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歯並び・歯列矯正

インビザラインの矯正中タバコは吸える?

インビザラインの矯正中タバコは吸える?

インビザラインの矯正治療中にタバコを吸うことは、いくつかのリスクがあります。タバコはマウスピースや口腔内に様々な影響を及ぼす可能性があり、治療の効果を低下させるリスクがあります。喫煙が与える影響や、健康を守るための対策についてご説明します。

インビザラインとは

マウスピース矯正で最も有名なインビザラインについてご説明します。

インビザライン

ワイヤー矯正と比べて大きく異なる点は、患者さん自身で矯正器具の着脱ができる点です。アライナー(マウスピース)は半透明で、周囲の人に矯正治療中とわかることは少なく、食事と歯磨きの時に取り外しができるため、普段通りに食事や歯磨きができるのが特徴です。

一日の間でおおよそ22時間以上は装着を必要とするケースが多く、歯科医師が指示した装着時間が守れない場合は、治療期間が延長する可能性があります。

矯正中にタバコを吸うと起こるリスク

インビザラインでマウスピース矯正を行っている最中にタバコを吸うことは、治療の効果や口腔衛生にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

1. アライナーの変色

タバコの煙にはニコチンやタールなどの有害物質が含まれており、これらの物質は透明なアライナーに付着して変色させる可能性があります。変色したマウスピースは見た目が悪く、清潔感を損ねます。

2. アライナーの劣化

タバコの成分はアライナーの素材に悪影響を与え、劣化を早める可能性があります。これにより、マウスピースが変形したり、破損しやすくなったりすることがあります。

3. 口腔衛生への影響

タバコは口腔内の健康に悪影響を与えることが知られており、歯茎の炎症や歯周病を悪化させる要因となります。インビザラインを使用していると、歯とアライナーがぴったりと重なるため、通常よりも細菌の繁殖が促進されるリスクが高まります。タバコを吸うことでこれらのリスクがさらに増大するため、歯茎や歯の健康を損なう恐れがあります。

  • 歯肉炎や歯周病のリスクの増加・・タバコは歯茎の血流を悪くして免疫力を低下させるため、歯茎に炎症を引き起こし、歯周病の進行を早めます。
  • 口臭の悪化・・タバコは口臭を悪化させる原因となります。
  • 歯の黄ばみ・・タバコの成分が歯に付着し、歯の色が黄色くなることがあります。

4. 治療の効果低減

タバコの成分は口腔内の健康状態を悪化させるため、矯正治療の効果が減少する可能性があります。歯茎の炎症や歯周病が進行すると、計画通りの治療が困難になることがあります。

対策と推奨事項

  • 禁煙を試みる・・矯正治療中は禁煙を推奨します。これは治療の効果を最大限に引き出し、口腔内の健康を保つためです。
  • 口腔ケアの徹底・・タバコを吸う場合は、通常よりも念入りに歯磨きやフロスを行い、口腔内を清潔に保つように心がけましょう。

矯正治療中のタバコの影響は大きいため、できる限り禁煙することを強くお勧めします。

タバコが口腔内に及ぼす影響
  • 唾液の分泌が減るため、口臭が起こりやすい
  • 血流が悪くなるため、歯周病になりやすい
  • ヤニが歯の表面に付着することで、虫歯になりやすい
  • 舌がんなどのリスクが高くなる
  • 周囲の方に受動喫煙をさせてしまう

電子タバコや加熱式タバコならインビザライン中でもOK?

紙タバコではなく、電子タバコや加熱式タバコならば問題ないのではと思われるかもしれません。電子タバコで有名なのはVAPE、加熱式タバコで有名なのはIQOSでしょう。飲食店の一部の店舗で、紙タバコはNGだが、加熱式タバコはOKなどの表記を見かけることがあります。電子タバコと加熱式タバコの違いはどのようなものでしょうか。

電子タバコ

たばこ葉を使用しないリキッドを加熱しその蒸気を吸入するため、ニコチンは含有されていない

加熱式タバコ

タバコ葉を刻んだものを加熱した蒸気を吸入するため、ニコチンを含有している

電子タバコはニコチンを含んでいないから良いのではと思われがちですが、比較的新しいものであるため、健康上の影響がまだわからないという不安があります。そのため、紙タバコではないから大丈夫とは言い切れません。

喫煙が矯正治療そのものに与える影響

矯正治療を検討中、または治療中の患者さんにとって、喫煙がどのような影響を与えるのか知ることは重要です。喫煙は歯や歯周組織、そして治療の効果や進行にさまざまな悪影響を及ぼします。ここでは、その具体的な影響と注意点について詳しく解説します。

1. 喫煙が歯周組織に与える影響

矯正治療で歯を動かすためには、歯周組織が健康でなければなりません。しかし、喫煙によってニコチンやタールなどの有害物質を体内に取り込むことで、以下のような問題を引き起こします。

  • 血流の減少
    タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯茎への血流が減少します。その結果、歯周組織の栄養供給が不十分となり、治癒能力が低下します。
  • 歯周病のリスク増加
    喫煙により、歯周病の原因となる歯垢や歯石が増加しやすくなります。これが矯正治療中に歯周病を進行させる原因となり、治療の妨げになる場合があります。
  • 炎症反応の鈍化
    喫煙者の体は、炎症や感染症に対する免疫応答が低下するため、歯茎の腫れや出血に気づきにくく、歯周病の進行に気づけない場合があります。

2. 矯正治療の進行と喫煙の関係

矯正治療は歯を歯根からゆっくりと動かしますが、喫煙はこのプロセスに悪影響を及ぼします。

  • 歯の動きが遅くなる
    喫煙による血流減少は、歯を動かすために必要な骨のリモデリング(新陳代謝)の速度を低下させます。そのため、治療期間が延びることがあります。
  • 歯根吸収のリスク増加
    矯正治療中に歯根が少し吸収されるのは一般的ですが、喫煙によりそのリスクが高まることがわかっています。歯根吸収が進むと、歯の安定性が損なわれる可能性があります。

3. 口腔内の健康状態への影響

喫煙が直接的に矯正治療を妨げるだけでなく、口腔内全体の健康に悪影響を与えることが、治療結果に影響します。

  • 口腔内の乾燥
    喫煙は唾液の分泌を減少させ、口腔内を乾燥させます。唾液は自然の洗浄作用を持つため、その減少により、歯垢が増えやすくなります。
  • 口臭の悪化
    喫煙による口臭は、歯磨きや洗口液では十分に改善できないことがあります。これは治療中のモチベーション低下にもつながる可能性があります。
  • 装置やアライナーの着色
    喫煙により、矯正装置やインビザラインのアライナーが着色し、見た目が悪くなることがあります。

4. 矯正治療後の安定性への影響

矯正治療後に歯並びを安定させるための保定期間にも喫煙は影響を及ぼします。

  • 歯周組織の回復が遅れる
    矯正治療後に安定させるためには、歯周組織の回復が重要ですが、喫煙はその速度を遅らせます。
  • リテーナーの着用時の問題
    喫煙による口腔内の状態悪化は、リテーナーの着用が不快に感じられる原因となる場合があります。

5. 喫煙を控えるためのサポート方法

矯正治療の効果を最大化し、健康な歯並びを維持するためには、喫煙を控えることが推奨されます。

  • 歯科医師との相談
    喫煙を完全にやめるのが難しい場合でも、矯正治療中だけでも控えることを目指しましょう。歯科医師が適切なアドバイスを提供してくれます。
  • 禁煙サポートツールの利用
    ニコチンガムや禁煙外来などのサポートを活用することで、禁煙の成功率が上がります。
  • 家族や友人からの協力
    喫煙習慣を改善するためには、周囲からの支援も重要です。

タバコを吸う際の注意点

タバコを吸う場合、インビザラインのマウスピースを必ず外すことが推奨されます。しかし、1日に20時間以上装着することが治療の効果を保つために必要なため、頻繁な喫煙は装着時間を減らし、治療の進行に支障をきたすことが考えられます。

禁煙のすすめ

インビザライン矯正中は禁煙が推奨されます。治療の効果を最大限に発揮し、口腔内の健康を保つために、タバコを控えることが理想的です。禁煙をサポートする製品やカウンセリングなども活用するのも一つの方法です。

まとめ

インビザライン矯正中にタバコを吸うことは、マウスピースの変色や劣化、口腔内の健康リスクを高め、治療の進行にも悪影響を与えます。禁煙が推奨されますが、喫煙を控えられない場合でも、マウスピースを外して吸うことや、口腔ケアを徹底することでリスクを軽減することが可能です。

矯正治療をスムーズに進め、健康的な口腔環境を維持するためには、喫煙の習慣を見直すことが大切です。

監修

歯科衛生士 坂上明美

医療法人真摯会
まつもと歯科

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この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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