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歯の痛みの原因

歯の痛みの原因まとめ

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

歯の痛みや食事中の不快感が突然起こることがあります。痛みの原因を突き止め、適切な対応を取ることが重要ですが、痛みには様々な原因があるため、原因を特定することが難しい場合があります。痛みの主な原因を3つのカテゴリに分けてご説明します。

▼歯痛を抑える・対処方法はこちらでまとめています。

https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/antipain-method/

歯の痛みの原因とは?

女性

歯の痛みの原因は、大きく3つに分けられます。

 ①に原因がある場合

 ②歯茎に原因がある場合

 ③歯・歯茎以外に原因がある場合

①歯に原因がある場合

虫歯

痛くなる原因として最も多いのが虫歯によるものです。

歯の構造

歯の表面のエナメル質には神経がありませんので、エナメル質が傷ついても痛みを感じることはありません。しかし虫歯などによりエナメル質が溶けて、その内側の象牙質が露出すると痛みを感じることがあります

エナメル質が溶けて痛みを生じる虫歯

象牙質は、表面のエナメル質よりもやわらかく傷つきやすいです。そのため放置しておくとさらに内側の歯髄(神経)にまで虫歯が到達し、かなり強い痛みを感じます

虫歯が歯髄に達して強い痛みが生じる

このように、虫歯がC3やC4段階に進行すると、神経が侵され、激しい痛みを伴います。特に食べ物を噛むときや冷たいものを飲んだときに強く感じることが多く、痛みが長引くこともあります。

知覚過敏

知覚過敏の場合は「痛い」というよりは「しみる」という方が多いです。

知覚過敏は、エナメル質が損なわれたり、歯茎が後退して象牙質が露出することによって引き起こされます。特に冷たいものや甘いものに対する一時的な痛みが特徴です。

また表面の傷だけでなく、加齢や歯列矯正によって歯茎が下がって、今まで埋まっていた象牙質がむき出しになり、知覚過敏症状が出ることもあります。これは歯の根元部分、本来であれば歯茎に覆われている部分にはエナメル質がなく、象牙質のみであるために起こります

歯にヒビが入った・割れた

欠けたり折れたりした場合も、内部の神経が露出し、激しい痛みを感じることがあります。特に大きな破折の場合、痛みが持続的で強烈なものとなり、早急な治療が必要です。

こうしてできた割れ目から細菌が入り込み、痛みの原因になることがあります。痛みが強い時はすぐに歯医者の予約をして、受診までは痛み止めの薬を飲んでしのぎましょう。

ヒビが入ったり割れたりすると、抜歯しなければならない場合があります。

詰め物や被せ物の劣化

過去に治療した詰め物や被せ物が劣化すると、内部に細菌が侵入し、痛みが生じることがあります。特に被せ物が浮いてきたり、詰め物が外れたりした場合、内部で進行している虫歯や炎症が原因となることが多いため、定期的なチェックが必要です。

②歯茎に原因がある場合

歯茎の炎症や疾患も痛みの原因となります。歯肉炎や歯周炎によって歯茎が腫れたり、歯周ポケットが深くなり、そこに細菌が溜まることで痛みを感じることがあります。歯茎の腫れが歯の根の部分に影響を与えると、鈍い痛みや圧迫感が生じることがあります。

歯周病

歯周病は自覚症状がないまま進行することが多いです。そのため歯茎に痛みが出てきた場合は、かなり進行している可能性があります

噛むと痛い場合も歯周病である可能性があります。プラークコントロールが不十分だと、歯垢の中に細菌が繁殖して毒素を出し、歯肉が赤く腫れが状態になります。

▼歯周病について詳しくはこちら

 https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/toothbrushing-pain/

親知らずが炎症を起こしている

親知らずは他の歯と同じようにまっすぐ生えていることもあれば、部分的に埋まっていることもあります。また親知らず全体が埋まっていることもあります。

今後を考慮し、状態によっては抜歯すべきときもあります。

親知らずは一番奥にあり、磨きにくい歯です。部分的に埋まっていればなおさら。そのため歯垢(プラーク)など汚れがたまりやすく、周りの歯茎に炎症が起きやすいです。そのため親知らずが原因で痛みが起こることはしばしばあります。

▼親知らずが痛い原因について詳しくはこちら

https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/oyashirazu-pain/

③歯・歯茎以外に原因がある

歯や歯茎には異常がないのに、痛いという状態です。

顎関節症による歯の痛み

顎関節症(TMJ)の患者さんは、噛み合わせや顎の筋肉の緊張により歯が痛むことがあります。

咀嚼筋の疲労

咀嚼筋や首の筋肉などが原因で、歯に痛みが起こることがあります。食事中や就寝時には気にならないものの、食後に痛みが悪化することが多いです

痛い部分を特定しにくく、上の奥歯あたりが1日中痛いという場合は、咀嚼筋の酷使・疲労によるものかもしれません。

上顎洞炎

頬のあたりから目の下にかけて、また上の奥歯あたりに鈍い痛みがある場合は、上顎洞炎による痛みかもしれません。

こちらも痛い部分の特定ができず、鼻がつまる、上あごを押すと痛む、頭を下に向けると痛みが強まるなどの症状も見られます。

黄色い鼻水が続くため耳鼻科を受診して抗生物質を処方され、一時的に症状は良くなっても、数か月度に同じ症状が出て、耳鼻科の担当医から歯が原因ではないかと言われて治療に入る方もおられます。

神経に異常がある

刺されたような激痛が瞬間的に起こる「発作性神経痛」と、じわじわした歯の痛みがずっと続く「持続性神経痛」に分けられます。

いずれにしろ識別も難しく、専門医にかかることをおすすめします。

精神疾患

統合失調症うつ病の症状として、歯の痛みが出ることがあります。これは歯医者では効果的な対処ができません。

がんなど全身疾患、その他

狭心症心筋梗塞など心臓の病気が原因で、歯に痛みが起こることもあります。痛みは発作のように急に起こります。もちろんですが危険な状態であり、早急に心疾患の治療を受ける必要があります

その他肺がんなど、全身の病気が原因で痛みが起こることもあると言われています。

歯の痛みの原因をつきとめるには?

歯の痛みは、日常生活に大きな影響を及ぼします。その原因は多岐にわたり、適切な診断と対処が必要です。

1. 症状を正確に把握する

痛みの特徴を知ることは、原因を特定する第一歩です。以下のポイントを確認しましょう。

痛みの種類

  • 鋭い痛み・・冷たいものや甘いものを摂取した際に感じる痛みは、虫歯や知覚過敏の可能性。
  • 鈍い痛み・・圧力や噛む動作で感じる場合、歯根の炎症や詰め物の不具合が考えられる。
  • 持続的な痛み・・歯の内部の神経が影響を受けている場合や歯髄炎の可能性。

痛みの場所

  • 特定の歯・・問題がその歯に限られる可能性。
  • 広範囲・・歯周病や噛み合わせの問題が原因のことも。

誘因

冷たい・熱いもの、甘いもの、噛む動作、特定の時間帯など。

2. 歯科医院での健診を受ける

自己診断だけでは、正確な原因を特定するのは困難です。歯科医院での診察を受けることが重要です。

  • 視診・・虫歯の有無、歯茎の腫れ、歯垢や歯石の蓄積状況を確認します。
  • 触診・・痛みを引き起こす箇所を探すために、歯や周囲の歯茎を軽く押して確認。
  • X線検査・・歯根や骨の異常を特定するために行います。虫歯が進行している場合や歯根嚢胞がある場合に有効。
  • 歯髄の診断・・歯の神経が生きているか、または死んでいるかを確認します。

3. 考えられる主な原因と対処法

虫歯

初期の虫歯では冷たいものに敏感になることがあります。進行すると、痛みが持続的になります。

  • 対処法・・虫歯の除去と詰め物(インレーや被せ物)の装着。

歯周病

歯茎が腫れたり出血するほか、歯がグラグラすることがあります。

  • 対処法・・歯垢や歯石の除去、歯磨き指導。

知覚過敏

冷たい飲み物や風に当たると痛みが走る場合、歯のエナメル質が薄くなっている可能性があります。

  • 対処法・・フッ素塗布や知覚過敏用の歯磨き剤。

歯髄炎

神経の炎症で、ズキズキとした激しい痛みが特徴。

対処法・・根管治療(神経の除去)。

親知らずのトラブル

親知らずが正常に生えず、周囲の歯や歯茎に影響を及ぼすことがあります。

  • 対処法・・抜歯や周囲の清掃。

噛み合わせや歯ぎしり

顎の筋肉や関節に負担がかかり、歯や顎全体が痛む場合があります。

  • 対処法・・マウスピースの使用や矯正治療。

4. 痛みを悪化させないための注意点

原因が特定されるまで、以下を避けることで痛みの悪化を防ぎます。

  • 固い食べ物や粘着性のある食べ物の摂取を避ける。
  • 痛みを感じる側の歯で噛むのを控える。
  • 痛み止めを自己判断で乱用せず、歯科医に相談する。

まとめ

歯のキャラクター

痛みには、虫歯や歯茎の炎症、さらには全身的な疾患など、多岐にわたる原因が考えられます。痛みを放置すると、症状が悪化し、治療が複雑になる可能性があるため、早期の対応が重要です。まずは、担当医に相談し、適切な診断と治療を受けることが必要です。

また、日常生活での歯磨きや定期的な健診を心がけることで、痛みを未然に防ぐこともできます。歯や歯茎だけでなく、全身的な健康管理も忘れず、痛みのサインを軽視せずに向き合いましょう。健康な口腔環境を維持することで、生活の質を向上させることができます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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