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オーラルフレイルを防ぐには?いつまでも自分の口で食べるためのケアガイド

オーラルフレイルを防ぐには?

オーラルフレイルって何?

オーラルフレイルとは、口腔機能が衰えていく“初期のサイン”です。

オーラルフレイルとは、噛む力、飲み込む力、話す力など、口の機能が徐々に低下していく状態のことを指します。見た目は健康そうに見えても、「食べにくい」「滑舌が悪くなった」「むせやすくなった」といった小さな変化が現れ始めます。

この段階で気づいて対処することが、将来的な要介護や認知症のリスクを減らす重要な一歩です。

気づきにくいオーラルフレイルの始まり

最初は些細な変化なので、見過ごされがちです。

以下のような変化に思い当たりませんか?

硬いものを避けるようになった
→ 噛む力の低下が始まっているサインかもしれません。

会話中に言葉が出にくい
→ 舌や唇の動きが鈍くなっている可能性があります。

食事中によくむせるようになった
→ 飲み込みの機能が弱ってきているかもしれません。

これらは加齢のせいだけではなく、口の使い方が減っていることや、歯のトラブルが影響していることもあります。

日常でできるオーラルフレイル予防法

毎日のちょっとした工夫で予防が可能です。

オーラルフレイルは、日々の小さな習慣の積み重ねで予防できます。口腔機能の低下を防ぐためには、口の清潔を保ち、筋肉を鍛え、定期的なチェックを行うことが重要です。

1. 毎日の歯磨きを丁寧に行う

歯垢の除去を徹底する
→ 歯垢は、歯周病や虫歯の原因となり、口腔機能の低下を招きます。毎食後の丁寧な歯磨きで、歯垢をしっかり取り除きましょう。

適切なブラッシング方法を習得する
→ 歯ブラシの持ち方や動かし方、力加減など、正しいブラッシング方法を身につけることで、効果的に歯垢を除去できます。歯科衛生士による指導を受けるのもおすすめです。

補助的な清掃用具を活用する
→ 歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間の汚れも取り除きましょう。これにより、歯周病の予防効果が高まります。

歯の健康を維持することは、噛む力や発音の明瞭さを保つために不可欠です。日々の丁寧な歯磨きが、オーラルフレイル予防の第一歩となります。

2. 定期的な健診を受ける

口腔内の変化を早期に発見する
→ 定期的な歯科健診により、虫歯や歯周病、噛み合わせの問題などを早期に発見できます。早期治療が、口腔機能の低下を防ぎます。

専門的なクリーニングで口腔内を清潔に保つ
→ 歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングにより、家庭では取りきれない歯垢や歯石を除去できます。これにより、歯周病の進行を防ぎます。

口腔機能のチェックを受ける
→ 噛む力や舌の動き、唾液の分泌量など、口腔機能の状態を定期的にチェックすることで、オーラルフレイルの兆候を早期に察知できます。

定期的な健診は、口腔内の健康状態を把握し、適切なケアを行うために重要です。オーラルフレイルの予防には、専門家のサポートを受けることが効果的です。

3. よく噛んで食べる習慣をつける

咀嚼回数を意識的に増やす
→ 一口あたり30回以上噛むことを意識しましょう。咀嚼回数を増やすことで、唾液の分泌が促進され、消化を助けるだけでなく、口腔筋のトレーニングにもなります。

硬さのある食品を取り入れる
→ 根菜類やナッツ類、干物など、適度な硬さのある食品を食事に取り入れることで、噛む力を維持・向上させることができます。

食事の時間をゆっくり楽しむ
→ 急いで食べるのではなく、ゆっくりと時間をかけて食事を楽しむことで、自然と咀嚼回数が増え、口腔機能の維持につながります。

よく噛むことは、口腔機能の維持だけでなく、全身の健康にも寄与します。食事の際には、咀嚼を意識することが大切です。

4. 発声練習や早口言葉で筋肉を刺激する

早口言葉で滑舌を鍛える
→ 「生麦生米生卵」などの早口言葉を練習することで、舌や口の動きをスムーズにし、発音の明瞭さを保つことができます。

歌を歌うことで口腔筋を鍛える
→ 好きな歌を歌うことも、口腔筋のトレーニングになります。特に、口を大きく開けて発音することを意識すると効果的です。

発声練習や早口言葉、歌唱などは、楽しみながら口腔筋を鍛える方法です。日常生活に取り入れて、継続的に行うことが大切です。

5. 口腔体操(あいうべ体操・パタカラ体操など)を毎日行う

「あいうべ体操」で口の周りの筋肉を鍛える
→ 「あ」「い」「う」「べ」と大きく口を動かす体操で、口輪筋や舌筋を鍛えることができます。1日3回、各10回ずつ行うのが目安です。

舌のストレッチで柔軟性を保つ
→ 舌を上下左右に動かすストレッチを行うことで、舌の柔軟性を保ち、飲み込む力を維持できます。

頬のマッサージで血行を促進する
→ 頬を指で軽くマッサージすることで、血行が促進され、口腔周囲の筋肉の緊張を和らげる効果があります。

口腔体操は、口の機能を維持・向上させるための効果的な方法です。毎日の習慣として取り入れることで、オーラルフレイルの予防につながります。

これらの予防法は、日常生活の中で無理なく取り入れることができます。継続的に実践することで、口腔機能の低下を防ぎ、健康な生活を維持することが可能です。また、定期的な歯科健診を受けることで、専門的なアドバイスやサポートを得ることができます。

オーラルフレイルの予防は、早期からの取り組みが重要です。日々の小さな習慣が、将来の健康につながります。ぜひ、今日から始めてみましょう。

オーラルフレイルは何歳頃から気をつけるべき?

早ければ40代からの意識が、将来の健康に差をつけます。

「オーラルフレイル」と聞くと高齢者だけの問題のように感じる方も多いかもしれませんが、実は注意すべきタイミングはもっと早くから始まっています。

気をつけ始める目安は?

40代後半~50代がスタートライン
→ 加齢による筋力の低下や歯周病のリスクが高まり始めます。

60代以降は特に注意が必要
→ 噛む力や舌の動き、唾液の分泌量などに明らかな変化が現れやすくなります。

ただし、30代でも不調を感じる人は要注意!
→ 生活習慣やストレス、歯の喪失、噛み合わせのトラブルなどが影響することも。

年齢より「サイン」に注目しよう

年齢だけにとらわれず、以下のような変化に気づいた時が「はじめどき」です。

食べ物をこぼすことが増えた

硬いものが噛みにくくなった

口の中が乾きやすくなった

滑舌が悪くなってきた

健診で歯周病や歯の揺れを指摘された

これらは「オーラルフレイルの入り口」である可能性が高く、放っておくと全身のフレイル(虚弱)につながる恐れがあります。

オーラルフレイルの予防に「早すぎる」ということはありません。特に40代からの心がけが、その後の人生を大きく左右します。
まだ元気なうちに「備える」ことが、健康寿命を延ばすいちばんの秘訣。

“年齢”よりも“兆候”に敏感になり、早めにアクションを起こすことが大切です。

予防の大切さを裏づけるデータと専門家の見解

口の健康が全身の健康と深く関係しています。

日本老年歯科医学会によると、オーラルフレイルが進行すると…

  • 栄養摂取量が減り、体重減少・筋力低下を招く
  • 認知機能の低下や社会的孤立にもつながる
  • 要介護状態になるリスクが高まる

厚生労働省の資料でも、オーラルフレイルの予防は「健康寿命延伸の鍵」として明記されています。口の機能を守ることは、健康な老後を実現するために欠かせない要素です。

今から始められる習慣とは?

今日からでも始められる、簡単で効果的なケアをご紹介。

  1. 食後の歯磨きを欠かさない
  2. 食事中はよく噛むことを意識する
  3. テレビを見ながら「パ・タ・カ・ラ」体操をする
  4. 月に1回は口の中の状態をチェックする日を決める
  5. 気になる変化があれば、すぐに歯科を受診する

何か特別な器具や費用が必要なわけではありません。ちょっとした「気づき」と「習慣化」が大切です。

まとめ

予防のカギは「気づき」と「継続」

要約:オーラルフレイルは予防が可能。だからこそ、早めの行動が大切。

オーラルフレイルは、「年だから仕方ない」と思って放置するのではなく、早めに気づいてケアすることで予防が可能です。そして、予防に取り組むことで、いつまでも「自分の口でおいしく食べる」生活を続けられます。

口のケアは、全身の健康を守る第一歩。今日からできることを、あなたの生活に取り入れてみませんか?

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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