歯並びの重要性と聞かれると、見た目だけと思っている方が存外多いです。もちろん、見た目の改善もありますが、その他に大事なポイントがあります。詳しくご紹介いたします。
歯並びの重要性とは?
患者さんにとって歯の痛みや変色などの自覚症状があると、すぐに歯科医院で治療を行わなければならないと思えるでしょう。虫歯や歯周病は細菌感染による疾患で、放置すると歯の健康に大きく影響が出るため、直ちに治療を行う必要から保険が適用されます。ところが、歯並びの乱れや悪さについては歯の健康に関係ないという印象から保険適用外の自由診療となり、それほど歯並びに重要性があるのか疑問に思われる方もおられます。歯並びの悪さを放置してしまうと後々困った状態になるケースが多いため、歯の並び方が気になった場合は、そのタイミングで一度歯科医院へご来院ください。
歯並びが悪いと何が起こる?
毎食後にしっかり歯磨きを行っても掃除がしにくく磨き残しが増えます。また、歯並びが悪いという原因から口が閉じられず開いた状態になると、乾燥により唾液で口腔内が潤いません。口腔内の唾液が少ないと自浄作用が機能せず、虫歯や歯周病などの細菌感染により疾患にかかるリスクが高くなります。歯周病は糖尿病にも関わる疾患で、重度になるときちんとした治療が必要となります。
歯並びと全身の健康との関係
歯並びは見た目だけでなく、全身の健康にも深く関係しています。歯並びが悪いことによって、次のような全身的な影響が考えられます。
噛み合わせと消化機能への影響
歯並びが悪いと、食べ物を十分に噛むことが難しくなり、消化不良を引き起こす可能性があります。特に、しっかり噛むことができないと、胃腸に負担がかかり、消化器系のトラブルが生じやすくなります。
姿勢への影響
噛み合わせが悪いと、顎や首、肩に負担がかかり、姿勢が悪くなることがあります。長期間にわたって姿勢が悪くなると、背中や肩の痛み、さらには頭痛を引き起こす可能性もあります。
歯並びと発音の関係
歯並びは発音にも影響を与えます。特に前歯が出っ歯の場合や、隙間がある場合には、特定の音を発音しにくくなることがあります。特に「サ行」や「タ行」の発音が難しくなることが多く、日常会話に影響が出る可能性があります。発音に問題がある場合は、歯列矯正が効果的な解決策になることがあります。
歯並びと心理的な影響
歯並びが悪いことは、心理的にも大きな影響を及ぼすことがあります。
自分に自信がもてない
歯並びが気になる場合、人前で笑うことに対して自信を失い、笑顔を見せるのを避けるようになることがあります。このような状態が長引くと、自己肯定感の低下や対人関係での消極的な態度につながる可能性があります。
客観的な印象
きれいな歯並びは、清潔感や健康的な印象を与えるため、社会的な場面でも好印象を与えることができます。ビジネスシーンや面接などでは、第一印象が重要であり、歯並びが整っていることがプラスになることが多いです。
歯並びが悪い場合のリスク
歯並びが悪いと、口腔内の健康にもさまざまなリスクが伴います。
虫歯や歯周病のリスク増加
歯が重なっている部分や、隙間が多い部分は歯ブラシが届きにくく、食べ物のカスやプラークがたまりやすくなります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、矯正治療が予防として役立つことがあります。
顎関節症のリスク
噛み合わせが悪いと、顎に不均等な力がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症は、口を開けるときに痛みや音が生じるほか、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。
歯並びを整えるメリット
歯並びを整えることで、以下のようなメリットがあります。
健康的な口腔内環境
正しい歯並びは、歯磨きがしやすく、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。また、正しい噛み合わせは、顎や筋肉の負担を減らし、長期的に口腔内の健康を維持するために重要です。
自信を持って笑える
歯並びを整えることで、見た目が改善され、自信を持って笑顔を見せることができるようになります。これは、心理的な満足感や社会的な評価にもつながります。
矯正治療の目的
欧米では歯並びを矯正しない家庭は、きちんと教育がなされていないと判断されます。ただし、日本では歯並びが悪くても子供のうちはチャームポイントと思われることがありますが、大人になるにつれ悪い歯並びが目を引くことが気にかかり、ご自身の歯並び、フェイスラインが心配になるという方も多いです。
- お口元を隠して笑ったり話をする
- 歯並びにコンプレックスを持つ
歯並びがもたらす印象
悪い歯並びで笑顔に自信がなくなり、コンプレックスとなるのを防げるのも矯正治療です。アンケートの結果より、綺麗な歯並びの方が悪い歯並びの方に比べて第一印象が良いと思われています。ビジネスの場や初対面の人と会う時、綺麗な歯並びは清潔感や健康的というイメージを持たれやすいです。歯並びと印象の詳細については、下記をご参照ください。
歯並びを改善したらどうなる?
歯並びを改善すると、下記のようになります。
- お口元の見た目が良くなり、笑顔が一層魅力的に見える
- しっかり咀嚼ができるため、栄養素をきちんと吸収できる
- 胃腸などの消化器官への負担が軽減する
- 発音がきちんと行える
- 歯並びに凸凹がないため歯磨きがしやすく、歯垢や歯石がたまりにくい
- 噛み合わせの悪さによる顎関節への負担が減る
- コンプレックスが無くなり、精神的に安定する
具体的な歯並びの治療法についてはこちらをご確認ください。
歯並びの重要性に関するQ&A
歯並びが悪いと、歯磨き時に清掃が困難になり、磨き残しが増えます。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。さらに、口が閉じにくい状態が続くと、唾液の自浄作用が低下し、口腔乾燥が進み、細菌感染の可能性が増加します。これらは、歯の健康だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
歯並びの悪さは、咀嚼が上手く出来ないことから、胃腸への負担や栄養吸収の問題を引き起こす可能性があります。また、顎関節症のリスクが高まり、特定の音の発音が難しくなることがあります。顎のゆがみは顔の形状に影響を与え、噛み合わせの問題は顎周囲の筋肉に負担をかけ、血流の低下を引き起こし、肩こりや片頭痛などの原因となることもあります。
歯並びを改善すると、見た目が良くなり、笑顔が魅力的になるだけでなく、咀嚼能力が向上し、栄養素の吸収が改善されます。また、消化器官への負担が減少し、発音が明瞭になります。歯磨きがしやすくなるため、口腔衛生の維持が容易になり、顎関節への負担が減少します。これらの変化は、コンプレックスの解消と精神的な安定に寄与します。
まとめ
歯並びの重要性については、見た目のみではありません。上下の歯の噛み合わせの状態を良くすることがとても大切です。子供のうちから行うと抜歯の処置を行わずに済みますが、顎の発達に合わせ行うため長い治療期間が必要です。反対に、永久歯に生え変わってからの矯正治療では、抜歯処置が必要かどうかは担当医の診断によりますが、歯並びを良くしたいという明確な目的があるため、治療を途中で投げ出さずに終了できるというメリットがあります。