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子供の歯

子供の矯正が必要な歯並び

子供の歯並びで歯列矯正が必要なものまとめ

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

子供の歯並びが悪い場合、乳歯から永久歯への生え替わりや顎の成長を考慮し、適切なタイミングでの治療を行うことが重要です。子供の矯正が必要とされる代表的な歯並びの問題や、それぞれの原因、リスク、適切な対処法についてご説明します。

子供の歯並び矯正は必要ですか?

子供は乳歯から永久歯への生え替わりがあるため、どの時点で歯並びを矯正する必要があるのか、保護者の方にはわかりにくいと思います。

子供の歯並び矯正は永久歯が生え変わる6歳位から行うことが多いです。成長途中の子供の時期に矯正治療を行うと、顎骨の成長を促したり、逆に成長を抑制することも出来ますので、歯がきれいに並ぶ為に適した大きさに顎骨の大きさを整えることが出来ます。

大人の矯正では、顎の成長が終わっていますので、顎の骨自体を大きくすることが出来ず、歯を動かすスペースを作るために抜歯が必要になります。

子供の歯並びで治すべきもの


こども

  1. 上顎前突(出っ歯)
  2. 反対咬合(受け口)
  3. 開咬
  4. 叢生(ガタガタの歯並び)
  5. すきっ歯(空隙歯列)
  6. 交叉咬合
  7. 深いかみ合わせ過蓋咬合

1. 上顎前突(出っ歯)

上顎前突は、上の前歯が前に突出している状態で、一般的に「出っ歯」と呼ばれます。これは見た目だけでなく、発音や咀嚼に問題が起こる場合があります。特に外傷に弱く、転んだりぶつかったりした時などに前歯が折れたり欠けたりする可能性が高くなります。上顎前突(出っ歯)

原因

あごの骨や歯の大きさといった、原因が遺伝であることもあれば、やはり癖や習慣が原因である場合も。

▼子供の習慣・癖と歯並びの関係はこちらでまとめています。

https://matsumoto.or.jp/toothteeth/children-habit/

 

リスク

出っ歯は、やはり見た目を気にされる方が多いです。

また前歯が邪魔をして口を閉じにくく、いつも口が開いた状態になり、口呼吸などの原因となります。加えて転んだりぶつかったりしたとき、普通なら問題がない場合でも出っ歯だと前歯出ている分歯が折れやすかったり、唇に傷がつきやすいなども考えられます。

対処法

上顎前突の治療は、顎の成長を考慮しながら矯正治療を行います。早期に治療を開始することで、顎の成長を調整し、歯の位置を正しい位置に戻すことが可能です。

2. 反対咬合(受け口)

反対咬合(受け口)

原因

上あごが小さいことで結果として受け口になっていたり、上の前歯が内側に傾いていたりなどが原因として考えられます。あごの大きさについては遺伝子的な部分が多いです

アデノイドなどにより乳歯(子供の歯)で受け口になることもあります。しかし永久歯(大人の歯)に生え変わるときに自然と治ることもあるため、歯科医師に相談し様子を見ると良いでしょう

アデノイドとは

咽頭扁桃(いんとうへんとう)が病的に肥大した状態。子供に多く、鼻詰まり・口呼吸・いびき・難聴・注意力低下などが現れる。

 

リスク

受け口であることで前歯でかみにくくなり、あごのバランスが崩れたり発音がしにくくなります。放置しておくと口が閉じにくくなることもあるようです。

3. 開咬

開咬

原因

舌を前に出すような癖や、かむ力が弱いとこのような歯並びになりやすくなります。遺伝的な理由であることもあります。

▼子供の習慣・癖と歯並びの関係はこちらでまとめています。

https://matsumoto.or.jp/toothteeth/children-habit/

 

リスク

歯が邪魔となって口があきやすくなる可能性があります。それにより口の中が乾燥し、虫歯歯周病になりやすくなったり、口臭も起こりやすくなります。また発音に支障が出ることもあります。

加えて前歯の部分が開咬だと奥歯に過度な負担がかかり、奥歯が割れやすくなったり顎関節症の原因にもなり得ます。

前歯はかんでいるのに奥歯の部分がかんでいない・・・という逆パターンの開咬もあります。

4. 叢生(ガタガタの歯並び)

叢生

原因

あごの骨が小さかったり歯そのもののサイズが大きいと、このようなでこぼこした、ガタガタの歯並びになりやすくなります。歯がきれいに並ぶためのスペースを十分に確保できず、ひしめき合うように並んだ結果、このような歯並びになります。

リスク

この歯並びは見た目だけではなく、発音やかみ合わせにも悪い影響を及ぼす可能性があります。また歯が入り組んでいることで歯磨きが難しく、歯垢(プラーク)など細菌が残りやすくなります。その結果虫歯歯周病になるリスクが上昇します

5. すきっ歯(空隙歯列)

特徴

歯と歯の間に大きな隙間がある状態。

原因

永久歯の発育不全や歯が小さいことが原因。

リスク

  • 発音が不明瞭になる。
  • 食べ物が歯の間に挟まりやすく、歯垢がたまりやすい。

6. 交叉咬合

交叉咬合とは、上下の歯が左右逆にかみ合っている状態です。通常、上の歯が下の歯の外側に位置しますが、交叉咬合の場合、一部の歯が逆にかみ合ってしまいます。この問題を放置すると、顎の成長に影響を与え、顔の非対称性を引き起こすことがあります。

対処法

交叉咬合は、成長期の早い段階で矯正治療を行うことで改善できます。顎の骨や歯が柔軟な時期に治療を行うことで、正しいかみ合わせを確立することができます。

7. 深いかみ合わせ(過蓋咬合)

過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を覆いすぎる状態で、下の歯がほとんど見えなくなることがあります。これにより、下顎の成長が妨げられ、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。

対処法

過蓋咬合の治療は、成長期に矯正装置を使い、顎の位置や歯のかみ合わせを調整します。早期の矯正治療が有効で、かみ合わせの問題を予防することができます。

矯正治療の必要性

  • 顎の成長のサポート
    成長期の子供は顎の成長を促進するために矯正装置を利用できます。早期治療は、不正咬合の原因となる顎の不均衡を改善する手助けをします。

  • 噛み合わせの改善
    正しい噛み合わせを持つことは、食事の効率や全身の健康に重要です。不正咬合が改善されることで、咀嚼力が向上し、消化や栄養吸収も促進されます。

  • 見た目や心理的影響
    歯並びが整うことで笑顔に自信を持つことができ、子供のコンプレックスを解消して自己肯定感を高める効果があります。

矯正治療を始めるタイミング

  • 乳歯列期(3~6歳)
    明らかな不正咬合が見られる場合、この時期に治療を始めることがあります。顎の発育をサポートする装置が使用されることがあります。特に受け口の治療は3歳頃から可能ですので、なるべく小さい間に下顎の成長を抑制して上顎の成長を促すような治療を行います。

  • 混合歯列期(6~12歳)
    乳歯と永久歯が混在する時期は、成長を利用して顎を広げる治療が可能です。特に反対咬合や出っ歯の場合は、この時期が治療に適しています。

  • 永久歯列期(12歳以降)
    永久歯が生え揃った後でも矯正治療は可能ですが、顎の成長期を逃すため、治療期間が長くなることがあります。治療には大人の矯正と同じ装置を使います。

まとめ

歯のキャラクター

子供の歯並びが悪くなる原因には、遺伝的な要素や生活習慣、癖が関係しています。叢生、開咬、上顎前突、反対咬合など、矯正が必要な歯並びの問題は早期に対応することで、将来的なトラブルを回避しやすくなります。

また、成長期の矯正治療は顎の成長を利用しながら行うことができるため、大人の矯正よりも効果的で負担が少ないことが特徴です。お子さんの歯並びや噛み合わせに気になる点があれば、専門の歯科医師に相談し、最適な治療方針を立てましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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