きさを調整したり、かみ合わせのバランスを整えます。
乳歯と永久歯が混在している状態でも、装置などをつけず観察のみで永久歯が生えそろうのを待ち、永久歯が生えそろったタイミングで第2期治療を始めることもあります。
第2期治療(11〜15歳)
小学校高学年〜中学3年生の時期です。この時期は乳歯が抜け永久歯が生えそろった時期。大人の歯列矯正と同じように本格的に歯を動かし、歯並びをきれいにしていきます。
早期から受け口を矯正するメリット

早期に矯正を始めることで、以下のようなメリットがあります。
成長を利用した治療が出来る
成長期における骨の柔軟性を利用して、顎の位置や形を正しく調整できるため、永久歯がきれいに並びやすく、大人になってから矯正治療や大掛かりな外科矯正を避けられることがあります。
第2期の治療が必要なくなることも
第1期治療(6〜10歳)ころから歯列矯正を始めていると、第2期の治療が必要なくなったり、簡単な治療で済む可能性があります。また歯並びや不正咬合がそれ以上悪くなるのを防ぐことができます。
ただ身長や体重などと同じで、あごや顔の成長は個人差が大きいです。しっかり検査・診断を行っても予想通りに成長しないこともあります。そのため、必ずしも第1期治療を行っておけば第2期治療が必要なくなるとは言えません。
抜歯のリスクが減る
また永久歯が生えそろってから行う矯正では、歯並びを整えるために抜歯をすることも多くあります。しかし早期から歯科医院で相談していれば、あごの成長に合わせながら歯列矯正を行うことができるので抜歯しないで済む可能性が高まります。
外見を気にするころ歯並びに悩まなくて済む
歯列矯正は、矯正方法によっては外見や見た目に影響を及ぼすのが事実です。早期から歯列矯正を始めれば、中学生や高校生など外見をより気にし始めるころには、歯並びがきれいに治っている可能性が高いです。
特に骨格が原因で受け口になっている場合は、下顎が前に出るのを抑えるためにチンキャップという装置をつけていただくこともあります。大人になってから治すのは難しいが顎の成長期にある子供の場合は下顎が前に出るのを抑制しながら成長させることできれいな輪郭になることが期待できます。
早期から受け口を矯正するデメリット

経済的な負担が大きくなる
第1期治療、第2期治療行うとなると、治療期間が長くなるとその分経済的な負担も大きくなってきます。
あくまで目安ですが、第1期治療ではおよそ15〜50万円ほど、第2期治療ではおよそ20〜120万円ほど費用がかかります。費用は使用する装置によって様々で、歯科医院によっても料金の設定は変わります。
虫歯や歯肉炎のリスクが高まる
歯列矯正の装置によっては、歯磨きがとても難しくなります。それにより虫歯や歯肉炎のリスクが高まることも。どこまでお子さん本人が頑張れるか、歯科医院に頑張って通えるかが重要になってきます。
子供がストレスを感じる可能性
また大人でさえ邪魔に感じる矯正装置ですから、子供はより嫌がるでしょう。矯正によって子供は大きなストレスを感じるかもしれません。
矯正を遅らせるべきケース
一方で、すべてのケースで早期治療が必要というわけではありません。例えば、顎の成長がまだ不安定な場合や、永久歯が完全に生え揃っていない場合は、治療のタイミングを遅らせた方が良いこともあります。永久歯が生え揃う10歳から12歳頃に治療を始めるのが適切なケースも多いです。
まとめ

子供の受け口やしゃくれの矯正は、成長期を活かしたタイミングで始めることが重要です。早期の治療は、骨格の成長を調整し、将来の矯正負担を軽減する可能性があります。ただし、個人差があるため、歯科医院での適切な診断を受けることが欠かせません。
監修

歯科衛生士
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
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