
今回は「電動歯ブラシと歯ブラシ(手で動かす方)の違い」について書いていきたいと思います。
目次
そもそも歯ブラシと電動歯ブラシの違いは?

電動歯ブラシといっても3種類あります。「音波歯ブラシ」「超音波歯ブラシ」「電動歯ブラシ」(高速回転タイプ)の3つに分類されています。
電動歯ブラシ(高速回転タイプ)は1分間に3千~7千回という高速で左右反転する電動歯ブラシです。
音波歯ブラシは1分間に2万~4万回の振動により歯を磨きます。
超音波歯ブラシはさらに振動数の多い1分間に120万回以上の超音波を利用した歯ブラシです。
現在主力となっているのは電動歯ブラシ(高速回転タイプ)と音波歯ブラシの2つです。ただしそれぞれ使い方のポイントが違います。


それぞれのメリット・デメリットをもとに比較していきましょう。
電動歯ブラシのメリット

①清掃効率が良い
②誰でも簡単に汚れが落とせる
③疲れない
①清掃効率が良い
1本1本の歯を包み込むように磨くことでプラーク除去の効果が上がります。

電動歯ブラシは、手で動かす歯ブラシよりも圧倒的に清掃効率が良いです。人間の力では不可能な速さで、たくさんの振動を歯に与えることができます。その振動により短時間でしっかりを歯垢(プラーク)を除去することができます。歯ブラシを動かす必要がないです。
また電動歯ブラシは、手で動かす歯ブラシでは届かなかった部分の清掃も行うことができます。具体的には歯周ポケットの中など。手で動かす歯ブラシでも毛先を入れ込むことは可能ですが、電動歯ブラシではそれに細かな振動が加わることによって、より深い部分まで清掃することができます。
②誰でも簡単に歯垢が落とせる

電動歯ブラシは先述の通り、勝手に振動してくれます。そのため正しく歯に当てさえすれば、誰でも簡単に歯垢(プラーク)を落とすことができます。子供でも大人でもご高齢の方でも。
ご高齢の方などはしっかり歯ブラシを握る力がなくても電動歯ブラシならプラーク除去が簡単です。その時には手にフィットして軽いものを選んで下さいネ。
③疲れない
手で動かす歯ブラシは、歯の汚れを落とすためによくこすらなければなりません。しかし電動歯ブラシなら毛先を一定の位置に当て、あとはスライドさせるだけ。力の弱い子供や、ご高齢の方でも使用することができます。
電動歯ブラシのデメリット


①比較的高価
②電池・電力がないと使用できない
③歯や歯茎を傷付ける可能性がある
①比較的高価

先端部分は交換が可能ですが、先端だけでも数百円〜します。衛生面や消耗品であることを考えると、高級な買い物だと言えるでしょう。ただ家族で先端(交換ブラシ)だけ換えて使用できるので、一家に1台!で使用できます。御家族で共有するのもいいです。
②電池・電力がないと使用できない

電動歯ブラシには乾電池式や充電式があります。電池の交換であったり毎回充電したりと、電動歯ブラシは管理にも手間とお金がかかります。
加えて手で動かす歯ブラシよりもコンパクトさに欠けるため、持ち歩くのも難しいです。携帯用であれば持ち歩くことができます。最近はコンパクトでおしゃれな電動歯ブラシもよくみかけますね。お昼休みに時間をかけずきれいに磨けるので私はおすすめです。
③歯や歯茎を傷つける可能性がある

自分の歯や歯茎の状態に合っていないブラシのヘッドを使ってたり、パワーの強い電動歯ブラシを使っていると、歯や歯茎を傷つける可能性があります。歯や歯茎を健康にするための歯磨きで、けがをしてしまっては本末転倒です。
強く力が入っていたら止まったり、ランプが付いたり、便利な機能が付いているものもあります。
手で動かす歯ブラシのメリット


①どこでも簡単に手に入る
②値段が圧倒的に安い
③症状に合わせてさまざまな種類から選ぶことができる
①どこでも簡単に手に入る

電動歯ブラシは家電量販店や、大きなドラッグストアでないと品揃えも少なく、売っていないところも多くあります。しかし手で動かす歯ブラシはどこにでも売っているので、簡単に手に入ります。コンビニでもスーパーでも小さな薬局であっても、どこにでも売っています。
②値段が圧倒的に安い

電動歯ブラシは数千〜数万円が相場ですが、手で動かす歯ブラシは数百円、あるいは数十円で手に入ることも。値段が圧倒的に安いです。
歯ブラシは消耗品。歯ブラシの交換時期についてよく質問されますが、理想は1ヶ月に1回とされています。毎日使っていると歯ブラシは不潔になります。また毛先が広がっていなくても先端は摩耗しているため、実は2週間位で段々と清掃効率は落ちてくるのです。
1ヶ月に1回という高頻度でも、安価なので気兼ねなく交換することができます。電動歯ブラシは先端のみ交換ができますが、先端だけでも数千円することがしばしば。交換がしやすく清潔・清掃効率を保つことができるのが手で動かす歯ブラシのメリットです。
③症状に合わせてさまざまな種類から選ぶことができる
毛先の種類がフラットなもの、山切りのもの、先端が細くなっているもの、その他メーカーによってさまざまな形態があり、選ぶことができます。
また毛先の形態だけでなく時期によっても使い分けることができます。例えば乳児用、学童期用、子供の仕上げ磨き用、永久歯用、歯周病用、一番奥歯用などその種類が実にさまざま。歯磨きの目的や使う人によって簡単に使い分けられるのも手で動かす歯ブラシのメリットでしょう。
舌みがきやBr(ブリッジ)、インプラント上部かぶせ物にもあうものも出ています。かかりつけの歯科医院で担当歯科衛生士に選んでもらうのもありです。私は患者さんに持参してもらっています。正しく使用できている方は少ないです…。
手で動かす歯ブラシのデメリット


①きれいに磨くには技術が必要
②磨き切るのに時間がかかる
①きれいに磨くには技術が必要
さまざまな種類から自分に合ったものを選ぶことができる歯ブラシ。小回りがきき、細部まで磨くことができるのは良い点ですが、その分技術も必要です。特に奥歯は技術がないと磨き残しやすい部分です。
器用に物を扱える方はすぐに上手く磨けるようになります。しかし何度磨いても歯垢(プラーク)が残ってしまう・・・という患者さんも多くいます。同じ歯ブラシでも人によって効果に大きな差が出てしまうのも、手で磨く歯ブラシのデメリットでしょう。
毎日することですので歯科医院でレクチャーを受けたことを思い出してみて下さい。上手に磨けるようになります。
②磨き切るのに時間がかかる

手で磨く歯ブラシは、もちろんどこを磨くにも人力。そのため電動歯ブラシと比較すると磨き切るのには時間がかかります。手で磨く歯ブラシは、正しく磨いた場合でも、清掃の効果と清掃にかける時間はおおむね比例するように思います。時間をかければかけるほど綺麗になるとは限りませんけどね。
電動歯ブラシと歯ブラシはどっちがいい?

使う人や使い方によってどちらが良いかは変わってきます。ご年齢や性格、好み、お口の中の状態によっても変わってきます。
そのため電動歯ブラシの方がおすすめ、手で動かす歯ブラシの方がおすすめ、とは断言できません。電動歯ブラシでも上手く操作できなければ汚れは残ります。普通の歯ブラシでも上手く操作できればほとんどの汚れを落とすことができます。
電動歯ブラシは誰でも簡単に汚れを落とすことができると言いましたが、正しく使うことができればの話。
実際わたしも幼少期、最新の超音波歯ブラシを使用していたのに虫歯ができました。それは歯ブラシ自体は最新で、高性能のものであっても使いこなせなかったから。患者さんでも最新の電動歯ブラシを使っているのに汚れが落とせていない人は多くいます。高価で、最新のものを使っていても使う人によっては効果が発揮できないのです。
私は全メーカーの電動歯ブラシを使用した事があり、家には3メーカーあり、日々使っています。歯ブラシに関してはオタクな歯科衛生士も多いので、歯科医院で気軽に聞いてみて下さい。あなたに最適な歯ブラシの提案ができると思いますよ。
監修

歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
【所属学会】
日本歯周病学会
日本審美歯科学会
日本医療機器学会
日本アンチエイジング歯科学会
【資格】
スイスデンタルアカデミーエキスパート
第2種滅菌管理士
ホワイトニングコーディネーター
デンタルコーディネーター