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子供の歯

子供の出っ歯矯正の方法・時期

子供の出っ歯矯正の方法・時期などまとめ

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

子供の出っ歯の矯正方法には、プレートやワイヤー、マウスピース(インビザライン)、ヘッドギアなどがあり、それぞれ適用されるタイミングや効果が異なります。出っ歯の原因や矯正方法の選び方、治療の適切な時期についてご説明します。

子供の出っ歯矯正とは?

出っ歯とは何か?子供における特徴

出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が下の前歯よりも大きく前方に突出している状態を指します。不正咬合の一種であり、子供の場合、成長期における要因が特に大きな影響を及ぼします。この状態が進行すると、見た目の問題だけでなく、以下のような影響が考えられます。

  • 発音への影響
  • 食べ物をしっかり噛めない
  • 口が閉じにくくなる

その結果、心理的なコンプレックスにもつながる可能性があるため、早期の対処が重要です。

早期矯正治療のメリット

子供の出っ歯矯正は、成長期の特徴を活かして治療ができるため、成人になってからの矯正に比べて以下のような利点があります。

  • 顎の発育をコントロールできる ・・成長段階で顎の骨を適切に調整することで、自然な形での改善が可能です。
  • 早期介入で症状の進行を防ぐ ・・問題が軽度の段階で対処することで、将来的な複雑な治療を回避できます。
  • 心理的負担の軽減 ・・出っ歯が改善されることで、子供の自信を取り戻す助けになります。

子供の出っ歯矯正の方法

子供の矯正治療にはさまざまな方法がありますが、一般的なものを以下に紹介します。

  • 取り外し可能な装置 ・・成長期の柔軟な顎の発達を利用し、取り外し可能な矯正装置で歯並びを調整します。
  • ブラケット矯正 ・・歯に直接装着するブラケットで、徐々に歯を正しい位置に動かします。
  • 早期介入の治療例 指しゃぶりや舌癖の改善をサポートする装置やトレーニングが含まれる場合があります。

子供の出っ歯矯正の時期はいつから?

本を読む子供

一般的に、出っ歯矯正を開始する時期は、永久歯が生え始める6歳~7歳頃が適しているとされていますが、ケースによっては乳歯の段階での矯正が推奨されることもあります。特に、骨格の成長が進んでしまう前に矯正を始めることで、効果的に改善できます。

子供の出っ歯矯正を始める時期は、あごの成長に合わせて行なっていくことが好ましいです。なぜならあごが成長中であれば融通がきくので、永久歯に生え変わったとききれいに並ぶようにできるからです。

上あごの成長は10歳くらいまでに終わり、下あごの成長は15〜18歳くらいまでに終わると言われています。そのため、これよりも前に出っ歯矯正を始められると良いでしょう

あごの成長にも個人差があるのと、歯やあごの状態によっても変わってきます。あごの骨の成長が終わってから出っ歯を治したい場合は、あごが動かせないので、歯を抜くなど外科処置が必要なことも多いです

子供の出っ歯矯正の方法

赤ちゃん

子供の出っ歯の種類によっても、矯正方法は変わってきます。

主な治療方法としてはマウスピースを使った出っ歯矯正、プレートを使った出っ歯矯正、ワイヤーを使った出っ歯矯正などがあります。

床矯正

プレートを使った矯正

取り外し可能な装置で、顎の成長をコントロールしながら歯を適切な位置に移動させる方法です。特に、軽度の出っ歯や顎の発育不全に効果的です。

ワイヤー矯正

ワイヤーを使った矯正

伝統的なワイヤーを用いた矯正治療で、永久歯が生え揃ってから行う場合が多いです。

マウスピース矯正

インビザラインのような透明なマウスピースを乳歯の段階から使用して永久歯に生え代わるまでをサポートする矯正方法で、見た目を気にすることなく治療が可能です。

マウスピースを使った矯正

子供の出っ歯の種類(原因がどこにあるか)や、子供の年齢によっても矯正方法は変わってきますので、気になった場合は歯科医院で相談してみましょう。

子供が出っ歯になる原因

赤ちゃん出っ歯の原因は遺伝的要因だけでなく、日常の癖や習慣が影響することが多いです。例えば、長期間の指しゃぶりや舌で前歯を押す癖(舌突出癖)、さらには口呼吸が原因で出っ歯になることがあります。こうした習慣を早めに改善することが、将来的な

  • 遺伝的要因 ・・両親や家族に出っ歯の傾向がある場合、子供にも同様の特徴が見られることがあります。
  • 生活習慣の影響 ・・指しゃぶりや舌で歯を押す癖(舌癖)、長期間の哺乳瓶使用などは、歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 歯並びや顎の成長の問題 ・・上顎が下顎に比べて過度に発達している場合や、逆に下顎の発育が不足している場合に出っ歯が生じます。

1. 生活習慣や癖

子供は骨が成長途中であり、生活習慣やちょっとしたでも歯並びに影響が出ることがあります

▼出っ歯など、子供の歯並びを悪くする癖はこちらでまとめています。

https://matsumoto.or.jp/toothteeth/children-habit/

その他うつ伏せで寝る癖などもあごに力が加わり続けるため、あごのバランスや歯並びに影響が出ることがあります。

2. 乳歯の異常

乳歯はいずれ抜けるから放っておいても大丈夫と思われるかもしれませんが、乳歯(子供の歯)に異常があると後から生えてくる永久歯(大人の歯)に影響が出ることもあります。後から生えてくる永久歯は、歯茎の中・乳歯の下で成長しながら、生える準備をしています。

例えば乳歯のときに大きな虫歯になっていると、歯の根っこを通じて下にいる永久歯にも細菌がいってしまいます。これにより上手く生え変わりをすることができず、歯並びに影響が出ることがあります。

また生え変わりの時期を迎える前に、虫歯などで乳歯を失ってしまった場合。永久歯はまだ生える準備ができていないので、生えてくることができません。

このとき歯科医院で適切な処置をしておかないと、生え変わりの時期を迎えたときに永久歯が違う向きや場所から生えてくることがあります。これにより歯並びに影響が出てしまいます。

3. 遺伝

歯の大きさやあごの大きさは遺伝することが多いので、結果的に子供に出っ歯が遺伝することもあります。下あごが小さい上あごが大きいなど骨格的な問題による出っ歯は、遺伝的な理由が考えられます

出っ歯が及ぼすリスク

出っ歯を放置すると、審美的な問題だけでなく、以下のような機能的なリスクが伴うことを強調します。

  • 噛み合わせが悪くなり、咀嚼や発音に影響が出る。
  • 前歯が突出していることで、外傷により歯が折れやすくなる。
  • 自信喪失や心理的なストレスにつながる可能性がある。

子供の出っ歯矯正に使うヘッドギアとは

赤ちゃんヘッドギアは子供の出っ歯を治すために使われる、取り外しができる装置です。

ヘッドギア

ヘッドギアは、出っ歯の中でも上あごが大きい(上あごが成長しすぎている)ことによる出っ歯の矯正で使われます。上あごに力がかかることにより、上あごの成長を抑えます

基本的にヘッドギアをつけるのは就寝中のみ。そのため見た目が気になったり、ストレスを感じることはほとんどないでしょう。ただ取り外しが自由であるため、子供さん本人や保護者の協力度が低いと効果が出にくいです

矯正治療を成功させるためのポイント

矯正治療を効果的に進めるためには、親子で協力することが重要です。以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 親と子供の協力体制 ・・治療器具の装着や通院を継続するには、親のサポートが欠かせません。
  • 正しい歯磨き習慣 ・・矯正中は特に歯垢がたまりやすくなるため、適切な歯磨きを心掛ける必要があります。
  • 定期的な健診の重要性 ・・定期的な健診を受けることで、治療が順調に進んでいるか確認できます。

まとめ

歯のキャラクター

子供の出っ歯矯正は、成長期のタイミングを逃さず、適切な方法を選ぶことが重要です。早期の治療により顎の成長をコントロールし、永久歯が正しく並ぶように導くことで、大掛かりな治療を避けられる可能性が高まります。

また、矯正治療によって噛み合わせや審美性の改善だけでなく、心理的な自信も育まれますので、子供の歯並びが気になる場合は早めに歯科医院で相談し、担当医と連携して子供の成長をサポートしましょう。

 

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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