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インプラント・入れ歯

インプラント手術後に注意すべきこと

インプラント手術後に注意すべきこと

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

インプラント手術を受けた後の過ごし方は、治療の成功とその後の快適さに大きく影響します。術後の麻酔が切れるタイミングや出血・腫れへの対処法、飲食や運動の注意点など、気をつけるべきポイントをご説明します。

インプラント手術後の注意事項まとめ

メモ

インプラント手術を受けた当日から必要な、注意事項を説明します。

  1. 麻酔はどれくらいで切れる?
  2. 外見に変化はある?
  3. 出血が止まらないときは?
  4. 痛い痛みが強いときは?
  5. 歯磨きできる?
  6. 食事で気をつけることはある?
  7. 飲酒アルコール摂取しても良い?
  8. 当日運動入浴はできる?

①麻酔はどれくらいで切れる?

インプラント手術に限らず、抜歯などと同じで局所麻酔であれば2〜3時間ほどで麻酔は切れてきます。眠ったような状態で手術を行う、静脈内鎮静法を併用していれば、3〜4時間ほどかかります。

静脈内鎮静法とは

静脈内鎮静法とは、全身麻酔のように意識が完全になくなるものではありません。

静脈内鎮静法は注射を通して薬を入れていきます。意識はあるけれども眠っているような状態で、先生が話していることや声をかけると反応できることが多いです。この方法は恐怖不安感が強い方に使用されることが多いです。もちろん同意をとって行なっていきます。

静脈内鎮静法を行なっている歯科医院は限られてきますので、希望の場合は歯科医院を選ぶ必要があります。

②外見に変化はある?

インプラントを入れた本数が1〜2本であれば、ほとんど外見に変化はないと言われています3本以上のインプラントを入れたり、そのほか骨の処置を行った場合は顔が腫れることがあります。

顔の腫れは、直後や当日よりも、2日目にピークを迎えることが多いです。1週間も経てば落ち着くでしょう。

③出血が止まらないときは?

歯科医師による縫合で止血+患者さんによる圧迫止血が基本です。

インプラント手術後は、清潔なガーゼなどを手術部位でかんで圧迫止血を行います。10〜15分くらいガーゼをかんで、適宜ガーゼを交換しましょう。それを続けていても出血が止まらない場合は、歯科医院に相談しましょう。

④痛い・痛みが強いときは?

手術直後はまだ麻酔がきいていて、痛みを感じないことが多いです。しかし麻酔が切れた時に痛みが起こる場合があります。

当日は痛み止めが処方されます。手術が終わった直後は痛みを感じないことが多いですが、それでも痛み止めを飲みましょう。実際に痛みが出てから痛み止めを飲んでも、効果を感じにくいことがあるからです。そのため痛みが出る前にあらかじめ飲んでおくと良いでしょう。

痛みが出る前に痛み止めを飲んでも、量を増やして飲んでも痛みが効かない場合は、手術をした歯科医院に相談しましょう。

なお手術から数日したら、痛み止めは痛みがあるときのみの服用でOK。しかし痛み止めといっしょに処方された抗菌薬は、処方された分全てを飲みきりましょう

⑤歯磨きできる?

インプラント手術部位の歯磨きは避ける

7〜10日間くらいは、手術部位は磨かないようにしましょう。

インプラント手術の直後は、手術をした部位の近くは触らないようにしましょう。それは歯磨きであっても同様です。清潔を保つことは重要ですが、手術直後は話が別。

歯磨きにより手術部位の傷口が開いてきたり、治りにくくなったり、痛みが起こる原因となります。7〜10日間くらいは手術部位の歯磨きは避けましょう

歯磨きの代わりにうがい薬で清潔を保つ

歯磨きができない代わりにうがい薬などを処方してくれる歯科医院もあります。うがい薬は積極的に活用しましょう。いつもの歯磨きの代わりとなるので、毎食後や就寝前などに使用すると良いです。ただし出血の原因となるので、強いうがいはしないでください。

なお抜糸は7〜10日後が目安です。

抜糸が終わると、いつもどおり手術部位も磨けるようになります。

手術部位以外はしっかり歯磨き

歯磨きを控えるよう言われたからと言って、全部が磨けないわけではありません。インプラント手術を受けていない、つまり手術部位以外の部分はいつもどおりの歯磨きをしましょう

手術を受けていない部分といっても同じ口腔内です。汚れや細菌であふれかえっていては、手術部位にも悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥食事で気をつけることは?

当日は、おかゆなどやわらかい食べ物にしておきましょう。また出血や痛みが出ないよう、手術をした部位とは反対側でかむようにしましょう。

麻酔がまだきいている場合は注意が必要です。熱いものや刺激物でやけどなどをしても、感覚がなく気付きにくいためです。手術直後はそのような食べ物は避けることをおすすめします

⑦飲酒・アルコール摂取しても良い?

2〜3日はお酒・飲酒・アルコールを避けましょう。血行が良くなり痛みが出たり、出血の原因となります。

当日は安静にしてゆっくり休みましょう。身体が疲れていると、手術部位の治りも悪くなります。

⑧当日運動・入浴はできる?

当日の運動は避けましょう。飲酒と同じで、運動により血行が良くなり痛みが出たり、出血の原因となります。

また入浴についても同様。血行が良くなると痛みや出血の原因となりますので、シャワー程度にとどめ入浴は避けましょう

手術後の感染予防

口腔内の清潔を保つことの重要性

インプラント手術後は感染リスクが高まるため、特に術後1週間は口腔内を清潔に保つことが重要です。当日は歯磨きを控え、翌日からは患部を避けて優しくブラッシングすることが推奨されます。また、歯科医が処方する抗菌洗口液を使用することで、細菌感染を防ぐことができます。

抗生物質の服用

歯科医から処方された抗生物質を指示通りに服用することで、感染を予防することができます。自己判断で服用を中止しないよう注意が必要です。

食事に関する注意点

柔らかい食事の摂取

術後数日間は硬い食べ物を避け、スープや柔らかい食べ物を中心に摂取することが推奨されます。噛む際にインプラント部位に負担がかかると、治癒が遅れる可能性があります。また、熱すぎる食べ物や飲み物も避けるべきです。

アルコールとタバコの制限

アルコールは血行を促進し、出血のリスクを高める可能性があるため、術後1週間は控えることが推奨されます。また、タバコは血流を悪化させるため、インプラントの定着を妨げる可能性があります。禁煙が難しい場合でも、少なくとも術後の回復期間中は控えるよう努めましょう。

出血や腫れへの対処法

軽度の出血への圧迫止血

術後に軽度の出血が見られることがありますが、これは通常の反応です。ガーゼを患部に当て、軽く噛んで圧迫止血を行います。出血が24時間以上続く場合や、大量の出血がある場合は、すぐに歯科医に連絡することが重要です。

腫れを抑えるために冷やす

手術後、顔が腫れることがありますが、冷たいタオルや氷嚢を使って患部を冷やすことで腫れを軽減できます。特に最初の48時間は冷却が効果的です。

痛みの管理

痛み止めの使用

歯科医から処方された鎮痛剤や、市販の鎮痛薬を使用することで、術後の痛みを緩和することができます。薬を服用しても痛みが続く場合や、急激に悪化する場合は、すぐに歯科医に相談しましょう。

まとめ

歯のキャラクター

インプラント手術後は、麻酔が切れるタイミングや歯磨きの注意点、飲酒・運動の控え方など、日常生活での注意が必要です。特に、術後の感染を防ぐためにお口の中を清潔に保ち、医師の指示に従った抗生物質の服用や食事の工夫を行うことが大切です。これらのケアを怠らず、定期的な歯科医院でのメンテナンスを続けることで、インプラントの成功率を高め、長く快適な生活を送ることができます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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