
矯正用マウスピースは、毎日長時間口の中に装着するため、洗浄して清潔な状態での使用がが大切です。汚れや細菌が溜まると、口腔内の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、マウスピース自体の劣化を早める可能性があります。
「矯正用マウスピースの洗い方」について解説します。
洗浄の頻度とタイミング
毎日2回以上洗浄することが基本
マウスピースは食事の後や飲み物を摂取した後に汚れが付着しやすいです。これを放置すると細菌の繁殖が進み、口臭や虫歯、歯肉炎の原因になる可能性があります。特に、朝起きた後は寝ている間に唾液の分泌が減り、細菌が増殖しているため、洗浄が重要です。また、就寝前も一日の汚れを取り除き、清潔な状態で睡眠中の矯正効果を高めることができます。
マウスピースを外したらすぐに洗う
外した後に放置すると、唾液や食べ物の残りが乾燥して硬くなり、汚れが落ちにくくなります。水で軽くすすぐだけでも、汚れを簡単に除去できます。その後、丁寧に洗浄することで、常に清潔な状態を保てます。
使用する道具と洗剤
柔らかい歯ブラシを使う
マウスピースの素材は柔軟で、傷つきやすい特性があります。そのため、普通の歯ブラシではなく、柔らかめのブラシを選ぶことが推奨されます。例えば、赤ちゃん用の歯ブラシや専用の矯正用ブラシが適しています。柔らかいブラシを使うことで、細かな部分にもやさしくアクセスできます。
中性洗剤や専用洗浄剤を使用する
食器用の中性洗剤は脂肪分を効果的に分解し、マウスピース表面の油汚れを除去します。また、矯正用マウスピース専用の洗浄剤は、細菌や汚れを効率的に除去しつつ、素材を傷つけることがありません。一方で、歯磨き粉は研磨剤が含まれている場合が多いため、使用すると細かな傷がつき、そこに汚れが溜まりやすくなるので避けましょう。
洗浄の手順

流水で表面の汚れを落とす
水かぬるま湯で洗浄
矯正用マウスピースを外したら、まずは流水下でおおまかな汚れを落とします。このとき使ってはいけないのはお湯です。熱によりマウスピースが変形してしまうので、水かぬるま湯(〜40℃)で洗い流します。
毎回の使用後に流水で洗う
マウスピースを外したら、すぐに流水で軽く洗い流すことが大切です。これにより、唾液や食べかす、バクテリアなどが付着するのを防げます。このステップを毎回行うことで、汚れが溜まるのを防ぎ、次回の装着時に清潔な状態を保てます。
ブラシで丁寧に磨く
柔らかいブラシに中性洗剤を少量つけて、マウスピースの内側と外側を軽く磨きます。特に歯と接触する部分には汚れが溜まりやすいため、念入りにケアしましょう。また、縁や細かな溝の部分も丁寧にブラッシングしてください。
普通の歯ブラシや歯磨き粉は使わない
マウスピースを洗うときは指で優しく洗います。歯ブラシや歯磨き粉は使わないようにしましょう。歯ブラシの毛の硬さや、歯磨き粉に含まれる研磨剤によってマウスピースが傷つく恐れがあるからです。
マウスピースの表面に傷がつくと、細菌が付着しやすくなります。目には見えないほどの傷でも、細菌にとっては大きな凹みとなります。その凹みに細菌が住み着くのです。
ブラシを使用する場合は専用ブラシを使う
ブラシで洗う場合はマウスピース用の専用ブラシを使用して、優しくブラッシングするのが効果的です。通常の歯ブラシでも代用できますが、毛先が柔らかいものを選ぶとマウスピースに傷が付きにくくなります。研磨剤の入っていない歯磨き粉や洗剤を使用すると、傷や劣化のリスクを低減できます。
定期的に洗浄剤を使用
専用の洗浄剤を使用すると、より効果的に汚れや細菌を除去できます。週に1〜2回、洗浄剤を溶かした水にマウスピースを浸すことで、臭いや着色を防ぐことができます。ただし、長時間浸けすぎないように注意し、製品の使用説明に従って行ってください。
洗剤をしっかりすすぐ
洗剤がマウスピースに残ると、口腔内の粘膜を刺激する可能性があります。流水で十分にすすぎ、洗剤の残留を防ぎましょう。温水ではなく、ぬるま湯か水を使うと安全です。
自然乾燥させる
洗浄後、タオルやティッシュで軽く水気を拭き取り、直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。湿気が残ったままだと細菌の繁殖を招く可能性があるため、完全に乾かすことが重要です。
しっかり乾燥させる
これはタオルなどと同じですね。生乾きの状態で放置すれば細菌が増えます。しかり乾燥させましょう。おすすめの方法は、保管用ケース内にティッシュを敷き、その上にマウスピースを置き、ケースのフタは開けて乾燥させます。

ケース内でないと不衛生である上に、マウスピースを無くしたりマウスピースが割れる原因となります。
▼矯正用マウスピースを無くしたり割れたりした場合の対応方法はこちらでまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/mouth-piece-trouble/
汚れの溜まりやすい部分を意識する
歯科医院で作った矯正用マウスピースは、歯の形に合わせて作られているので凸凹があります。

くぼんでいる所は汚れが溜まりやすいので特に丁寧に洗います。指だけで届かなければ、柔らかい歯ブラシなら使用しても良いです。歯磨き粉はつけないようにしましょう。
矯正用マウスピースは基本的に1日中ずっとつけておくもの。そのマウスピースに細菌がついていると、歯にダメージを与え続けることになります。
そのため矯正用マウスピースはしっかり洗うようにしましょう。
注意点
熱湯は使用しない
矯正用マウスピースは高温に弱く、熱湯で洗うと変形して矯正効果に影響を及ぼす可能性があります。常温の水やぬるま湯を使用することが大切です。
アルコールや漂白剤は避ける
強い化学物質を使用すると、マウスピースの素材が劣化し、ひび割れや変色が起こる可能性があります。また、これらの化学物質は口腔内の粘膜に刺激を与えるため、安全性を考慮して使用を控えましょう。
ケースも清潔に保つ
マウスピースを清潔に保つには、保管するケースも重要です。ケースには細菌や汚れが溜まりやすいため、定期的に水洗いや消毒を行い、乾燥させておきましょう。
マウスピースが変色や劣化した場合の対応
矯正用マウスピースを適切にケアしていても、長期間使用していると次第に変色や劣化が進むことがあります。この場合は、早めに矯正治療を担当している歯科医師に相談してください。適切なタイミングで新しいマウスピースを提供してもらうことで、治療効果を最大限に維持することができます。
まとめ

矯正用マウスピースの洗浄は、治療に欠かせないステップです。流水での簡単な洗浄から、専用洗浄剤の活用、乾燥まで、適切なケアを行うことでマウスピースを清潔に保つことができます。
また、傷を防ぐために歯ブラシや歯磨き粉の使用を控え、専用の道具を活用しましょう。正しいケアを続けることで、矯正治療の効果を最大限に引き出し、快適な口腔環境を維持することができます。
監修

医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
歯列・歯並び・ 咬み合わせのお悩みなら。マウスピース、インビザライン、裏側、小児矯正等。LINE相談可。八重歯、出っ歯、受け口の治療など得意です。大阪梅田、なんば、心斎橋、吹田、豊中、神戸に医院があります。お近くの医院のご相談下さい。
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