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矯正歯科・歯列矯正

矯正治療中に痛みが強い場合はどうすればいい?原因と対処法を解説

矯正治療中に痛みが強い場合はどうすればいい?

矯正治療中に痛みが強い場合はどうする?

矯正治療中の痛みは一時的なことが多いですが、強すぎる場合はセルフケアや歯科医院での調整によって改善できます。無理に我慢する必要はありません。

この記事はこんな方に向いています

  • 矯正治療中で痛みが強く、日常生活に支障が出ている方
  • 痛みが普通の反応なのか、異常なのかが気になる方
  • セルフケアの方法を知りたい方
  • 痛みが強い場合に歯科医院に相談すべきタイミングを知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. 矯正治療中に痛みが強くなる原因
  2. セルフケアでできる痛みの軽減方法
  3. 痛みが強いときに避けるべき行動
  4. 歯科医院に相談する目安と対応方法

 

矯正治療中に痛みが強いのは普通のこと?

矯正治療では歯を少しずつ動かすために、歯や歯ぐきに力がかかります。そのため、多くの患者さんが数日間の痛みを経験します。特に装置を調整した直後は痛みが強くなることがあります。これは治療の自然な過程であり、歯が動いているサインとも言えます。

ただし、あまりにも強い痛みや長期間続く痛みは異常の可能性があるため、歯科医院に相談が必要です。

矯正治療中の痛みは一時的なものが多く、自然な反応です。ただし強すぎる場合は要注意です。

問題ない痛みと注意すべき痛み

矯正治療の痛みには、いわば「良い痛み」と「注意すべき痛み」の2種類があります。良い痛みとは、歯が正しい位置に動いていく過程で起こる圧迫感や鈍痛です。これは通常、数日から1週間程度で落ち着きます。

一方、注意すべき痛みとは、夜眠れないほどの激痛や、腫れ・化膿を伴うような痛みです。こうした場合は単なる矯正の力ではなく、装置の不具合や歯ぐきの炎症が関係していることが多いため、早めの診察が必要です。

なぜ矯正治療中に痛みが強くなるの?

矯正治療中の痛みは、主に歯が動く際の炎症や神経の反応によるものです。また、ワイヤーやマウスピースの圧力によって歯や周囲の組織に負担がかかります。さらに、口内の粘膜に装置が当たって傷を作ることで痛みが増すこともあります。これらの痛みは時間の経過とともに和らぐことが多いですが、患者さんによって感じ方には個人差があります。

痛みの原因は歯が動く圧力や粘膜への刺激によるもので、個人差があります。

歯が動く時に痛みが起こるメカニズム

歯が動くとき、歯の根の周囲にある「歯根膜」という組織に圧力が加わります。これによって骨が少しずつ吸収と生成を繰り返し、歯が移動していきます。その過程で炎症物質が一時的に出るため、ズーンとした痛みを感じます。

また、ワイヤー矯正の場合は金属が頬や舌に当たりやすく、口内炎を作ることがあります。マウスピース矯正でも、着け外しの際に歯や歯ぐきに負担がかかることがあり、特に装着初日や新しいマウスピースに交換した直後は痛みが強くなりがちです。

矯正治療中に痛みが強い場合のセルフケア方法は?

強い痛みが出た場合でも、多くはセルフケアで軽減できます。例えば、やわらかい食事に切り替えたり、市販の痛み止めを服用することが効果的です。冷たいタオルや冷水で口を冷やすのも有効です。また、口内炎や粘膜の痛みには歯科用ワックスを使用すると緩和できます。

セルフケアで痛みを和らげる方法があります。

セルフケア方法の例

  • やわらかい食事を選ぶ → 硬い食べ物は避け、おかゆやスープなどにする。
  • 市販の痛み止めを使う → イブプロフェンなどを一時的に服用する。
  • 冷やす → 冷水や冷たいタオルで痛む部分をやさしく冷やす。
  • 歯科用ワックスを使用 → ワイヤー矯正で装置が当たる部分に塗って刺激を防ぐ。

これらを組み合わせることで、多くの患者さんが日常生活を快適に過ごせます。ただし、痛みが長引く場合は自己判断せず歯科医院に相談が必要です。

セルフケアで安全に痛みを和らげよう

セルフケアは痛みの緩和に非常に役立ちます。たとえば「温める」のではなく「冷やす」ことが推奨されるのは、冷却によって炎症を抑え、神経の伝達を鈍らせる効果があるからです。氷を直接歯に当てるのは避け、冷たい水で口をゆすぐ程度が安全です。

また、痛み止めは「早めに飲む」ことで効果を発揮しやすくなります。痛みがピークに達してから服用すると効き目が遅れるため、違和感を感じ始めた段階で適切な用量を守って使うと良いでしょう。

痛みが強いときにやってはいけないことは?

痛みがあるときに無理をして硬い食べ物を食べたり、装置を自己判断で調整したりすると症状が悪化することがあります。また、痛みを避けるために歯磨きを怠るのも良くありません。歯垢がたまると歯ぐきが炎症を起こし、さらに痛みが強くなる可能性があります。

強い痛みのときは自己流の対応は危険です。

やってはいけないこと

  1. 硬いものを噛む → 歯や装置に過度な負担がかかる。
  2. 装置を勝手に調整する → 破損や歯の移動異常を招く。
  3. 歯磨きをさぼる → 歯垢がたまり、炎症や痛みが悪化。

これらは痛みを悪化させるだけでなく、治療全体の遅れにもつながります。

特に注意すべきことは?

中でも特に注意したいのは「歯磨きを怠ること」です。痛みがあるとどうしても磨きにくくなりますが、歯垢がたまると歯ぐきの炎症や虫歯のリスクが高まり、痛みがさらに悪化する悪循環に陥ります。

対策としては、毛先のやわらかい歯ブラシや、矯正専用の歯ブラシを使い、力を入れすぎずに優しく磨くことです。フロスや歯間ブラシを使って清掃を補助すると、炎症リスクを下げることができます。

矯正治療中の痛みとその対応の目安

痛みの程度 状況の特徴 セルフケア方法 歯科医院への相談目安
軽度(違和感〜弱い痛み) 装置調整直後の鈍い痛み、数日で落ち着く ・柔らかい食事にする・冷水で口をゆすぐ・歯科用ワックスを使用 通常は不要。1週間以内に改善が見込める
中等度(強いけど我慢できる痛み) 食事や会話にやや支障が出る口内炎や装置の刺激あり ・市販の痛み止めを服用・冷やして炎症を抑える・やさしく歯磨きを続ける 痛みが1週間以上続く場合は相談
重度(耐えがたい痛み) 夜眠れないほどの痛み腫れ・出血・膿を伴う場合 セルフケアでは改善が難しい すぐに歯科医院へ。装置不具合や炎症の可能性あり
慢性的な痛み 数週間続く違和感や痛み治療に支障が出る 一時的なセルフケアでは効果薄 必ず歯科医院で原因を確認し、調整が必要

矯正治療中の痛みは程度によって対処法が異なります。軽度であれば自然に治まることが多いですが、中等度以上ではセルフケアだけでは不十分な場合があります。特に「重度」や「慢性的」な痛みは異常の可能性が高いため、自己判断せず早めに歯科医院へ相談することが重要です。

矯正治療中の痛みが強すぎるときは歯科医院に相談すべき?

痛みが1週間以上続く、腫れや出血を伴う、食事が困難なほど強い場合は歯科医院に相談すべきです。痛みの原因が装置の不具合や異常な力加減による場合もあるため、早めの対応が必要です。専門家による調整で改善できるケースが多いので、遠慮せずに相談することが大切です。

痛みが長引く・強すぎるときは歯科医院へ相談しましょう。

痛みは治まらない時は我慢しない

痛みを「我慢すれば自然に治る」と考える方もいますが、異常な痛みを我慢すると治療が予定通り進まなくなるリスクがあります。たとえば、ワイヤーが外れて歯ぐきを傷つけているのに放置すれば、治療の遅れや感染の原因になります。

歯科医院では、ワイヤーを短く切る、マウスピースの調整を行う、抗炎症薬を処方するなど、患者さんに合わせた対応が可能です。相談することで痛みを軽減でき、安心して治療を続けられるでしょう。

痛みを軽減するために日常生活で気をつけることは?

矯正治療中の痛みを少しでも軽減するには、生活習慣の工夫が役立ちます。食事は柔らかいものを中心にし、十分な睡眠とストレスの少ない生活を心がけましょう。また、口内を清潔に保つことも重要です。歯垢をきちんと取り除くことで炎症や口内炎のリスクを減らせます。

生活習慣の改善で痛みを和らげられます。

生活で気をつけること

  1. 食事 → 柔らかい食品を選ぶ。
  2. 睡眠 → 十分に休養を取る。
  3. ストレス管理 → リラックスを意識する。
  4. 口腔清掃 → 歯磨きやうがいを丁寧に行う。

これらを徹底することで痛みの悪化を防ぎ、治療を快適に進められます。

食生活と睡眠が大事

生活習慣の中でも特に影響するのが「食生活」と「睡眠」です。ビタミンやミネラルを多く含む食事は歯や骨の健康を保ち、治療中の回復を助けます。カルシウムやビタミンDを意識して摂ると良いでしょう。

また、ストレスは痛みの感じ方を強めることが知られています。リラックスできる習慣(深呼吸、ストレッチ、趣味の時間など)を持つことは、矯正治療を乗り越えるための大切なサポートになります。

まとめ

矯正治療中の痛みは多くの患者さんが経験する自然な現象ですが、強すぎる場合や長引く場合は注意が必要です。セルフケアで軽減できる痛みもありますが、異常を感じたら歯科医院に相談することが大切です。治療をスムーズに進めるためにも、無理をせず適切な対応を心がけましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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