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歯の治療後の痛み原因と対処法

歯の治療後の痛み!原因と対処法3選

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

治療後の痛みは治療を受けた患者さんが経験する一般的な症状の一つです。被せ物や神経の処置、治療中の刺激など、痛みを引き起こす理由は様々です。治療後の痛みの原因や適切な対処法についてご説明します。

歯の治療後の痛みの原因・対処法

体温計

歯の治療後に感じる痛みには、さまざまな原因があります。痛みの種類や発生タイミングを見極めることで、適切な対応が可能になります。

治療後のよくある痛みの原因と対処法をご紹介します。

  1. 金属の被せ物をしたから
  2. 神経を抜いた後だから
  3. 治療により神経が敏感になっているから
  4. 噛み合わせに問題があるから

1. 金属の被せ物をしたから

原因

虫歯の治療をして金属の被せ物をした場合、治療後に痛みが出ることがあります。

銀色の被せ物は金属でできています。そのため熱いものや冷たいものなど、熱が伝わりやすくなっています。ゆえに被せている部分の神経が刺激を受けやすく、痛みを感じることがあるのです

またそれだけでなく、被せ物をしたことでかみ合わせが高くなり、一部の歯に負担がかかって痛みを感じることもあります

対処法

2週間もすれば歯も慣れ、痛みは落ち着いてくるでしょう。

かみ合わせが高いゆえに痛みが出ている場合も、1ヶ月ほど経てば慣れて痛みは落ち着いてくるでしょう。あるいは歯科医院でかみ合わせを再調整してもらえばすぐに収まると考えられます。

2. 神経を抜いた後だから

原因

歯の神経を抜いた後に痛みがある場合は、神経細菌取りきれておらず、まだ残っている可能性があります

歯の根の治療は基本的に、一度で終わるものではありません。何度も根の中の消毒を続け、細菌を取りきり痛みが出なくなったら、最終的な薬を詰めていきます。

対処法

神経や細菌が取りきれておらず痛みが出ている場合は、歯の根っこの治療をやり直す必要があります。担当医に相談しましょう。

3. 治療により神経が敏感になっているから

原因

歯の構造

虫歯の治療のために麻酔をしたり、歯を削ったり、歯の面を乾燥させたり(風をかけたり)と、虫歯の治療により、神経は多くの刺激を受けています

対処法

治療後3日〜1週間ほど経てば痛みは落ち着いてくるでしょう。その間熱いものや冷たいもの、刺激の強いものなどは痛みのある部分に当たらないようにし、これ以上刺激を与えないようにしましょう。

4. 噛み合わせに問題があるから

治療後の詰め物や被せ物が高すぎる場合、噛み合わせがズレていることが原因で痛みが生じます。この状態を放置すると、さらなるトラブルを招く可能性があります。

  • 噛むたびに痛みが出る場合
    被せ物や詰め物が歯の高さに合っていない場合、咬合力(噛む力)が一部の歯に集中してしまい、歯自体や周囲の組織に負担がかかります。これにより、痛みが出るだけでなく、歯が割れるリスクも高まります。

  • 顎の関節への影響
    噛み合わせが正しくないと、顎の関節に負担がかかり、顎関節症の症状(口を開けにくい、顎がカクカク音を立てるなど)を引き起こす可能性があります。

  • 早期接触による違和感
    一部の歯が他の歯より早く接触してしまう場合、痛みだけでなく、周囲の筋肉にも緊張が生じ、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。

痛みを感じたときのタイミングによる対策

治療後すぐの痛み

治療直後に痛みを感じた場合は、麻酔が切れた影響や治療部位の炎症による一時的なものである可能性が高いです。通常は数時間から1日程度で軽減します。

数日後に始まった痛み

治療後しばらく経ってから痛みが出る場合、炎症が長引いている可能性があり、場合によっては感染が進行していることもあります。早めに歯科医に相談し、必要な処置を受けることが推奨されます。

痛みの種類による対処法

治療後に感じる痛みにはさまざまな種類があり、それぞれに応じた対策が異なります。

1. 鈍い痛み

虫歯の治療や神経の処置後に起こる鈍い痛みは、回復過程でよく見られる症状です。通常は数日で軽減しますが、痛みが長引く場合は追加の治療が必要なことがあります。

2. 鋭い痛み

歯の根の治療や神経を抜いた後に感じる鋭い痛みは、神経の炎症や感染が原因の場合があります。適切な抗生物質や鎮痛剤で対処することが一般的ですが、痛みが続く場合は担当医に相談することが推奨されます。

3. 噛んだ時の痛み

噛み合わせが原因で、治療後に食事や飲み物を口に入れた際に痛みが出ることがあります。この場合、詰め物や被せ物の高さを調整することで解消することが可能です。

治療後の痛みを緩和するための自宅でできる対策

1. 冷たいもので冷やす

歯茎や歯周組織に炎症がある場合、冷やすことで痛みや腫れを軽減することができます。冷たいタオルや氷嚢を使って患部を冷やすことで、即効性のある緩和効果を期待できます。

頬の外側から冷たいタオルや保冷剤を当てることで、炎症や腫れを抑える効果がありますが、冷やしすぎると血流が悪化する可能性があるため、20分冷やしては10分休む、といった方法で行うと効果的です。

2. 鎮痛薬の使用

市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェン)を服用することで、一時的に痛みを和らげることができます。これらの薬は抗炎症作用もあるため、痛みが治まりやすくなります。ただし、アレルギーや胃の疾患がある場合は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。

市販の鎮痛剤や抗炎症薬は、短期間で痛みを和らげるために有効です。ただし、長期間使用する場合は担当医と相談することが重要です。

3. 柔らかい食事を摂る

治療後は硬い食べ物を避け、スープやヨーグルトなど柔らかい食品を選ぶようにしましょう。噛む動作を最小限にすることで、患部への負担を軽減できます。

4. 適切な歯磨きの実施

治療後の部位は敏感なため、柔らかい歯ブラシを使って優しく磨くことが大切です。歯磨き粉は刺激の少ないものを選び、治療部位に直接触れないよう配慮しましょう。

歯科医院での対応

痛みが続く場合や自宅での対策で改善しない場合は、歯科医院を訪れることが重要です。

  • 咬合調整
    噛み合わせが合っていない場合、歯科医が詰め物や被せ物の高さを調整してくれます。これにより、噛む際の負担が軽減され、痛みが解消します。

  • 追加治療
    炎症が続いている場合や感染が疑われる場合、追加の治療が必要になることがあります。例えば、根管治療の再実施や抗生物質の投与などです。

歯の治療後に痛みが出たときの注意点

錠剤

歯の痛みを抑える方法と同様、入浴や飲酒などは血行を良くし、痛みを強くする原因となります。また指や舌で痛みのある歯をさわらないようにしましょう。細菌が入り込み、痛みが強くなる可能性があります

あまりに痛みが続く場合は、歯科医院に相談した上で市販の痛み止めなどを飲み対応しましょう。

痛みが治まらない場合の注意点

治療後の痛みは通常、数日から1週間程度で改善します。しかし、以下の場合は早めに歯科医に相談しましょう。

  • 痛みが増している
  • 腫れや膿が出ている
  • 発熱やリンパ節の腫れを伴う
  • 長期間痛みが続く

これらは、感染や治療不備のサインである可能性があります。

痛みが長引く場合に可能性のある深刻な問題

根尖性歯周炎

根管治療後に強い痛みが続く場合、根尖性歯周炎の可能性があります。これは、治療した根の先端に感染が残っている場合に発生します。このような場合は、再治療や外科的処置が必要になることがあります。

二次感染

虫歯や神経の治療後に痛みが引かない場合、二次感染が原因である可能性があります。この場合、治療した部位が再度感染していることが考えられ、早めの再診が必要です。

まとめ

歯のキャラクター

治療後の痛みは、多くの場合時間とともにやわらぎますが、放置することで症状が悪化する可能性もあります。そのため、痛みの原因を正しく理解し、適切な対処をすることが大切です。痛みが長引く場合や症状が悪化する場合は、速やかに歯科医院で相談しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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