よくあるご質問
歯並び・歯列矯正

矯正治療中に吹奏楽などの楽器はできる?

矯正しつつ楽器はできる?

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

矯正の治療をしつつ、楽器の演奏を趣味や部活で行っている方はおられます。今日は矯正治療と楽器演奏の関連性をご紹介します。

矯正治療と吹奏楽を並行する際の注意点

吹奏楽しつつ矯正の治療を行いたい方は、ワイヤーとブラケットによる矯正をおすすめします。全体的に噛み合わせが悪いのか、それとも部分的に歯並びが悪いかによって、全顎矯正か部分矯正かとなりますが、歯科医師が状態を診断しないとわかりません。ワイヤーとブラケットによる矯正の流れについては以下の通りです。

  1. 歯の表面にブラケットと呼ばれる突起を接着する
  2. ブラケットの中にワイヤーを通し、矯正力をかける
  3. 歯を正しい位置へ動かしていく
  4. 担当医がワイヤーを交換し、歯の動きをチェックする
  5. 綺麗な歯並びと負担の少ない噛み合わせにする

歯を動かすスペースがない永久歯の歯列の場合、小臼歯の抜歯、IPRの処置(歯のエナメル質の隣接部分を削る)を行う可能性が高いです。ただし、抜歯時は歯の隙間が空きますので、楽器を吹くと空気が漏れて奏でにくいことが多いです。

吹奏楽をしつつ行う矯正

●唇側の歯の表面にブラケットを付けて銀色のワイヤーを通す表側矯正
矯正治療中と見た目でわかるが費用を安くしたい

●唇側の歯の表面にブラケットを付けて白色のワイヤーを通すホワイトワイヤー矯正
近くに来られると治療中とわかるが審美性を気にしたい方におすすめ

●舌側の歯の表面に付ける裏側矯正
患者様に合わせたワイヤーを作製するため費用は高いが他の方に治療中とわからない

楽器を演奏される方の場合、裏側矯正をおすすめすることが多いです。唇側だと楽器に口を押し付けた時に内側の粘膜が傷つくことが多くなります。もちろん、裏側矯正でも舌がブラケットに当たることが多く傷はつくかもしれません。その場合歯科用のワックスをブラケットの上に塗り、粘膜や舌が傷つかないようにする方法や、コンフォートカバーを装着する方法が最適です。

歯を動かす動的治療も、歯を後戻りさせないように固定するための静的治療も最短の治療期間で終わらせることが大切です。

楽器の種類

例えば楽器の演奏がお口に関わらないものならば、歯列矯正の治療中でも特に問題はありません。ピアノ、ギター、ドラムなどはお口の周りではなく、手を使って演奏を行います。矯正治療において特に関連があるのは、お口や顎を使って演奏を行う楽器で、フルート、サックス、クラリネット、トランペット、トロンボーンなどの管楽器が挙げられます。管楽器には木管楽器と金管楽器があります。

木管楽器

木管楽器に分類される楽器は、リードを使用する楽器です。

  • 木製のリードを使用するクラリネット、サックス、オーボエなど
  • 吹き込み口が空気を振動させてリードの役割をするピッコロ、フルート

これらは、通常の状態に戻りやすい楽器です。

金管楽器

金管楽器に分類される楽器は、マウスピースを使用する楽器です。

  • トランペット、ホルン、トロンボーンなど

これらはマウスピースで高い音を出すのに時間がかかる方が多く、数か月単位で慣れるのに時間がかかります。

意外かもしれませんが、バイオリンやビオラも影響を及ぼすと考えられます。バイオリンやビオラは手で弓毛を使用し楽器を鳴らし、顎で楽器を挟んで固定します。そのため、顎に力がかかり噛み合わせや歯並びが一部ずれ、矯正治療に影響がでる可能性はあります。

参照先:島村楽器

矯正したら楽器の音は良くなる?

楽器演奏は部活動や勤務後の一部の時間だけという方も少なくありません。見た目が気になるため、矯正治療も並行して時間を効果的に使いたいという方も多いでしょう。また、歯並びの悪さは楽器演奏にどのような影響を及ぼすでしょうか。

  • 歯並びの悪さはマウスピースにきちんと息が通らず、口の形が崩れる
  • 口腔内で息の流れを作れないので、舌癖がない方が良い

お口の中に矯正器具を装着すると、今まで演奏できていた音色が出ないという可能性があります。吹奏楽部の大会や発表会などを控えている方は、矯正治療を行うことは避ける方が賢明です。部活動の引退が控えている方は、引退後に矯正治療を開始すると良いかもしれません。

矯正治療中に吹奏楽の演奏はできる?に関するQ&A

矯正治療中に吹奏楽を演奏したい場合に推奨される矯正方法は何ですか?

矯正治療中に吹奏楽を続ける場合、ワイヤーとブラケットによる矯正が推奨されます。この方法は、歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーを通して矯正力をかけることで、歯を正しい位置へ動かしていきます。特に吹奏楽を演奏される方には、裏側矯正がおすすめされることが多く、これは楽器に口を押し付けた時に内側粘膜が傷つくのを避けるためです。

楽器の種類によって矯正治療中の注意点は異なりますか?

はい、楽器の種類によって矯正治療中の注意点は異なります。木管楽器や金管楽器など、口や顎を使って演奏する楽器は矯正治療の影響を受けやすいです。木管楽器は比較的通常の状態に戻りやすいですが、金管楽器はマウスピースでの演奏に慣れるのに時間がかかります。バイオリンやビオラのように顎で固定する楽器も、噛み合わせや歯並びに影響を与える可能性があります。

楽器演奏における矯正治療の影響はどのようなものがありますか?

矯正治療中に楽器を演奏すると、特に吹奏楽の場合、ブラケットやワイヤーにより口内が傷つきやすくなります。楽器の演奏によりブラケットに圧力がかかると、痛みや不快感を感じることがあります。特に、抜歯が必要な場合、歯の隙間から空気が漏れて音を出しにくくなることもあります。

まとめ


舌、頬の筋肉、舌癖、態癖(たいへき)により歯並びは悪く変化してしまいます。楽器を演奏しているが歯並びを治療したいという方は矯正歯科のカウンセリングを活用し、お気軽に相談しましょう。患者様のお口の状態をしっかりと診断したうえで、時期を見るべきなのか、今すぐ開始してもいいのかなど、歯医者さんが適切な治療計画を立ててくれます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

▶プロフィールを見る