
見た目の印象だけでなく、噛み合わせや発音、消化機能などに影響を及ぼします。これらの症状は遺伝や日常の癖が原因となり、早期の対応が必要です。大人と子供それぞれに適した治療方法、治療のメリットやデメリット、放置した場合のリスクをご説明します。
大人の受け口・しゃくれの治し方7選
1. ワイヤー矯正を行う


メリット
ワイヤー矯正は、さまざまな出っ歯に対応できます。
- 最もメジャーな矯正方法であり治療実績も多い
- 他の矯正方法よりも比較的安い
デメリット
- 付け外しが自由にできず、汚れが溜まりやすい
- 食事中気になったり、食べづらかったりする
- 歯の表面に装置をつける場合は見た目が目立つ
治療期間
およそ2〜3年ほどかかります。私がワイヤー・ブラケット矯正をしたときも実際3〜4年ほどかかりました。
▼裏側・舌側矯正についてはこちらで詳しくまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/lingual-merit/
また全体に装置をつけるか、部分的に装置をつけるかでも変わってきます。部分的につける場合はもう少し費用が安くなります。
▼部分矯正・プチ矯正についてはこちらで詳しくまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/petit-orthodontics/
2. マウスピース矯正を行う

メリット
- マウスピースは透明なためつけていても目立たない
- 付け外しが自由にできるため清潔を保ちやすい
- 痛みを感じにくい
デメリット
- 付け外しが自由にできる分、効果は頑張り次第となる
- マウスピースの種類によっては頻回の型取りが必要
治療期間
およそ2~3年ほどかかります。決められた期間の中でマウスピースを交換し、それによりかかる力で出っ歯を治していきます。
3. 手術で治す
矯正装置で治るのは歯並びだけ。骨格自体を治すには手術するしかありません。手術で骨格を治して出っ歯や受け口を治す方法を外科矯正とも呼びます。
顎の骨を削って下あごを後ろへずらしたり、逆に上あごを前に出す手術となります。
メリット
- 治療を受ける病院を選べば保険がきく
- 歯を抜かずに受け口・しゃくれを治せることも
歯を動きやすくするため、ワイヤー・ブラケット矯正の前に外科手術を挟むこともあります。
デメリット
- 全身麻酔による手術となるため入院が必要
- 矯正期間だけでなく手術前にも数回の通院が必要
- 手術直後は顔が腫れたり口が開かないことがある
治療期間
およそ1〜3年ほどかかります。手術が終わって落ち着いたら、ワイヤー・ブラケット矯正の装置をつけて歯を動かしていきます。
子供の受け口・しゃくれの治し方

4. マウスピース矯正を行う
ムーシールドという代表的な子供用マウスピースについてご紹介します。
メリット
- 夜寝ている間につけるだけなので見た目を気にしなくて済む
- 小さな子供でもストレスを感じにくい
- 痛みを感じにくい
デメリット
- 子供さん本人の協力が得られないと効果が得られない
- 夜寝ている間、無意識に外してしまうことも
治療期間
およそ数ヶ月〜半年ほどかかります。
マウスピース(ムーシールド)を使って子供の受け口矯正ができるのは、およそ3歳からです。というのも、3歳未満など子供さん本人の協力が得にくいため矯正効果が期待できないから。また3歳を過ぎてからでも、受け口(しゃくれ)の治療は間に合うからです。
また受け口が治ってからも、後戻りしないようマウスピース(ムーシールド)の使用を続けることが大切です。
筋機能療法とは
口腔筋機能療法(MFT)とは、舌・口唇・頬筋・咀嚼筋などの口腔周囲筋の機能を改善し、歯列に及ぶ筋圧のバランスを整えるためのプログラムである。不正咬合や矯正治療の後戻りなどの原因となる口腔機能の諸問題を改善する指導法として主に歯科診療室内で行われており、歯列の正常な成長発育を促進するとともに、健康な歯列を長期間維持するための環境づくりを目指すものである。
5. チンキャップで治す

メリット
- 使い勝手が良く、小さな子供でも協力を得やすい
- 下あごの成長を抑制する効果が高い
デメリット
- 見た目が目立つため自宅でしか使用できない
- 本人の協力が得られないと効果が出にくい
治療期間
1日のうち12時間はチンキャップ を着用します。治療期間は数ヶ月〜1年前後です。
6. リンガルアーチで治す
メリット
- 固定式のため短期間で効果が得られる
- 歯の裏側に装置がつくため見た目が目立たない
デメリット
- 食べづらさ、話しづらさを感じることがある
- 虫歯や歯肉炎リスクが上昇する可能性がある
治療期間
数ヶ月〜1年ほどです。他の矯正装置を併用することも多く、合わせると1年以上かかることが多いです。
7. 床矯正装置で治す
真ん中のネジを巻くと装置が左右に広がります。これによりあごの大きさを広げていくのが床矯正です。主に小児矯正で使用されます。
メリット
- 付け外しが自由にでき、清潔を保てる
- 歯を抜かずに受け口を治せることも
- 治療中痛みを感じにくい
デメリット
- 本人の頑張り次第で効果が変わる
- 単独では歯並びが治らず、他の矯正方法が必要になることも
治療期間
およそ半年〜1年ほどです。
受け口・しゃくれの原因

1. 遺伝
受け口そのものが遺伝するというよりは、歯の大きさやあごの大きさ、骨格などが遺伝します。それにより結果的に受け口が遺伝するということが起こります。
2. 歯並び
あごの骨には問題がなくても、上の前歯が内側に傾いて生えていると受け口になります。
3. 日頃の癖
ご両親はきれいな歯並びをしていても、指しゃぶりや口呼吸、舌の癖などにより受け口になることがあります。成長途中の子供は、歯やあごの骨も成長途中です。その期間に指しゃぶりなどが癖になっていると、受け口の原因となり得ます。
受け口・しゃくれを放置するとどうなる?

1. 成長とともに悪化する
受け口を子供の頃に放置すると、あごの成長にともなって悪化していきます。というのも、下あごの骨は思春期ごろに大きく成長するからです。これより前に手を打っておくべきです。
2. かみ合わせが上手くいかない
受け口であることで食べづらさや話しづらさにつながります。かみ合わせが上手くいっていないと、食べ物を噛み切ったり噛み砕いたりといった基本的なことが難しくなります。これにより消化に時間がかかるなど胃腸にも影響を与えます。
3. 話しづらくなる
受け口・しゃくれがあると食べづらいだけでなく、話しづらさも感じます。特にサ行が言いづらく、周りに舌ったらずな印象を与えてしまいます。
まとめ

受け口やしゃくれの治療は、矯正や手術など複数の選択肢があり、症状や年齢に応じて最適な方法を選ぶことができます。早期の対応は、悪化の防止や治療期間の短縮にもつながります。
これらを放置すると、噛み合わせや発音、消化機能に悪影響を及ぼす可能性が高まります。歯科医師と相談しながら、ご自身や子供に合った治療法を選びましょう。
https://www.matsumoto.or.jp/sinryo/kyousei.html
監修

医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
歯列・歯並び・ 咬み合わせのお悩みなら。マウスピース、インビザライン、裏側、小児矯正等。LINE相談可。八重歯、出っ歯、受け口の治療など得意です。大阪梅田、なんば、心斎橋、吹田、豊中、神戸にあります。
受け口・しゃくれ治療についてもっと詳しく