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原因不明の歯の痛みが歯の破折のせいだったケース

原因不明の歯の痛みが歯の破折のせいだったケース

歯がズキズキ痛むのに歯医者で診てもらうと「悪い部分はありません」と言われる場合があります。この場合は、歯にひびが入っているのがレントゲンや肉眼ではわからず、歯科医師が見逃してしまっているケースもありますので、ご説明します。

原因不明の歯の痛みの診断方法

原因不明の歯の痛みを診断するためには、専門的な検査が必要です。以下の方法を用いて診断が行われます。

  • 視診・・目で見て破折を確認する
  • X線撮影・・レントゲンで内部の様子を詳細に確認する
  • 咬合テスト・・噛む際の痛みの有無を確認する

視診でもX線でも痛みの原因がわからない場合は、詰め物や被せ物を外してみてやっと歯にひびが入っているのがわかり、痛みの原因が判明する場合もあります。

歯の破折とは?

歯の破折とは、歯がひび割れたり、折れたりする状態を指します。歯の構造は硬いエナメル質と、その内部にある柔らかい象牙質、そして神経と血管が通っている歯髄から成り立っています。

詰め物の周囲に細かいひびが入ることはありますが、その程度では痛みは起こりません。大きなひび割れや、深いひび割れ、大きく折れた場合には強い痛みが起こります。

歯の破折が原因で起こる痛みの特徴

歯の痛み

歯の破折による痛みは、他の歯の問題とは異なる特徴を持っています。

  1. 断続的な痛み
  2. 噛むと痛む
  3. 温度によって刺激を受ける
  4. 持続的な鈍痛
  5. 見た目に現れない痛み
  6. 感染のリスク

1. 断続的な痛み

歯の破折が原因で起こる痛みは、断続的に現れることが多いです。

  • 食事中・噛む際に圧力がかかることで痛みが増す
  • 飲食後・・冷たい飲み物や温かい食べ物を飲食した後に痛む
  • 就寝中・・夜間、特に噛み締める癖がある場合に痛みが出やすい

2. 噛むと痛む

歯の破折がある場合、噛む行為そのものが痛みを引き起こします。これは、破折部分に圧力がかかることで内部の神経が刺激されるためです。痛みの程度は破折の程度によって変わります。

  • 軽度の破折・・噛むと一瞬の鋭い痛みを感じることがある
  • 中等度の破折・・噛むたびに強い痛みが走る
  • 重度の破折・・常に痛みがあり、噛むことができないほどの痛みを伴う

3. 温度によって刺激を受ける

歯の破折があると、冷たいものや熱いものに対して敏感になります。これは、破折部分から温度の刺激が神経に直接伝わるためです。

  • 冷たいもの・・氷や冷たい飲み物を口にすると鋭い痛みが走る
  • 熱いもの・・熱いスープやコーヒーを飲むときに痛みを感じる
  • 温度変化・・冷たいものから熱いものへ、またはその逆の温度変化のある食べ物で痛みが悪化することがある

4. 持続的な鈍痛

歯の破折が進行すると、持続的な鈍痛を感じることがあります。この痛みは、常に存在するものではなく、次のような状況で激しくなることがあります。

  • 休息時の痛み・・何もしていない時やリラックスしている時に突然痛みが現れる
  • 圧力の変化・・飛行機に乗ったり、高度が変わるときに痛みが増すことがある

5. 見た目に現れない痛み

破折が小さい場合、肉眼では全くわからないことがあります。しかし、次のような微妙な症状が現れることがあります。

  • 色の変化・・破折部分が変色することがある
  • 噛み合わせの違和感・・噛んだ時に違和感を感じる
  • 微妙なひび割れ・・表面に小さなひびが見えることがある

6. 感染のリスク

破折があると、破折部分から細菌が侵入しやすくなり、感染を引き起こすことがあります。この場合、次のような症状が現れます。

  • 腫れ・・破折部分周辺の歯茎が腫れる
  • 膿・・感染が進行すると膿が出ることがある
  • 発熱・感染が広がると体全体に影響し、発熱することがある

歯の破折の治療方法

歯の破折の治療は、破折の程度や位置によって異なります。以下に、一般的な治療方法を紹介します。

  • コンポジットレジン充填・・小さなひび割れに対して使用
  • 被せ物・・広い範囲の破折を修復する
  • 根幹治療・・歯髄が感染している場合に神経を抜く治療を行う
  • 抜歯・・修復が不可能な場合は抜歯になる。その後、ブリッジ、入れ歯、インプラントのどれかで見た目と機能を補う必要がある

予防策とセルフケアの方法

破折を予防するためには、毎日のセルフケアが大切です。

  • 正しい方法でのセルフケア・・歯ブラシの選び方と正しい磨き方
  • 定期健診・・歯医者での定期的なチェックとクリーニング
  • マウスガードの使用・・スポーツや歯ぎしりの衝撃から歯を守る
  • 硬い食べ物の摂取を避ける・・破折リスクを減少させる

まとめ

原因不明の歯の痛みが続く場合、その原因として歯の破折が考えられます。歯医者でもわかりにくいパターンもありますので、クリニックで「異常はありません」と言われても、実際に痛みがある場合は、痛みが発生する場所や痛みの程度、どのような場合に痛むか等の特徴を伝えて、しっかり調べてもらいましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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