
「昔の治療がトラウマで、診察台に座るだけで手汗びっしょり…」
そんな経験、実はあなただけじゃないんです。
歯科恐怖症(しかきょうふしょう)といって、歯科治療に強い不安や恐怖心を感じてしまう人は、意外とたくさんいます。中には、痛みがあっても我慢してしまい、症状が悪化するまで歯科医院に行けない…なんてケースも。
でも大丈夫。
あなたの不安をやわらげて、安心して通える方法や環境は、ちゃんとあります。
このコラムでは、「どうして歯医者さんが怖くなっちゃうのか?」という理由から、心と体を落ち着けるリラックス方法、そして信頼できる歯科医院の選び方まで、わかりやすくお伝えしていきます。
「怖いから行かない」じゃなくて、
「怖くても、行けるようになりたい」そんなあなたに届けたい内容です。
目次
歯医者さんが怖い…「歯科恐怖症」とは?

「歯医者に行くのが怖い」という気持ちは、誰でも少しはあるもの。でも、その恐怖が強すぎて治療を避けてしまう状態を「歯科恐怖症」と呼びます。この状態になると、痛みがあっても歯科医院に行けず、問題が悪化してしまうことも少なくありません。
強い不安で歯医者に行けない状態を「歯科恐怖症」といいます。
治療の先延ばしが引き起こすお口と健康へのリスク
歯科恐怖症の影響で通院を避け続けると、虫歯や歯周病が進行し、痛みや腫れ、歯の喪失につながることがあります。さらに、口腔内の問題は全身の健康にも悪影響を及ぼすため、早めの対応が大切です。
恐怖で歯科を避けると、口の中だけでなく全身の健康にもリスクが。
放置による主なリスク
→ 放置すると歯の神経や骨にまで影響が及ぶ可能性があります。
→ 歯垢や歯石がたまり、歯ぐきの炎症が悪化。最終的には歯が抜けることも。
→ 口腔内のトラブルが見た目やにおいにも影響を及ぼすことがあります。
→ 食事や会話が苦痛になり、心理的ストレスも大きくなります。
歯科恐怖症による通院の回避は、短期的には「安心」に感じても、長期的には深刻なダメージとなることが多いです。自分の健康を守るためにも、早期の対策が欠かせません。
実は多い「歯科恐怖症」体験談とその背景

歯科恐怖症に悩む人は決して少なくありません。特に「子どもの頃に怖い思いをした」「痛い治療の記憶がある」「無理に治療された経験がある」などが原因で、心に深い不安が残るケースが多いのです。
歯科恐怖症の背景には、過去のつらい経験や不安が隠れています。
よくある背景やきっかけ
- 幼少期の痛い治療の記憶
- 医師とのコミュニケーション不足
- 診療チェアに座るだけで緊張する
- 器具の音やにおいが怖い
- コントロールできない状況への不安
これらはどれも、歯医者が苦手・怖い、とおっしゃる患者さんからよくお伺いする内容です。
「歯医者=怖い」というイメージは、一人ひとり違う体験から生まれます。これらを無視せず、「怖がってもいい」という前提で寄り添うことが、克服の第一歩です。
また、何度か定期健診を受けて頂き、歯のクリーニングは怖くないという経験をしていただくことで、診療チェアに座っている状態に少しずつ慣れていくことが出来ます。
歯科恐怖症を和らげるリラックス方法とは?

恐怖心を完全になくすのは難しくても、少しずつ軽くすることは可能です。歯科恐怖症の克服には、心と体をリラックスさせる具体的な方法が役立ちます。
ちょっとした工夫で、恐怖心は軽減できます。
リラックス方法の一例
- 深呼吸や瞑想を取り入れる
→ 診療前に深い呼吸を繰り返すことで、気持ちを落ち着けやすくなります。 - 音楽を聴きながら治療を受ける
→ 好きな音楽やリラックス音楽が、緊張を和らげる助けになります。 - アロマや香りの活用
→ リラックス効果のある香りを感じると、自律神経が安定しやすくなります。 - 付き添いの人と一緒に来院する
→ 信頼できる人と一緒だと、安心感が得られやすくなります。 - 自分の気持ちを言葉にする
→ 不安な点を歯科医に伝えることで、適切な対応をしてもらいやすくなります。
麻酔によるリラックス方法「静脈内鎮静法」
歯科恐怖症が強い患者さんには、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という方法も選択肢の一つです。これは、点滴で鎮静剤を投与することで、心と体をリラックスさせながら治療を受けられる方法です。
静脈内鎮静法の主な特徴
- ウトウトしたまま治療が受けられる
→ 完全に眠ってしまうわけではなく、「うとうと」「ぼんやり」した状態で治療が進みます。緊張がかなりやわらぎ、不安をほとんど感じないまま終わる方も多いです。 - 治療中の記憶がほとんど残らないことも
→ 治療中の記憶があいまいになるため、「怖かった」「痛かった」という印象が残りにくいのもメリットです。 - 全身麻酔とは違い、意識は保たれている
→ 安全性が高く、治療後は少し休めば帰宅できるのが一般的です。 - モニターでしっかり管理されている
→ 心拍や血圧、酸素濃度などがリアルタイムでチェックされ、安全性が確保されています。
静脈内鎮静法が向いている患者さんとは?
この方法は、特に次のような患者さんに向いています。
- 治療に対して強い恐怖や不安がある
- 嘔吐反射が強くて治療が困難
- 過去に歯科治療中にパニック発作を起こしたことがある
- 長時間の治療が必要で体力的に不安がある
静脈内鎮静法は、どうしても不安が拭えない患者さんにとって、安心して治療を受けるための大きな味方になります。事前にしっかりとした説明と同意が必要ですが、「怖くてどうしても無理」という方には、治療をあきらめずに済む大きな選択肢になり得ます。
ただし、対応している歯科医院は限られているため、事前に対応可否を確認し、しっかりと説明を受けたうえで検討するのがおすすめです。
リラックス方法は「自分に合うものを見つけること」が大切。まずは一つだけでも取り入れてみると、少しずつ心が落ち着いてくるはずです。
恐怖心を相談できる歯科医院の選び方
歯科恐怖症の患者さんにとって、信頼できる歯科医院との出会いがとても重要です。カウンセリングに力を入れていたり、やさしく丁寧な対応をしてくれる医院を選ぶことで、治療への不安がぐっと和らぎます。
「話せる」歯医者さんを選ぶことが、安心の第一歩です。
歯科医院選びのポイント
- 歯科恐怖症に対応しているか、公式サイトで確認する
- カウンセリングや説明に時間をかけてくれるか
- 院内の雰囲気がやさしく、清潔感があるか
- 歯科医師やスタッフが話しやすいか
- 無理な治療を押し付けない方針かどうか
歯科恐怖症に理解のある歯科医院を選ぶことで、治療へのハードルは大きく下がります。まずは相談から始めてみるだけでもOKです!
まとめ
少しずつでいいんです。あなたのペースで進みましょう。
「歯医者さんが怖い」その気持ちは、決して特別なことではありません。
痛い思いをしたことがある人、音やにおいが苦手な人、自分ではどうにもできない不安に襲われる人…理由はさまざま。でも、それぞれに「怖い」と感じる理由があることは、とても自然なことなんです。
大切なのは、「怖いからダメ」ではなく、
「怖くても大丈夫。ちゃんと向き合おうとしている自分を認めてあげること」。
信頼できる歯科医院を探してみる
誰かに相談してみる
とりあえず話だけ聞きに行ってみる
それだけでも、あなたの中の小さな「勇気」で、確かに前に進んでいます。
歯科恐怖症は、すぐにスッキリ消えるものではないかもしれません。でも、あなたのペースで、あなたに合った方法で、少しずつ乗り越えていけたら、それは本当に素晴らしいこと。
歯の健康は、あなたの笑顔や生活の質を守るためにも、とても大切です。だからこそ、「怖くない歯科通い」を叶えるサポートを、この記事が少しでもできていたら嬉しいです。